閑話・国のちょっと偉い人達
「何故こうも次から次へと問題が湧いてくるのだ……」
「変革の時期だからでしょうか?」
はぁ……と、深い溜息がこの場にこぼれ落ちる。それも幾つもの音が重なりながら。
「畠山君からの情報だが、その裏付けが取れたという事で良いのだな?」
「そのようですね。随分と異世界との融合が進んでいるようです」
「融合が進んでいるから、このような現象が起きたのだな……して、問題の1つであるあの者達の話はどうなった?」
「自衛隊達がダンジョン内で発見した者達ですが、やはり〝異世界人〟で間違いないとの事です」
「異世界人が住む島の者達にも話を聞いたのだな?」
「はい。彼らは発見した者達が何者かを知っておりました」
火口にあるダンジョンで自衛隊員達が発見した者達。その者達は見た目からして〝異世界人〟といった身なりをしていたのだが、ただそれは〝何者かのコスプレ〟で許可なくダンジョンに潜ったという可能性もあった。
なので、発見した者達が何者なのかを調べる為にもありとあらゆる手段で彼らが何処の者なのかを調べた。
しかし、調べど何処の誰かが判明しない。そしてまた保護した者達だが、生きているのだが目を覚ます気配がない。寝たきりの状態であるため、話を機構にも聞くことが不可能だった。
ゆえに、彼らは保護した者達の血液を採取。遺伝子情報等を調べ……そこで初めて〝あれ? これ地球人じゃなくね!?〟という事にたどり着いた。
その事に至った彼らは、すぐさま離島に住む異世界人に保護した彼らの写真を見せ情報を集めようとした。
どれだけ時間を掛けても何者かを調べるぞ! と意気込んでいた調査員だったのだが、その情報は1人目に話を聞いた時に直ぐ返ってきたため少々拍子抜けをしたらしい。
ただ、1人目で答えが帰ってきた理由が理由だった。というのも、どうやら保護した者達はかなりの有名人であった。そしてその事がまた、この場に居る者達の頭痛の原因だったりする。
「有名な冒険者だそうだな」
「最高ランクの者だそうで」
「特殊部隊の者達とどちらが強いのだろうか?」
シーンという音がやけに大きく聞こえる。
男の質問に対して誰も答える事ができずにいた。ただそれは当たり前の話で、まだ目が覚めていない者達の力量をどうやって知る事が出来るのだろうか。
異世界人達に話を聞けど、返ってくる答えは「強い」とか「めちゃくちゃ強い」といったワード。なので、どれだけ強いのかの予想すら出来ない。
「保護をした異世界人については……医者の許可が降りれば異世界人の離島へと送るのが良いだろう」
「有名人だそうですからね。それも彼らの事を答える者達も悪感情等はなかったようですし」
悪い意味で有名では無い。その事だけが現状では救いといえる内容だろう。
「しかし、この異世界人の問題がまだ〝軽い内容〟といえるのがな……」
「あの仮面のヒーロー殿の情報流出という大きな爆弾がありますからね」
彼らにとっては特大級の問題である。なぜなら、その流出を行った者はどう考えても自衛隊員か他国の軍人か……という可能性が高いからだ。
「あの者達が自らその正体をばらした可能性は?」
「無いとは言い切れませんが、限りなくありえないかと。もし自らその正体を晒すつもりであるのなら、連日連夜その姿を現していてもおかしくないですから」
「敵ではない。また野心を持っているわけでもない事だけが朗報だろうな」
現状、あちらこちらの者達から〝仮面のヒーローは何者なのか!〟〝彼らの目的を知っているのか!〟〝政府は極秘に戦力を用意していたのか!!〟と言った声が彼らの下へと送られてくる。メディア・電話・メール等、ありとあらゆる媒体を介して。
「電話が鳴り止まないと電話担当の者がノイローゼになりかけております」
「……この問題が落ち着き次第、長期の休暇を与えよう」
「医者も紹介しますか?」
男はその言葉に軽く頷いた。きっと素晴らしい精神科医を紹介してくれるに違いない。
「寧ろ、我々も先生の力を借りる必要が出てくるかもしれんな……最近はずっと耳鳴りと頭痛が酷いぞ」
「私は寝る前のお酒が増えましたよ……もう、お酒がないと寝れない体になってしまいました」
「……それこそ医者が必要なのでは?」
畠山と同等に、彼らのストレスもマッハ状態になっている。このままでは過労で倒れてしまう者も現れるだろう。
もしこの事を畠山が鈴木に伝えていれば……恐らく次の日には大量のポーションが彼らの元に送られてくるだろう。ただ、ポーションを使い健康体になれば、彼らの運命はブラックまっしぐらとなるだろう。果たしてポーションを使うのが良いのか、はたまた一度倒れてドクターストップになるのが良いのか。
だが、もしポーションが送られてくるようなことがアレば、彼らは間違いなく飲み干す勢いで使うだろう。なぜなら、まだまだ倒れるような無様な姿は見せられないと思っているのだから。
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