フォゥ達と造ったレジャープールに来て……色々と考えさせられてしまった。
プールの営業を開始した後、俺は報告を受けては改良を施し安全性と娯楽性をマシマシにした。その結果、休日ともなれば島民の殆がプールに来ているのでは? と思うレベルで利用をして貰えているらしい。
なので、俺はフォゥ達を連れて人が多い休日を避けてプールへ客としてやって来た。今日は仕事じゃないぞー!
「お、おぉぉ! 凄い! 凄いの!! なんかとっても沢山あるの!!」
フォゥの語彙力が死んだ。ただ、それだけ彼女は感動をしているみたい。ものすごく目がキラキラと輝いていらっしゃる。
「これ! これ全部パパがつくったの!?」
「パパだけじゃないかな。皆で沢山考えて、一緒に魔法を使ったりして造ったんだよ」
最初に案を持ち込んだのは俺だけど、設計から建築まで皆で協力して造った施設だからね。なので、フォゥが言った〝パパがつくった〟というのは訂正しておく必要がある。
「皆凄いの!」
「ふむ……あちらの世界にはこの様なモノなど無かった。こちらの世界の人間はよほど暇なのか? それともバカなのだろうか……だが、良いバカではあるな」
感動MAXなフォゥに比べると、リュー君の方はかなり辛口だなぁ。ただ、多分それは〝異世界の執政者的な目線〟でモノを見ているからだろう。なにせ異世界でこんな物を建てても、ぶっちゃけ維持管理なんて出来ないだろうから。てか、そもそも建てる暇も土地も無いのが現実だろうね。
「魔物の脅威が隣にある世界だと厳しいよね」
「んむ。このような建物を建てるぐらいなら、防衛に予算を割け! とブチギレられるであろうな」
ライオンの檻の中で生活しているようなものだろうからなぁ。もしくは某行ってはいけない島での生活とでも言えばいいだろうか。多分だけど、その両方を合わせたような感じが異世界での生活だろう。
「実に甘いというべきか。だが、それだけ安定している世界だと考えると、嫌いにはなれぬな」
別に安定しているって訳ではないけど、異世界に比べたら安定はしている事になるのかな。ただ、その安定も随分と崩れてきては居るけど。
「むずかしい話はあとで良いの! 今はプールにとつげき!!」
俺とリューの会話は、フォゥにとっては拷問らしく、痺れを切らした彼女は大声出そう叫ぶと一目散にプールへと突入……しようとした瞬間に、エリカさんにがっしりとその体を掴まれ抱き上げられてしまった。
「フォゥちゃん。お家のプールに入る時に何度も言ったよね? 入る前には準備体操をする!」
「あ、はいなの……」
怒られたことで、ぺこーんと耳と尻尾が垂れるフォゥ。本当に獣人の耳と尻尾は感情とリンクしているなぁ……なんて思いながら、俺は皆が準備体操をしている間、開いているスペースに持ってきた荷物からシートを取り出して敷いたりと、休憩が出来る場所の準備をしておいた。
太陽が燦々とその光を無慈悲に叩きつけて来る中、俺はまったりと休憩スペースに用意したパラソルの下でマッタリとジュースを飲んでいる。
「マスターも泳ぎに行かれては?」
「いやいや、こういう感じで海やプールで場所取りをしたら、お父さんかお母さんがその空間で待っているってのがデフォじゃないの?」
アルが荷物は自分が見ているから、俺も行ったらどうだ? と進めてくる。
ただ、俺には経験をした事が無いから知らないが……聞いた話によるとそういうモノなんだそうだ。そして、その聞いた時は小さい頃だったんだけど、その話に少しの憧れを持っていたんだよね。……まぁ、1度たりとてその憧れを経験した記憶は無いが。
ただでも、こうして初めてその憧れを経験出来るタイミングが出来たんだ。それなら、やってみるのも乙なものでしょ。……まぁ、子供としての体験では無いけども。
「アレだよ。俺が小さい頃にやってみたかったなぁって思ったことを、フォゥには経験して貰いたいからね」
楽しいかどうかは別。ただ、誰かと会話をした時に〝自分は経験が無い〟なんて疎外感を覚えるのは可愛そうだ。事実、俺は〝誰か〟がその話をしているとついて行けず、実につまらなかったしね。それが、リアルの会話でもネットの中の会話でも。
「そういうモノですか?」
「そうそう。遊び疲れた時に、タオルとジュースを渡されながら〝おかえり〟って言って貰うんだと。後は、対して美味しく無いはずの〝露天の焼きそば〟とか〝かき氷〟が異常に美味しく感じたんだってさ」
「焼きそばにかき氷ですか。ふむ、だから至る所に売店があるのですね」
浮き輪を装備し波に揺られながらキャキャと楽しそうにしているフォゥと、そんなフォゥに水を掛けたりしながら一緒になって遊んでいるエリカさん達を見る。あ、波に押されたフォゥがころっと回転をして浮き輪からお尻と尻尾が……。
慌ててエリカさん達がフォゥを救助しフォゥに「大丈夫?」って声を掛けているけど、なんだかフォゥはとっても楽しそうな笑顔。もしかしてあの回転が楽しかったのだろうか。普通に息が吸えなくてきつそうなんだけど、エリカさん達がすぐに救助をしたから楽しいだけで終わった?
「リューの方は……あー、ケージやフェルと一緒に飛び込みかぁ」
「何やら、どの高さでチャレンジをするのか競い合っているみたいですね」
度胸試しかな?
「何はともあれ、皆が楽しそうで何よりだよ。っと、そろそろお昼になりそうだから、売店で適当な食べ物でも買っておこうか」
「自分が買い来ましょうか」
「そしたら、多分だけど男陣営がめっちゃ食べるだろうから……色々な食べ物を適当に沢山買ってきて」
全員が選べるだけの種類があれば問題無い。残ったら残ったで男の誰かが食べてしまう。いや……もしかしたら雪さんが食べちゃうかもしれない。
「あー……精霊や神獣達とかが食べる可能性もあるか」
プカプカと浮かびながら流れていく神獣達。どうやら彼らは流れるプールをお気に召したようだ。あれかな? たまに子供達がその背に乗るのも楽しいのだろうか。神獣感覚ってのはよく分からん。
雪さんが召喚した精霊の方はと言うと、こっちはフォゥ達の側で一緒になってはしゃいでいるといった感じだな。
「それにしてもいい天気だなぁ。あ、そう言えばスイカを用意するのを忘れてた……って、スイカ割りはプールじゃなくて海だっけ?」
どっちだろう。こっちは薄っすらと聞いたけど内容までは覚えて無いや。うんまぁ、スイカ割りは今度、拠点のプールでやるとしようか。こっちではやっぱり、かき氷とかソフトクリームかな。
それにしても、なんだろうなぁ。こうしてフォゥ達が楽しそうな表情を見ているだけでも、俺も楽しくなってくるのは何でだろうね? 普通に考えたら、こうして待っている間というのはつまらないものだと思うんだけど。
まさかまさか、荷物番がつまらなくないなんて……もしかして世の中のお父さんやお母さんと呼ばれる人たちは、こういう感覚を味わっていたのだろうか。うーむ、そういえばおじいちゃんやおばあちゃんは俺の動きを見てニコニコしていたっけ。もしかして、あの2人の笑顔はこういう事だった?
しかし、そう考えると……あの親と呼んで良いのか分からない2人は、本当にダメダメな毒だったという事か。……うん、反面教師にさせてもらうとしよう。
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