雪がプールを作ったって!?~エリカ視点~
私達の関係は、やはりどう見ても歪だ。ただそれは、彼の過去や精神的な面からすると仕方がないと思う一面もある。ただ、もし島に私達が転移されていなければ……きっとこんな関係にはなっていなかっただろうし、そもそも接点すら出来なかっただろう。
「……リハビリは順調」
彼に一番近いと言える雪が満足そうに頷きながら口を開いた。
リハビリと言いながら、やっている事はただ彼との距離を詰めているというだけの内容だったりする。……まぁ、少しずつではあるけど、その内容は濃いモノになってはいるけど。
「雪は小動物枠だからなぁ。ぶっちゃけ、リハビリになっているか分からないじゃん」
「……失礼な。これでも水着で混浴は出来るようになった」
いや、それって景くんがお風呂に入っている最中に突撃をしているだけだよね。それも、大量の小動物化した精霊を引き連れて。あ、後は神獣やフォゥちゃんも一緒に。
こう考えると、やっぱり小動物とか妹枠だよね。
「……成長はしてる」
キリッとした表情を作りながら、雪が実に可愛らしいポーズをした。
「胸だけはアンバランスなんだよなぁ」
「非情な程、成長が其処に集中しているわよね」
20を超えたはずなのに何故か身長が中学生レベルという。そんな雪なのに、胸だけはスクスクと育っている。……まだ成長するのかなアレ。
「……身長も伸びてる」
「どれぐらい伸びているのよ……全く分かんないわよ」
「……ん。この間計ったら、1ミリほど伸びてた」
誤差じゃないかな? と思うんだけど。
ただ、景くんとの距離に関しては雪が一番〝問題が無く〟接近出来るから、彼女に頼るしか無い。だけど、雪はなんともとんでもない事を言いだした。
「……次はエリカ達も一緒に突入する」
「いやいや、変に拗れたら不味いから」
「……今のもっちーなら大丈夫」
何が大丈夫なのか。そう言い切れる自信はいったい何処から着ているのか。全く理解が出来ないんだけど……。
「……ん。お守りん達が外へ出っ放しになってから、変わった」
あー……そう言えば、彼らは〝今までみたいに、終始離れずの状態は必要が無くなった〟みたいな事を言っていたっけ。それって、精神面でかなり安定したって事で良いのかな。
うーん。でもやっぱり、混浴は流石に不味くない?
「……水着を着ていればプールと一緒。授業でもやっていた事」
そう言われたらそうなのかも? でも、お風呂ってプールと比べたらかなり狭いと思うんだけど……。
「……問題ない。大きなお風呂を作った」
再びキリッとした表情をした雪がグッとサムズアップをした。……ただ、私達にはキリッとしたように見えるだけで、他の人からみたらまだまだ無表情に見えるんだけど。
「何時の間に大きなお風呂を作ったのよ」
桔梗がそう尋ねると、雪は「……フォゥやりゅーが遊べる場所が必要」と、フォゥちゃんやリューくんの為にコソコソと大きなお風呂兼プールになる場所を拠点の近くに作っていたみたい。精霊や神獣の協力を得て。
そして、そのお風呂のサイズは、なんと25メートルプールほどの大きさがあるそう。桔梗じゃないけど、本当に何時の間にそんな場所を作ったのよって思ってしまった。
「……一夜城」
どうやら一晩で作ってしまったみたい。そういえば、昨日の深夜に雪が居なかった時があったけど、アレって〝摘み食い〟をしていた訳じゃなかったのね。
「なるほどね。でも、そうね。確かにそのサイズなら皆で入っても問題がなさそうね」
「……ん。同じお風呂に入っている事実が大切」
25メートルもの大きさがある場所なら、10メートルとか20メートルの距離があっても〝一緒に入った〟と一応は言える事になる……のかなぁ?
「……大丈夫。名目はフォゥ達の水泳教室」
なんか既に色々と計画を考えているみたい。……って、これ、雪が遊びたいだけなのでは? そう思い当たってしまい、じとっとした目で雪を見つめてみると、雪はスッと目を逸した。
あ、やっぱり雪が遊びたいだけだ。その為の名目を他に作ったんだね。……まったく、素直に遊びたいと言えばいいのに。
「まぁでも、安全に水泳の訓練ができる場所があるのは良い事だと思うわよ。この島には海や塩湖があるもの」
「だなぁ……しかもそっちだとモンスターが出るから子供の訓練には使えないじゃん」
と、なんか混浴の話から一気に話題が反れた気がするんだけど。
でもまぁ、漸く? 少しだけ? 休める時間が出来そうだから、ここらで一度は景くんとの適切な距離を測りなおすのも良いかも知れない。……ただ、測る時には刺激をしすぎて拗れないようにはしないといけないけど。
ブックマークや評価等ありがとーヾ(*´∀`*)ノ




