第三波~
第二波のモンスターを討伐した後、トンネルから第三・第四・第五のウェーブが吐き出された。
まるでゲームのプレイをさせているつもりなのか、1つのウェーブが終わるとほんの少しだけクールタイムが入る。そして、体力の回復が終わる前に新しいモンスターウェーブが排出され、空母の飛行甲板にいる戦闘員達へと襲いかかっていく。
これは仕様なのか、はたまた指揮官っぽいヤツが居て遊び半分に襲ってきているのか……。どちらとも言えない状況が続いている。ただし、排出されているモンスターについては、ウェーブを重ねるごとにその討伐難易度も上がって言っている模様。
何せ、現在の第五波で出てきたモンスター達はと言うと……。
「でっかい怪鳥とダニのセットはもう通常と見ていいとして、更に海側にはカジキっぽいモンスターが増えているのは良いとして……陸型モンスターが出てこないなぁと思っていたけど、この手の方法で陸用モンスターを出してきたかぁ」
「海の上って事を考えると、このパターンがベストなんだろうけどね」
陸型のモンスター。それは〝人型のモンスター〟で、しかもその現れた方法というのが〝怪鳥及びカジキに乗っている〟という、モンスターonモンスターといったライダータイプだったりする。
しかもだ! カジキに乗っているやつはノリが良いのか? なんか良く分からないけど、サーフボードにでも乗っているような立ち乗りだったりする。
「見た目はワーウルフタイプ。ただし海での戦いって事もあってか、手にはトライデントを持っているね」
「怪鳥に乗っているのは普通の槍っぽいみたいよ。あ、でも弓持ちも居るみたいね」
怪鳥ライダー達の中には、何故かダニを持ち上げているヤツもいたりするけど……あれは何のつもりなのだろう。
ともあれ、第5波はこれまでの第四波までに比べると、かなり討伐の時間が掛かっている。やはり〝人型〟が増えただけで面倒臭さが格段にアップしているんだろうね。
道具は使うし、更には人型の指示を受けた怪鳥やカジキもどきの動きが格段に上がっている。相乗効果がガッツリと出ていると言った感じかなぁ。
「しかも、怪鳥が魔法で倒しにくくなったのは大きいなぁ……まさかあの槍、魔法に対して攻撃が出来るなんてなぁ」
「あの刃の輝きからして、ミスリル製なのかしらね」
確かにそれなら魔法を槍で掻き消すのも楽だろうなぁ。更に其処へ、上空からの弓矢による攻撃。流石にこれは帰還者達も梃子摺ってしまうのも仕方がない。
そしてまた、飛行甲板での戦いってのが人間側にとっては縛りプレイみたいな所がある。
「島攻略時にやっていた、土魔法でドームを作るってのが出来ないからなぁ」
「土をアイテムチェストにでも仕込んでおかない限り、あの状態での防壁作りは無理があるわね」
「……ん。風で竜巻」
雪さん、それはもっと厳しいと思うよ。何せ矢を弾き続けるだけの竜巻を起こすということは、それだけ魔力を消費し続けるという事でもあるし、そもそも〝空母〟に乗っての戦いなんだよ? そんな場所で竜巻を起こしてどうするのさ。
「転覆間違いなしだろうなぁ。陸地でなら、まぁ有りなんじゃね?」
「状況的には盾で矢を防ぐのか、もしくは弓矢か魔法での迎撃しかないかなぁ」
そんな訳で、人間側の持っているカードを考えるとエリカさんが言ったような手段しかなく、まさにその方法で飛んでくる矢を防いでいたりする。
「てか、少しずつ怪我人が出てきていたりする?」
「一応ポーションや回復魔法で現状は何とかなっているみたいだけど……」
大怪我をしないだけで、実はジワジワと劣勢になりつつあるみたいなんだよね。……まぁ、連戦で肉体的に疲労しているってのもあると思われる。だが、どちらかというと精神的な疲労の方が大きい気がする。
というのも、トンネルからはまだまだ次のモンスターが頭を出して待機しているんだよなぁ。あんなのを見たら、何時終わるのか? と気が気ではなくなるのも分かる。
「アル。人魚部隊に対して、人に気付かれないようカジキもどきやモンスターガーの間引きをさせようか」
「その様に指示をしておきます」
「後は、ヒーロー君や……何時でも出撃が出来る様に待機。怪我人ぐらいなら良いけど、今後の事を考えたら〝死者〟が出るのは避けたい」
「どういう事だい?」
どうもこうも、彼らの主戦場はこの太平洋上では無いという事だよ。
「離島って事?」
「それも違う。彼らに離島を使わせている理由を忘れた? 世界間の融合が進めば、それだけ彼らの故郷にも〝ダンジョン〟や〝モンスターの住処〟が現れる可能性が出てくるって話だったよね」
そしてその対処を学ぶ為にと、彼らに離島を使わせている。であれば、今この戦場で死んで良い駒なんて1人たりとて無い。
「元々、この現象はイレギュラーだからね……ただ、丁度良い機会だからって〝各国のお偉いさん〟が利用しているんだよ」
そう。なんで俺達がここまで待機しているのか。それは、自衛官や軍人達に〝離島外での経験〟を積ませる為……らしい。らしいというのは、鈴木さんが畠山さんにそう聞いているからなんだけどね。裏があるのかどうかが分からないんだ。
ただ、畠山さんからは〝最悪な事になる前に手を貸して欲しい〟とも聞いている。
「ま、各国のお偉いさん達からしてみれば、ある程度メンツを保つ事が出来ればオッケーなんだろうけどね」
「全世界を巻き込んだ問題に対して、協力しながらも自国の力を見せつけたいって事かぁ……私だったら、最初からヒーロー君に全部やらせるけどなぁ」
「ベストとベターは別だからね。そして、ベストが常に正しいという訳でもないから」
先の事を考えると……と言うやつだ。最初からヒーローに任せてしまったら、任せグセがついてしまう。そして、ヒーローが使えない時に初めて慌てる。いや、慌てるだけならまだマシ。大きな損害が出てしまうなんて事もある。
「そうなると、なんでヒーローは助けてくれなかったんだ! って言い出す人も出てくるだろうね」
「お互いに損にしかならないって事かぁ……メンドクサ」
なので、もしホバーシップやヒーローを出すとしても、先ずは軍などがかなりの戦果を上げておく必要があるんだ。……もどかしいったらありゃしないけどね。
「トンネルのモンスターの数を考えると……そうだね、第5波を攻略出来れば4割は削ったって事になるかな」
「それでもまだ6割はあるのかぁ」
半分近く削れば、それはそれで大戦果ではあるんじゃないかな。多分だけど、今の状況はカメラが回っていて全世界で放送されているだろうしね。
……そうだ。ホバーシップを出す時は、カメラにたいしてジャミングを掛けてから出撃するとしよう。そうすれば、各国のメンツは潰れる可能性を更に消す事が出来るんじゃないかな。ま、人の口までは塞ぐ事が出来ないけど、証拠が無いからなんとかなるでしょ。
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