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魔法的ホバーな乗り物

 劣化版の浮遊物質を作ってみた。当然だが、素材が素材なので錬金ロボを作るのには適さない物。そしてまた、劣化版という事で最高高度は低く、浮遊に使う魔力の消費量は完成品よりも多い。

 とは言えだ。劣化版浮遊物質が使えない訳では無い。今までは小動物型の錬金人形を飛行させる程度の力しかなかった物が、大きな物でも可能になるのだから。


「それで作ったのが、このホバー車。素材はワイバーン系の物と風属性の魔鉄かな」

「……おー、ボクの頭より高い所にある」


 キラキラとした目でホバー車を見つめている雪さんとフォゥ。エリカさん達はというと、やっぱり作ったのかぁ……みたいな表情をしている。

 いやほら、やっぱり空を飛ぶ車というのに憧れを持つ人はいっぱい居ると思うんだよ。うちのおじいちゃんとかなんて、空を飛ぶ車でタイムトラベルが出来たらなぁ……なんて言ってたし。

 だから、ご年配の方々には刺さる車だと思うんだよね。


「いやいや、そういった意味じゃないのよ。私達が思ったのは〝世界の状況が大変になりつつある時に車なのか〟という話よ」


 あぁ、そういう事か。それなら何の問題も無いかな。だってこの車を作った理由の1つは……。


「島外でも使える車にするつもりだからね。何せ、多分だけどこれからは〝道〟がまともに使えない状況になったりするだろうし、そもそも〝道〟すら無い国だってあるから」

「確かにホバー車はオフロード車よりも優秀な気がするじゃん」


 そうそう。だから、作りたいから作った物じゃなくて、先を見越して作った物でもあるんだよね。

 そして、その為の素材コストを抑えた作りになっているんだよ。島で使うだけなら、別に属性魔鉄系を使う必要なんて無いしね。


「あー……虹魔鉄で良さそうだよね」

「そこをあえて風属性の魔鉄にしたって事は、外でも開発出来るようにって事かぁ……考えてるじゃん」


 ま、現状だと〝錬金術師〟のジョブについている人は居ないけどね。ただ、多分だけど〝異世界からの移民〟の中には居るんじゃないかな? そして、そんな彼らにレシピを提供すれば……。


「なるほど! 彼らの輸出品になるという訳ね」

「そうそう。風魔鉄やワイバーンの素材を輸入して、それらを浮遊物質に変換してから輸出する。そうすれば、彼らが〝移民〟から〝地球に住む仲間〟として受け入れられるのも早くなると思う」


 なんだかんだと言って、人は〝利〟で動く生き物だからね。それなら、しっかりとした〝利〟が〝移民〟の人達から受けることが出来れば……彼らは〝侵略者〟として扱われるような事になる可能性はぐんっと低くなるはず。


「彼らは俺達が日本政府に押し付けた人達だからね。少しは手を貸してもって感じかな……ま、それでも貸しの1つではあるんだけど」

「それで、景くんが受ける〝利〟って何になるのかな?」


 それはもう、特許料とかでしょ。ただで挙げるワケがないじゃん。それにだ、日本側にも〝ホバー車〟の製造方法で儲けさせてもらうっと。


「車産業が心配になるわね」

「その産業から大金を巻き上げるけど、彼らもホバー車で儲けるから問題は無いんじゃない?」


 ふっふっふ。浮遊物質の作り方に、ホバー車専用のエンジン。いやはや、いったいどれだけの儲けが出るのやら……っと、駄目だ駄目だ。今こんな事を考えても、それは取らぬ狸の皮算用というヤツだ。

 上手くいくパターンだけを考えるより、ダメだった時のパターンも想定しておかないとね。


「いや、普通にヒット商品になるんじゃね?」

「法律の事とかもあるだろうからねぇ。ホバー車が出来ました! はい、次の日から運用可能です! とはならないと思うんだよ」


 特に都心とかだとね……使えるか? と言われたら正直、難しいかもしれない。逆に田舎とか開発が全く進んでない国とかなら話は変わってきそう。


「むしろ、戦闘機に使われたりしないかが心配だわ」

「あー……まぁ、使うだろうね。ただ、多分だけど生産系のジョブ持ちが作るわけじゃないから、音速を超えるような状況には魔鉄が耐えられないんじゃないかなぁ」


 何せ品質としては最低品質とか低品質になるだろうからね。

 いくら移民した異世界人さん達が作った浮遊物質の品質が良くても、その次の加工を行う人はジョブ持ちでは無いから。はっきり言ってお察しである。


「最高でも100キロぐらいで飛行をする程度のホバー車で丁度いいんだよ」


 その代わりに、トラックとかでも飛ばせるようになるだろうから、輸送という観点で行けばかなりお得になるんじゃないかな。




 ともあれ、島の外に試作品として出すホバー車はこれで良いんだけど、島内で使うものに関しては話が変わってくる。こっちは思いっきり自重なんてするつもりはない。無いんだけど……流石にオリハルコンとかヒヒイロカネは使えないかなぁ。ま、虹魔鉄で作ってみるのが丁度いいかもしれないね。


「とは言え、そんな車を何処で使うのよ?」

「海上とかかなぁ」

「……それならホバーシップの方が良いのではないかしら?」


 あ、それはそう。そういえば船に関しては錬金ロボを乗せる為の空母的な物しか考えていなかったからなぁ。すっかり抜け落ちてたよ。

 そうだね。ここは我らが2代目〝ちゅん丸〟の大改造を再び行う時が来たのかも知れない。いや、ここは潜水艦とも合体させて、水の中に水の上、そして空中と万能型な新生ちゅん丸を作る時かも知れない。

 おぉぉ! そう考えると、こう、なんか燃えてきたぞ。それにだ。新しい船には強化外骨格を搭載出来るスペースも作ると良いかも知れない。そして、その強化外骨格は水中でも問題無く使えるようにして……っと、なんだろう。アイデアが次々に湧いてきたぞ。うん、これは楽しくなってきた!

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[一言] 万能輸送艦になりそう
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