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閑話:地球の文化に触れる異世界人さん

 カタカタと……ではなく、両手の人差し指を使い丁寧に1文字ずつ打ち込んでいく。

 時折「えーっと……」と言いながらキーボードを睨んでいるのは、何処に打ちたい文字があるのかを探しているから。


「実に不思議ですね。これを押せば目の前の〝モニター〟なる物に文字が浮かび上がるなんて」

「原理は聞きましたが、いやはや……全く理解が出来ない内容でしたな」


 魔法文化の中で暮らして来た彼らにとってみれば、電力を用いた製品など不思議な物でしかない様子。


「電力と言いましたか? 教えてもらった話によると、かなり万能なエネルギーのようですね」

「我々が扱う魔力のようなモノでしょうな。そうそう、魔力でも電力と同じ様な事が可能になるようにしているのだとか……」


 魔法を使えば確かに似たような事は可能だ。ただし、魔法には〝射程〟があり、地球で使われている遠距離通信などは不可能……と、彼らは考えている。

 実際には既に島で色々と開発されているのだが、彼らがソレをしる術は無い。

 また、彼らにとって遠距離通信は、使い魔などを使った伝書鳩系の方法だったりする。であれば、パソコンの様な物を使いリアルタイムで返信が来る技術というのは、彼らにとっては〝魔法よりも魔法〟といった所だろうか。


「姫様達が彼らの本国へと赴いた後、我々に〝絶対に敵対するような真似はしないように〟と仰っていましたが……このパソコンなるモノに触れていると嫌でも理解が出来ます」

「我々の考えもしない方法で星の裏側にいる者に攻撃する術を持ち合わせている可能性も……」


 ゴクリ……と、生唾が喉を通る音が響く。

 ブルリと会話をしていた2人は体を震わせ、たった今考えてしまった事について首を大きく振りながら脳内からの排除を試みた。



 ネットが通じているのであれば、様々な情報を手にすることが可能……ではあるが、実は彼らの住む島からのアクセスに関して、しっかりと日本側から〝アクセス制限〟が掛かっていたりする。

 特にウィキや特定の動画サイト。個人ページに政府関連のサイトや海外のページにはアクセスが不可能。勿論これには、政治的や精神的な理由があるからで、将来的には全て解禁される予定だ。


 そして、そもそもの話ではあるが、異世界人の中でパソコンが扱える者がかなり少ないという事情があったりする。


「日本語もしくは英語を履修した者が漸くスタートラインだからなぁ……俺には何と書いてあるのかが全く分からんぞ」

「あはは……日本語をマスターしたのも、私の他には3名ぐらいしかまだ居ませんしね」

「元の世界で外交をやっていた者達だからな。やはり言葉や文字を覚えるスピードが違う」


 一応、翻訳機等はあるが、やはり自分で理解した方が早い。それに、翻訳機が間違っている可能性だってある。その間違いに気がつくためには、やはり自分で理解しておく必要がある。


「もしかすると子供達の方が文字やパソコンを覚えていたりするかもしれませんね」

「そういえば、外交官だったヤツの子供が動画サイト? というモノを見ながら笑っていたと言っていたな」

「あー……中々面白いモノがありますよ? 料理とか特殊な狩りの仕方とか。後は娯楽関連のモノも多いです。ゲームなるモノや音楽に踊りなどがよく目に付きますね」


 ふむ……分からん! と、反応を見せる。そして、動画サイトの事について語った者もまた「ですよねー」と苦笑。

 そもそも、つい最近まで自分も「分からん!」といっていた側だった。なので、気持ちは十分に理解する事が出来るのだろう。


「そのうち全員が私と同じ様な事が出来るようになると思います……というか、このパソコンなるモノはソレだけ人を引き込む何かがあります。これがアレば、仕事もかなり捗りますし」

「こちらの世界の者がやってみせたタイピングだったか? アレが出来るようになれば、かなりのペースで仕事が捌けるだろうな……だが、お前でもまだかなり遅いのを見るとなぁ。はたして、あそこまで出来るようになる為には、どれほどの時間が必要になるのか」


 ポチ、ポチ、ポチとゆっくり文字を打ち込んでいる姿を見ると、かなり遠い未来なのでは? と思わずには居られない。

 だがしかし、可能性自体はブラインドタッチを見せられている為、疑う余地など無い。問題は、何時出来るようになるのか、そしてその人数は? と言った事。


「教育に時間を使えば良いのだろうが、教育だけに集中は出来ないからな」

「私達の産業と言えば、魔物を狩って魔石を手に入れる事に、この島でのみ手に入れる事が可能な果物等の採取ですからね」


 日本という国を相手に物を売り、手にしたお金で島を開発していく。


 実のところ、彼らはただ住むだけであれば食料的には問題が無かったりする。するのだが……外の世界を知ってしまった以上、何もしないというのは考えられなかった。何故なら彼らは、元の世界に置いてはそれこそ〝先進国〟と言えるような技術や文化を持っていたからだ。

 その為に、圧倒的に遅れていると言わざる得ない今の状況は、彼らの〝プライド〟に触れてしまう。現実的に考えれば、そもそも発展しているモノが違うので比べるようなモノではないのだが……。


「ただ、こちらの世界の人は〝魔法〟に関しては遅れていますからね」

「我々の方がリードしている。であれば、そのアドバンテージを利用し、彼らの技術をどんどん取り入れていくべきだろう」


 知る人がこの会話を聞けば、既に島で魔法で技術を再現しているどころか、更におかしな方向へと突き進んでいますよ。と教えたかも知れない。

 しかし彼らにその事を教える者は居ないため、彼らは〝自分達こそが、魔法で技術を再現して見せる!〟と意気込んでいたりする。……知らないと言うのは、実に幸せな事なのかもしれない。




 ともあれ、こうして地球に来てしまった異世界人達は少しずつ地球の文明に触れ、自分達の文化や技術と比べたり融合したりとしながら、ゆっくりと前へ前へと進んでいたりする。

ブックマークや感想等ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾




スレで書き込みをしていた異世界人さんと、その友人の会話。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 遅ればせながら更新再開ありがとうございます。 [一言] ブラインドが盲目という意味から差別表現であるとして、最近ではブラインドタッチよりもタッチタイピングという表現が使われているのでそちら…
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