アルの方がノリノリです
大空を魔力の光が走る。そんな様子を地上から楽しげに眺めている人達。
「アレはもう避難する気がなさそうだなぁ」
「ですが、彼らがガードをしているので大丈夫かと」
観客達の前に出ながらも、それでいて視界を遮らないようにフォーメーションを組んだ神獣達。彼らは流れ弾対策にと魔力の障壁を展開していて、多少の事ではあのバリアを抜く事は出来ないと思われる。……まぁ、最大火力の魔砲を直接撃ち込んだら話は別だろうが。
ともあれ、みんなの安全が確保されているみたいだし、こちらはこちらの事に集中しよう。
……なんて思っていたんだけど。
「フハハハ! 心地よい視線を感じるではないか。やはりアヤツらが言っていたように、巨大な戦闘人形の戦いというのはロマンというもので溢れているらしいな!!」
なんだか目の光が戻った総大将なんだけど、戻ったどころかテンションが上がりに上がってしまっている。……うん、おじいちゃん達はいったいヤツに何を教え込んだんだろう?
そんな事を言ったり思ったりしてはいるんだけど、実際にはとんでもないレベルの威力をお互いに撃ち合っているわけで。
「喰らえ! ファイアカノン!」
炎の魔法がベースの砲弾が敵の機体から発射される。ただしその大きさは、人が魔法を使った時なんかよりも数倍も大きい。
「左腕マジックシールド展開! アル、そのままあの火球を殴ってしまえ!」
「イェッサー!」
陣魔法を発動し、左腕に魔力の障壁を纏わせる。そして、そのまま飛んでくる火の球をぶん殴る事で相手の魔砲を掻き消した。
相手の機体から「ぬぉ!?」なんて驚愕した声。きっと表情を見ることが出来たのなら、目もまん丸くしていただろうな。それもそうだろう……こちらの機体は機内に大量のギミックが仕込んであるからね。そして、相手の機体を見るに、基本的な武器や防具は普通の装備品だけの様子。
魔法を撃つのにも、どうやら肩とかについている砲台を使う必要があるみたいだしね。
「ふむ。人形で格闘が出来るだと? そんな話は聞いておらぬぞ。……いや、アヤツらからは、そんな話もあったような? いやしかし、掘り出したモノからはその様なデータなど無かった。はっ!? よもやお主……その人形はオリジナルか!!」
なんだろう。ヤツの声なんだけど、超がつくほど活き活きとしている気がする。これ、目とか輝かせていないか? って思うレベルだ。ただ、正直に答える必要なんてないよね。
「さて? どうだろうね」
「むむむ……この世界にその様な人形は無かったはず! そう聞いている!! ずるい! ずるいぞ!!」
……子供か? 何と言うか、おもちゃを買って買って! と、駄々っ子モードなイメージが湧いてくるんだけど。ただし、そのジタバタはどう考えても凶悪なモノなんだけど。
連続で魔法の球を飛ばしながら、高速飛行でこちらへと接近してくる。飛んでくる球をシールドナックルで殴り消しながら、迎撃用の陣を展開。
接近した敵の機体が巨大なブレードを手にし、上段から振りかぶってくる。そこでギミックの1つを発動。背中に隠し腕を2つ展開し、振り下ろされて来たブレードを真剣白刃取り。
白刃取りによって隙だらけとなった相手の胸に向い、右腕に送り込んだ魔力で陣魔法を発動。放たれたのは電撃。相手の胸部装甲を焦がしながら、機体全体へと電撃が走る。
「相手を殺さずって事で、雷属性を選んだんだけど」
「……表面へとダメージを与えただけみたいですね」
電撃による衝撃で轟音を響かせながら弾き飛ばされた敵の機体だけど、どうやら魔力の耐性は高かったらしい。流石にコックピットまで電撃が通るという事は無かったようだ。
「……ちょっと驚いたぞ」
「驚かす事が出来たようで何より」
なんて言ってはいるけど、すっごく悔しくはある。今の陣魔法は結構な自信があったからなぁ。それを、装甲だけでカバーされるなんてね。よっぽど古代の機体に使った素材は良い物だったって事なんだろう。
……ぶっちゃけ、ちょっとしたファンタジー鉱石なら溶かす事が出来るだけの威力があったと思うんだけどなぁ。
「電気の耐性を高くしているのかもしれません」
「あー……古代のエンジニア達は俺と同じ用な事を考え、それに対する対策を取っていたと?」
確かに対人で一番効果があるものの一つは電気だからなぁ。それも機体に乗っているともなればね。そりゃ、あんなロボットを作れるだけの技術があるのなら、電気対策ぐらいは考えるか。
もしくは、古代に異世界に転移した地球人とかが考えたのかもしれないけど。
「ふは……ふはは! しかし良い! 実に良い!! 戦闘人形同士の戦闘など出来ぬと諦めておったのだがなぁ。これは思った以上に楽しいではないか。それこそ、巨獣共と戦うよりもな!」
ロボを破壊するのはロボでなければならない。って思いは分からなくもない。
だけど其処まで熱狂するものか? 俺が見ている側なら確かに興奮するだろうけど、実際に機乗して戦っていると興奮するよりも色々と精神がすり減るんだけどな。
あぁ、でもそれは死なないようにとか、殺さないようにって考えているからか。結構ロボに搭載している武器も、ロボを経由した陣魔法も、1つ1つの威力が半端ではないから。
ん? もしかして、これってロボで武器や魔法を使うよりも、バリアを展開した腕や脚で殴る蹴るをしたほうが良いのではないだろうか。
「アル、接近戦いけるか?」
「ファイトするのですね! 勿論いけます!!」
あれ? アルってもしかしてインファイトが大好きなのだろうか。
「行きます! シールドフィンガァァァァ!」
アル!? ちょっとまて、まだ結界用の陣魔法を展開して無いから!! 後、そんな武装とか魔法名は無いから! 何を勝手にネーミングしちゃってくれているのさ。
「む! 接近戦で来るのか! 流石に此方には直接やり合う機能は無いが……良いだろう!!」
ムン! と大剣を構える総大将。どうやら彼もインファイトで迎え撃つ気らしい。
この状況だけど、インファイトと見せつつ、広範囲魔法を撃ち込んだら顰蹙を買ったりするかな? このタイミングで機体を丸ごと凍らせる陣魔法とかを使えば割りと通じそうなんだけど……うん、やっぱソレは野暮ってものだよな。
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