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威圧?

 持久戦へのシフトは思いの外スムーズに進んでいる。

 というのも、獣人の誘導に関しては神獣達の協力により不満を述べる者が全く居なかったからだ。そして更に言うと……。


「長く戦い続ける事が出来るって事で、それも満足しているみたいだね……バトルマニア過ぎるなぁ」

「その内〝自分よりも強いやつを〟なんて言い出しそうだね」


 そして、そんな獣人とは逆でエルフ達の方は最初から〝長期戦〟も視野に入れて動いていたみたいで。


「森の中でゲリラ戦的な防衛をしていくタイプだからかな?」

「ゲリラ戦は本当に根気が必要な戦い方だしね」


 自分達のフィールドに引き込んでから、少しずつ相手を削っていく戦い。一気に勝負を決められるタイミングなんてのは早々無いだろうからね。

 やはりこういった考え方の部分とかは種族差が出ているなぁ……と思う。



 ただ、問題点が全く無いわけじゃない。

 何せ獣人達はどちらかというと〝突撃!!〟というタイプの者達。ともなれば、長期戦における戦術もなければ心構えも無いわけで。


「戦う・食う・寝るのサイクルを交代制でって方針にはしているみたいだから大丈夫だとは思うけど」

「集団で狩りをするのが得意なタイプとそうじゃないタイプの獣人が居るから……少し足並みが揃ってない感じ?」


 こればかりは本当に仕方がないよね。

 犬や狼系の獣人と猫系の獣人。それ以外にも、ウサギやらネズミやらと多種多様な訳で。そしてその中には単独で活動をするタイプの獣人も居る。それはもはや本能的な部分にも関わるものだから、連携を上手く取ってくれ! と言うのも難しい話。

 なのでその部分のカバーは、錬金人形達にやらせていたりする訳なんだけども。


「アル。皆に負担は無い?」

「今の処は問題ありません。そもそも、我々が生産されている理由も〝サポート〟を行うためですから」


 確かに最初はそういったつもりでつくったんだけどさ。自我が芽生えてからは、俺も色々と思う事が無い訳じゃないんだよね。だから、お手伝いに生きがいを感じていてくれているなら、別に今の状態でも良いんだろうけど。


「命の誕生とソレを見守る事こそ、我々の喜びです」


 キリッとした表情をしながらそんな事をいうアル。ただ、そんなキリッとした表情の中にはうっすらと恍惚としたモノが見えたり隠れたり……。

 うん。こいつは自分の言葉に酔っているのか? それとも、本気で命の神秘に喜びを見出しているのだろうか。どちらにしても、なんだかちょっと特殊な方向に覚醒してしまっている気がしなくもない。


「産婦人科にいる錬金人形さん達って、みんな楽しそうに働いているんだよね」


 そういえば前にもそんな事を言っていたなぁ。



 そんな錬金人形達の内心は……また今度にするとして。



 戦況の方はというと、やはりモンスターの数が増えているようで海を埋め尽くすモンスターの黒い影だけども、その層がかなり厚くなっているのがはっきりと分かるようになって来た。

 となると、まずはモンスター達が増えている根源を探す方が先だろうという事で、海中での隠密行動が可能な錬金人魚達に探りを入れてもらうことにした。

 そして、どうやら錬金人魚達はモンスターが湧くスポットとでも言えば良いのかな? ソレを発見したようで。


「禍々しい白い渦からモンスターが次から次に現れている……と」

「その渦も複数あるみたいね」


 渦からモンスターが出てくる……と言うことは、これは異世界と接続されているゲートなのだろうか? それも、一方的にこちらへとモンスターを送り込むタイプの。

 錬金人魚から送られてくる映像を確認しているんだけど、どうもその渦へと戻っていくモンスターは居ないようだしね。そして、出てくる時もポイっと行った感じで渦からモンスターが飛び出していたりする。なにやら、強制的に渦の中から排除されているようにも見える。だから、一方的なゲートなのでは? と思えるんだけど。


「どうする? 多分だけど、このままだと延々とあの渦からモンスターが現れるんじゃないかなぁ」

「渦を閉じる方法が有れば良いんだけど……高火力の魔力爆弾を叩き込むとか?」


 魔力の爆発で吹き飛んでくれるなら楽なんだけどね。ただ、複数の渦があるからなぁ。一番のセオリーと言えば、やはり根源となるモノを叩くのが一番なんだけど。


「根源と言うと、こういった場合は術者とか? でも、術者が居るとは限らないよね」

「特異点を吹き飛ばすというタイプも有るわね。後は要石的な魔道具があるなら、ソレを破壊するといったモノかしら」


 どれもありえるモノではある。ただ、現状だとそういったモノは全く発見出来ていない。


「ただ、術者ってのが一番有り得そうではあるかな? やっぱり最初に感じた魔力の圧が今は無いってのが気になるんだよね」

「こっそりと何処かに隠れて渦を維持していると言った感じかしらね」


 多分その可能性が高いんじゃないかな。と言うのが俺の予想。


「多分だけど、何処かでニヨニヨしながら私達が疲弊するのを待っているんだよ」

「姑息すぎるじゃん!」

「……戦術としては正しい」


 物量で勝るのであれば、当然の戦術ではあるかな。ただ、その場合は物量の全てを消耗品として扱っているという、とても嫌なタイプの上司って事になるんだけど。


「使っている消耗品がモンスターだから、全く心が傷まないのかもなぁ」

「……ソレは許されない」


 雪さんの言葉に、スライムに女王蜂や働き蜂達がとても嬉しそうに飛び回っている。

 彼らもただのモンスターではないからね。消耗品扱いをされて嬉しいと思うわけがない。やはりレベルががっつりと上がった事で、しっかりとした自我とか意思というものがモンスターにも芽生えているって事なのかも。


 となるとだ……こうして、ただただ突撃して来ているモンスターってのは。


「意識を奪われているのか、はたまた本能で突撃して来ているのか……」

「……関係ない。ただの迷惑」


 迷惑。うんまぁ、確かにそうなんだけどね。

 こちとら静かに暮らせたらソレでいいのに、こうして攻め入られているわけだからさ。そして、こうして攻めて来ている理由が、たとえ〝洗脳されているから〟だとしても、俺達には全く関係が無い話なわけで。


 可哀想だと同情する余地はあるかもしれないが、だからといって手を抜く理由にはならない。もしここで、同情心から手を抜いて、自分達の後ろにいる人達が傷付いてしまうなんて未来が無いわけでもない。そして、それは絶対に起こしてはいけない内容だ。


「ま、本能のまま突撃してきているってだけなら同情心なんて全く無いけど」

「知らない世界に飛ばされて混乱しているって可能性もあるけどね」


 いつぞやのレヴィアタンとかもそんな感じだったっけ。

 確かにそんなパターンもあるけど、混乱しつつも〝餌だ!〟って突撃して来ている訳だからなぁ。だからこの場合は、もはや弱肉強食な戦略戦闘なわけで。


「なんて事を言いつつも、最終的には美味しそうなモンスターなら食肉にして食べるだけなんだけど」

「……ん。食は正義」


 どれだけ言葉を重ねても、結局は討伐する訳だからね。だったら、討伐した後はしっかりと〝食材〟なり〝素材〟として有効活用させて貰う。……ま、こんなのは人間のエゴだけど、それが奪った命に対する敬意ってモノでしょ。


 なんて事を考えたからだろうか? 一瞬モンスター達の動きがものの見事にピタリととまった。


「雪の食への探究がモンスターの動きを止めたじゃん」

「恐ろしいまでの食欲と言えば良いのかしらね? もはや相手を押さえつけるまでの圧になるなんて」

「……ボクはそこまで卑しくない」


 捕食しようとしている側が、捕食される!? と恐怖に慄いた。そう捉えられてもおかしくないタイミングだったからなぁ。


「雪さんや。涎を出しながらそんな事を言っても説得力が皆無だよ」

「……涎なんて垂れてない」


 ゴシゴシと袖で口元を拭いた後、何事も無かったかのように取り繕う雪さん。……だがしかし、ほんのりとその口の端にはキラリと光るモノが補充されていたりするんだけど?


「安心してください雪様。食材の方は我々の方でしっかりと確保しております」

「……ん。でかした」


 ……海中の錬金人魚達が海に沈んだ〝モンスター〟をしっかりと回収しているらしい。……決して食材を回収しているわけじゃないからな? そこは間違えないように。




 それにしても、あの渦からはいったいどれだけのモンスターが出てくるのだろう? もしかして異世界のモンスターを全てこちらへと呼び寄せているなんて事はないよな? もしそうなるといったいどれだけの日数の間、戦い続けなければいけないのだろうか。

 やはりここは、さっさとあの渦を閉じる方法を探す必要があるだろう。……ただ、その大本は一体どこに有るんだろうね? 錬金人魚達が探りを入れてくれてはいるけど、海中からだと海上の状況を全て把握するのは難しいからなぁ。何か良い手があると良いんだけど。

ブックマークに評価ありがとうございます!((。・ω・)。_ _))ペコリ




昨日は体調不良MAXで更新が出来ませんでしたorz<モウシワケナイー

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