じりじりと……
強化を行った装備やロボのテストを行う日を決めた。だが、残念な事にそのテストは行われる事が無かった。というのも、テストを行う日の朝の事だ。
朝起きたら、島全体の空気が震えていた。その原因を探ってみると、海側から中央へと駆け抜ける強力な魔力によるモノであった。
であれば、このビリビリとひりつく様な空気の原因が、異世界から何かが地球へ来たと考えるのが妥当だろう。そう考え、即座に居住区へ緊急事態宣言。皆、急いで隠れろ! と思いつつ出撃準備。そして、フロントを務める人達を召集し新装備を配っておく。テストをしていない為、使うかどうかは本人次第という事で。
ただ、普通に戦うだけなら普段の装備で良いと思う。この新装備を投入するとすれば、それは普段の装備ではどうしようもない状況に陥った時だろう。
そんなこんなで……。
浜辺にはクラスメイト・エルフや獣人で戦闘が可能な者・錬金人形による防衛陣が敷かれている。そして、其処から見える海には……。
「大群だね」
「大軍だなぁ……」
群れと捉えるのか、それとも軍と捉えるのか。それは個人の感想次第かな? 何せ見えているのは海を埋め尽くしているモンスター達。
ただ、モンスターというなら群れで良いんだけど、その群れが綺麗に整列している事を考えるとね。これは〝軍隊〟では? と思う部分もあるんだ。
「状況的には内側に引き込んでからのゲリラ戦を行うのが望ましいんだけど、住民の安全が確保されていないからね……上陸阻止の戦い方を選ばないといけないんだよなぁ」
「これだから異世界から突然現れるパターンってのは嫌になるよ」
準備が全く間に合わないからね。だからこそ、過剰ともいえる防衛力を上げるしかないんだけど。
「ただソレも、まさかテスト前に現れるなんてなぁ……」
「本当だったら、今日の昼過ぎあたりからテストをする予定だったもんね」
いくら予想して準備をしていても間に合わないってのは辛い。もっと早くから準備をしておけばと思わなくもないけど、素材の量などの兼ね合いもあるからね。だから、諸々の事から考えられる限りでは、最速で準備をしていたはず。
さて、とりあえずは睨み合いが続くかな? 相手も不用意に動くつもりはなさそうだし。
ここで相手を動かす手はある。海中に潜ませている錬金人形達に攻撃を行わせれば、相手は嫌でも動くだろうからね。
ただ、相手が何を考えてモンスター達を並べたのだろうか。これがもし、話し合いの前の威圧だというのであれば、先制攻撃を行うのは悪手だろう。
となると、こちらも数で威圧を行うか? いや、どう考えてもモンスターの数に比べるとそれは無理がある。全錬金人形を総動員しても、数の勝負には勝てる気がしない。……目測でだけど、恐らく俺達が1だとするのなら、相手は3~4といった数の差がある。
「質は負けていない……と思いたいなぁ」
「魔力の圧だけから考えると、厄介なのは少ないと思う」
今、目の前のモンスター達から感じる圧と、目が覚めた時に感じた圧は全くの別物だ。
恐らくだけど、最初の圧を持つ者がこのモンスター達を呼び出したのか、それとも異世界から連れて来たのか。ただ、そのどちらにしても、最初の圧を放った者の圧は息を潜めているのだろうか? 今は圧を感じない。ただただ、モンスターの数によるプレッシャーのみと言った状況。
「思うんだけどさ。圧を掛けるだけなら、こうしてモンスターを並べるよりも最初の1人? 1匹? どっちだろう。まぁ、最初のヤツが圧を出し続けたほうが良いんじゃないかなぁ」
「やっぱブラスミさんもそう思う? 雑魚を並べるだけだと、逆に弱腰に感じるよね」
異世界だと通用したのかな? 人が居る場所への圧掛けでモンスター達を溢れさせるやり方。
確かに、異世界で行われるであろう防衛戦を考えるとなぁ……巨大な壁を盾にモンスター達と戦う訳でしょ? それも、戦える人間よりも守るべき人間が圧倒的に多い状況で。それならこの戦法も効果的なのかもしれないけど。
「この島って住民より錬金人形の数の方が多いからなぁ。確かに戦闘用と生産用って感じで分けられてはいるけどさ」
ただ、生産用でも資源採掘用とかなら戦闘は可能なんだよね。何せ硬い岩を削ったりする為の装備とかを着けているからね。
「普通は戦闘用の錬金人形が溢れかえっているなんて考えないと思うのだけど……」
「……もっちーの発想が異常」
「普通なら作るとしても、サポート要員に少々だよなぁ」
「住民以上ってのはやらないよね?」
なんか皆に言われている気がするけども、これはスルーしておこう。だってさ、錬金人形という名のロボットが溢れかえっている状態とかって夢があるじゃん。
それも、人とロボが仲良く手を取り合って生活しているんだよ? そして、そんな状況を実現出来るだけのモノを手にしたのなればねぇ……そりゃ、やるしか無いでしょう。
それにだ。今こうして、相手の数に合わせてある程度カバーが出来ているのも、大量に戦闘用の錬金人形を作ったから。だから、出来れば先見の明があったと言って欲しいところだ。
ともあれ、こうして睨み合いを続けている訳なんだけど……どうやら相手の方が先に痺れを切らしたようで、じわりじわりと島に向かってモンスター達が躙り寄り始めた。
綺麗に進行速度を合わせながら進んでいるのを見ると、やはりアレらはよく訓練されたモンスター達なのかな。もしくは、洗脳か魅了でも受けたモンスターなのか。ともあれ、あのモンスターと対峙するのは一筋縄ではいかなさそうだなぁ。
うーん……範囲攻撃で一気に殲滅したい気もするけど。さて、相手が何処まで進行して来たら、こちらも攻撃を開始するべきだろうか。こればっかりはタイミングを間違える訳にはいかないからね。本当に判断が難しいよ。
ブックマークに評価ありがとうございます!(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ペコリ♡...*゜




