閑話・一般人と異世界人
今まで地球に現れた〝野良〟のモンスターが暴れていたのは海の中だけであった。
景達が住む島や各国の軍や異世界人の居る離島に関しては、管理されているモンスターなので別扱い。
さて、最初に〝今まで〟と言ったように、遂に地球上で変化が起きた。いや、起きてしまった。
異世界の映像が見えてきた人里から離れた場所。其処へ小さな小さなモノではあるがモンスターの姿が発見された。
発見したのは一般人が森へと入らないように監視していた軍人。日本においては自衛隊に所属している者だ。彼らは離島でそこそこレベルを上げており、彼らの前に現れたモンスターを難なく討伐することが出来た。
初の野良モンスターを討伐。この快挙に人々は浮かれそうなものだが……余り世界では動きが無い。と言うよりも、世界では今だに〝異世界人の来訪〟の事で話が賑わっていた。
「何とも平和な話だな」
軍や自衛隊に対する信頼なのか、それとも今の自分達とは関係ないと考えているのか。
確かに自然が多い場所へと足を運ばなければ、現状ではモンスターと遭遇するといった事は無い。しかしソレは〝今〟だけの話。将来的にどうなるかなどは分かっていない。
そういった事から、ある程度でも先の事が見えている人からすれば、溢れ出たような感想が出るのも当然と言えるだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
離島に住む異世界から来た〝丸耳族〟の者達。彼らは自らの力が下がっているという事に、多少の落胆を覚えつつも〝地球という異世界に来たからだろう〟と考えた。
そして、それならば! と、彼らは自らを更に鍛える為に〝離島のモンスター〟を次々と討伐する事にした。
「魔石は出るが、食肉は手に入らぬか……」
「魔石が手に入るだけでもマシじゃないかなぁ。お肉とか魚はあの特殊なお店で交換ができるし!」
特殊なショップ。それは景が各離島に用意した魔石で食料や食材と交換が可能な店だが、勿論交換出来る物は食料品だけではない。日常品も色々と交換出来る物がある。
「ペンと紙が簡単に手に入るというのも凄い話だよな」
「羊皮紙じゃないもんね」
「板でも無いんだよなぁ」
真っ白で綺麗に四角く加工された紙。これを無尽蔵に使えるというだけで、彼らは異世界での生活との違いに驚いていた。
「そうそう! ペンも何なの? カチって押すだけで書ける物が出るとか!」
「この芯という物を入れるだけで書ける回数が増えるというのも、恐ろしい発想だな」
手にしているのはシャープペンシル。まるで子供の様に何度も何度もカチカチと芯を出しては入れ直してを繰り返している。
日常品であれば他にも様々な物に驚いているのだが。今ここで話をしている彼らに限っては、やはりペンと紙が一番重要の様子。何故なら彼らは文官だからだ。
彼らにとって、如何に書きやすいのか。そして、書いた物がどれだけ綺麗に残るのか。この事が重要だ。
「ボールペンでしたっけ? こちらの消せないペンも書きやすくて」
「消せるペンと消せないペンを使い分けられると言うのは、本当に楽で仕方がない」
「書いた物を、こうして保護シートでしたっけ? コレを付ける事で水に濡れても大丈夫とか、何なんですかね? この世界は」
「さてな。私が聞いた話だと、魔法が今まで無かったからなのかこういった技術という物が発展したらしいぞ」
「魔法が無いから魔法の様な物を作るようになったと?」
有名なSF作家が言った言葉に〝十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない〟といった言葉がある。
確かにと言えば良いのだろうか。異世界から来た者達からすれば、少し手を加えただけで水に溶けない紙が出来るなど、魔法と大差が無いのだろう。
寧ろ、魔力の動きが無いのに魔法と同じ現象が起きている分、それだけ驚くべき内容なのかもしれない。
「姫達が行った日本という国はどんな場所なのだろうな?」
「こういった物が溢れている場所なんですよね? 私も行ってみたかったなぁ……」
記録魔でもある彼らは、自ら見て地球という世界を記録したかった。
しかし、姫と動向して日本へと行った者達は基本的に地位が高い。なので、そこそこの地位にいる彼らは離島でお留守番になってしまうのも当然なのだが。それでも自分達の目で違う世界を見てみたいという思いは、日常品を使う度に高くなっていく。
「いつか安全に行けますかね?」
「其処は彼の国の状況や、姫達の交渉次第だろうなぁ」
新しい物をもっと見たい。なので交渉が上手く行ってくれ。そう願う2人の異世界人であった。
ブックマークに評価ありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ




