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勇者見習いは淫魔に惑わされる6

「あ、アイリスさ――!?」


 と、ユウナが最後まで言葉を発する前に。

 どんどん近づいてくる、甲羅の大地。


 ユウナを抱えて飛行してくれていたアイリス。

 彼女の体力が尽きた結果――ユウナ達の高度がどんどん下がっているのだ。


 などなど。

 ユウナがそんな事を考えている間にも。


 ドンッ!


 ユウナとアイリスは、盛大に甲羅の上に落下。

 結果――。


「うぅ……ひた、噛んらぁ」


「あぅぅ……ユウナってば、重いですぅ」


 と、アイリスの声が聞こえてくる。

 ユウナは思わず、そんな彼女へと言う。


「お、重くないもん! アイリスさんが墜落したのは、あたしの体重のせいじゃなくて――」


「ち、違います……い、今の話です」


「今の話?」


 いったい、アイリスは何のことを言っているのか。

 ユウナは思わず首をひょこりとかしげる。


 と、ここでユウナはとある事に気がつく。

 アイリスの姿が、周囲を見回しても見えないのだ。

 ならば、先ほどの声はいったいどこから――。


「し、下……下ですよっ」


 と、アイリスの声が再び聞こえてくる。

 下とはいったい――ユウナはとりあえず、視線を下へと向ける。

 するとそこには。


「うぅ……ユウナの尻に敷かれてしまいました、無念っ」


 アイリスがうぐっとした様子で、地面に突っ伏していた。

 要するにそう、ユウナはこれまでずっと、アイリスの背中の上に座っていたのだ。

 きっと落下した時の拍子に、こんな体勢になったに違いない。


「あ……ご、ごめんなさい!」


 ユウナはパッと、アイリスの上から飛び退く。

 そして、ユウナは彼女へと手を差し出しながら言う。


「大丈夫? 立てる?」


「それではお手を拝借――よっこらせっと」


 と、立ち上がるアイリス。

 すると彼女は、にっこり笑顔でユウナへと言ってくる。


「あは♪ ユウナのおかげでこのアイリス、無事に立つことができました!」


「えっと、ごめんね? アイリスさんの上に乗ってたの気がつかないで」


「問題なしですよ! ユウナのお尻、柔らかくて気持ちよかったですし!」


「なっ!?」


「あ、顔が赤くなりましたよ、ユウナ! も~うっ、かわいいですね~このこの~っ!」


 ぷにぷに。

 と、ユウナの頬を突っついて来るアイリス。

 ユウナはそんな彼女の手を払い、後退しながら言う。


「冗談はやめて!」


「え~~、冗談じゃないですよ♪」


「と、とにかく! これからどうするの?」


「私とどんなプレイするか、的なことです?」


「違うよ! キノコタートルの甲羅の上から、どうやって脱出するかっていうこと!」


「あ~、そっちですか! ユウナは紛らわしいですね!」


「…………」


 もはや何も言うまい。

 ここで下手に突っ込むと、また話が変な方向に逸れてしまう。

 ユウナは実体験および、ジークを通してアイリスを学びつつあるのだ。


 などなど。

 ユウナがそんな事を考えていると。


「脱出にかんしては心配ないですよ! さっきは突然だったんで落ちちゃいましたけど、覚悟の準備をしておけば、一人くらいなら抱えたまま滑空できます!」


 と、アイリスの声が聞こえてくる。

 彼女はそのまま、ユウナへと言葉を続けてくる。


「もう一度断言しましょう! 要するにつまり、脱出にかんしては問題なしってことです!」


「じゃあ、早く脱出しないと! ゆっくりとだけど、キノコタートルは歩いてるみたいだし、このままだと遠くまで運ばれちゃう」


「もちろんそうしますとも! だがしか~~~~し!」


 ズビシっと、ポーズを決めるアイリス。

 彼女はニッコリ笑顔で、ユウナへと言ってくるのだった。


「せっかくなので、キノコは頂いていきましょう! なんて言ったって、このキノコは伝説の催淫――おっほん、伝説の珍味なのですから!」


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