表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/207

淫魔の?助け3

「ふっ……勝った」


「ばぶっ! ばぶぅ~!」


 と、聞こえてくるのは男の声。

 先ほど、猫を蹴り飛ばそうとしていた冒険者だ。


 なぜこうなっているのか。

 その理由は簡単だ。


(いやぁ、やっぱり精神操作魔法で、精神をバブバブちゃんにするのは楽しいですねぇ!)


 きっとこの冒険者は今後。

 死ぬまで精神が成長する事無く、永遠にバブバブしているに違いない。

 アイリスの猫を傷つけようとするから、こういう目にあうのだ。


 などなど。

 アイリスがそんな事を考えていると。


「あ、あの……」


 と、聞こえてくる少女の声。

 彼女はアイリスに近づいて来ると、そのまま彼女へと言ってくる。


「助けてくれて、本当にありがとうございました!」


「はい?」


「あ、その……冒険者から守ってくれて、本当にありがとうございました!」


 と、同じことを言ってくる少女。

 ここでアイリスはふと気がつく。


(あぁ。『猫を守ってくれてありがとう』ってことですね!)


 けれど、どうしてこの少女が、そんなお礼をしてくるのか。

 だがまぁいい。そんなのは些細な問題だ。

 と、アイリスは少女へと言う。


「私は当然の事をしたまでです! あんな状況、見過ごせるわけがないですからね!」


「……っ!」


「ちょっと! なにお祈りしてるんですか!? 私にお祈りとかやめてくださいよ!」


「親切で正義感が強いだけでなく、なんて謙虚な方……まるで伝説の勇者様の様」


「はぁ!?」


 アイリス、現代で目覚めてから一番の悪寒がした。

 ミアと似ているとか言われるのは、控えめに言って最悪だ。


 よし決めた。


 ついでなので、この少女で遊んでいこう。

 なんせこの少女――冒険者が襲うだけあって、かなり可愛い。


(どうしましょうかねぇ……やっぱり、必死に嫌がってるところは見たいですし)


 ゴブリンかオークか。

 その辺りが妥当に違いない。

 と、アイリスがそんな事を考えたその時。


「にゃ~~っ!」


 と、聞こえてくる猫の声。

 見れば、追いかけていた猫が再び、走っていってしまった。

 こうなればもう、少女に構っている暇はない。


(この子はもったいないですけど、猫を追いかける方が無難ですね!)


 なんせよく考えてみれば――。

 少女を可愛がれば、確実にジークに怒られる。

 しかし、猫は可愛がっても怒られないのだから。


「あ、待って下さい! せめて名前を!」

 

 と、走るアイリスの背後から、聞こえてくる少女の声。

 そんな少女は、アイリスへと言葉を続けてくるのだった。


「あ、あたしずっと覚えてます! 助けてくれたあなたの事……真の勇者様のこと、絶対に忘れません!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ