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第九章 魔王は正々堂々戦いを挑む4

 そして現在。

 時はジークが、メインストリートの冒険者を全滅させてから数分後。


「改めてみると、本当に下品な装飾のギルドだな」


 ジーク達は冒険者ギルドルコッテ支部の前に立っていた。

 なお、ブランは巨大すぎたため、人間状態に戻っている。

 そして、そんなブランはジークの袖をくいくいしながら――。


「なんだか、みんな見てる……照れる」


 と、そんな彼女の言う通り。

 民家の中――カーテンの隙間から、無数の視線がブランを見ているのだ。


(俺が冒険者と戦った時も、ある程度の人の視線は感じたけど……桁違いだなこれは)


 もっとも、理由はなんとなくわかる。

 と、ジークはそんな事を考えたのち、ブランへと言う。


「まぁ、そりゃあ空から巨大な白竜が降りてきて、いきなり人間になったらビックリするよな。おまけに、ブランは俺が戦っている間、要塞とも戦ってくれたわけだし」


「ん……ブラン、悪いことしてない?」


「大丈夫だ。たったそれだけで悪いことしてる判定なら、このギルドの長は生きてる価値もないくらい悪人ってことになるから」


 と、ジークは改めて冒険者ギルドルコッテ支部を見る。

 すると見えてくるのは、至るところに金と宝石のついた装飾過多な建物。

 太陽の光でキラキラ光っているのが、むしろシュールに見える。


(それに比べて、なんだこの格差は……)


 ジークが眼をやったのは、窓から顔を出している一般の人々だ。

 彼等の顔はやつれ、着ている服もボロボロ。

 上空から見た限り、その住居はきらびやかにもかかわらずだ。


(五百年前なら、冒険者ギルドがある街は栄えていて、人々にも活気があった……でもまぁ、仕方のないことか)


 なんせ、今の時代の冒険者ギルドは盗賊ギルド。

 そんなものが街にあれば、実質盗賊団に支配されているのと変わらない。


(たしかエミールの奴は街の建物にだけは、お金を援助してたよな。他の街から来る旅人とかに、ルコッテが綺麗だって見せつけたいから)


 まるで超高級な虫かごだけ買って、中に住む昆虫の世話は放棄する飼い主のようだ。

 その結果、中に住む昆虫はどんどん衰弱していく。


(いや、それすらも違うか……エミールはどちらかというと、中の昆虫をイジメてる)


 なんにせよ、悪辣極まりない。

 と、ジークがそんなことを考えたその時。


「なんだこの騒ぎは! まだあいつらを倒せていないのか!?」


 そんなエミールの声が聞こえてくるのだった。


さて……これは毎回、言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス星5までの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

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