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第九章 魔王は正々堂々戦いを挑む3

「あぁ。俺がやるのが一番早い――要塞の方は、エミールがビビッて引きこもらない程度に相手しといてくれ」


「え、ジークくん!?」


 と、聞こえてくるのは、やや慌てた様子のユウナ。。

 けれど、きっとアイリスが説明してくれるに違いない。

 ジークはそんな事を考えた後――。


 ブランの背からメインストリートめがけ、飛び降りた。


 凄まじい風切り音。

 どんどん迫って来る地面。

 そして、ジークがメインストリートに着地した瞬間。


「っ――なんだ!? 地面が爆発したぞ!?」


「空から何か降ってきやがった! あいつらの魔法か!?」


 と、聞こえてくるのは冒険者達の声。

 その声は、巻き上がった砂埃の向こうから聞こえてくる。


「邪魔だな」


 と、ジークはやや強めに腕を振るう。

 すると、砂埃は瞬く間に晴れていく。

 当然、後に残ったのは亀裂が入り、クレーター上に割れた地面と――。


「ま、魔王だ……攻撃しろ――全員攻撃だぁああああああああああああああああっ!」


 と、ジークから距離を取りながら言ってくる冒険者。

 同時、ジークへ降り注ぐのは千人の冒険者による魔法。

 これだけの魔法の直撃を受ければ、アイリスですら大ダメージを受けるに違ない。

 規模で例えるのなら、街一つ半壊させかねない威力だ。


(全く……自分達の街への被害を考えてないのか?)


 もしくは、エミールにそう命令されているのか。

 いずれにしろ、愚かなことには変わりない。


 ジークはそう考えながら、飛んでくる魔法の群れへと手を翳す。

 そして、力を込めて何もない空間を握りつぶす。

 すると――。


 空を覆い尽くしていた千を越える魔法。

 その全てが、一瞬で消えた。


「ば、バカな!?」


「いったい何が起きた! 俺達の魔法が不発したのか!?」


 と、聞こえてくる冒険者達の戸惑いの声。

 この程度のこともわからないとは、現代の人間は本当に弱々しい。

 ジークはうんざりしながら、彼等へと言う。


「お前達の魔法に介入し、遠隔操作で自壊させただけだ」


「そ、そんなことが――」


「できるんだよ、俺にはな。ついでに言うなら、お前達レベルの魔法――俺がその気になれば、放つ間際に暴走させることすらできる」


 もっとも、この人数だ。

 それをすれば街が吹っ飛んでしまうに違いないが。


「さて、次は俺の番でいいな? 上で仲間を待たせてる……少し本気で行くぞ」


 と、ジークは《隷属の剣》に軽く闇魔法を纏わせる。

 そしてそのまま、それに力を込めて振り抜く。

 直後――。


 メインストリートを奔ったのは、幾本もの黒い刃。

 それらは凄まじい速度と射程で、冒険者達を次々に切り裂いていく。


「終り、か……やっぱり弱いな、この時代の人間は」


 と、ジークは振りぬいた剣を鞘へと納める。

 そんな彼の前には、千人以上の冒険者が倒れていたのだった。


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