第九章 魔王は正々堂々戦いを挑む2
そうして時刻は昼。
場所は――。
「すごい、すごいよジークくん! 地面があんなに遠く――下に見える!」
「さすが魔王様ですね! まさかブランに、竜化能力まで付与していたなんて!」
と、聞こえてくるユウナとアイリスの声。
ジークはそんなアイリスへと言う。
「俺は能力を付与したわけじゃない。ブランの力を引き出しただけだ。これは宿魔人としてのあいつが持つ、本当の能力ってわけだよ」
さて、件のブランが見えない理由だが、それは簡単だ。
説明をわかりやすくするため話を戻すが、現在の時刻は昼。
場所は白竜ホワイト・ルナフェルトと化した、ブランの背中の上だ。
ようするに、ジーク達の足場こそがブランなのだ。
(にしてもブラン、しょっぱなから竜化できるとは思わなかったな)
ブランは闇の紋章との結びつきが深く、普通の宿魔人より強力な個体だ。
さらには本人の才能も豊か……だからこその、しょっぱな竜化に違いない。
(でも、ブランのおかげで今日の予定がだいぶ短縮できる)
ジークとしては、ブランに感謝しかない。
本当にいい仲間をもったものだ。
「ジークくん、あれ! 見えて来たよ!」
と、言ってくるのはユウナだ。
ジークがそんな彼女が指さす先を目で追うと、そこにあったのは――。
これまで立ち寄った村とは違い、とてもきらびやかな街。
なかでも、エミールの本拠地であるギルドは凄まじい――巨大な門、遠目に見える武装。
まるで小さな城……要塞とも言える。
(いったい何と戦うつもりやら。あそこに金を使うなら、街の淀んだ空気をなんとかする方が、まだ有意義だろ……住民から生気をまるで感じない)
なんにせよ、ここがルコッテ――エミールが支配する街だ。
そして、ジークの本日の予定の実行地でもある。
(ん? この街から感じる魔力……これはまさか)
と、ジークはここでとあることに気がつく。
けれどまぁ、別に仲間に言う程の問題でもないに違いない。
さてさて、遅れたが……ジークの本日の予定とはもちろん。
「それじゃあ朝説明した通り、これから俺達でエミールと、冒険者ギルドルコッテ支部を潰す。まずは――」
と、ジークが言いかけたその時。
ジーク達の前方から、先の要塞による砲撃が。
下方向からは、弓の形をした炎や雷の玉が飛んでくる。
竜化しているブランは、これら全てを器用に躱していく。
もっとも、仮に命中してもブランならばダメージは受けないに違いないが。
(にしても、後者は攻撃魔法か……たしか、方向はメインストリートの方だったな)
と、ジークはそちらに視線を向ける。
するとそこには――。
「うっわ、千人くらい居るじゃないですが!? まるで人がゴミのようですね! っていうか、あのエミールとかいうやつ――魔王様にメチャクチャびびってますね!」
と、そんなアイリスの言う通り。
ジークの視線の先には、大量の冒険者達。
その全員が完全武装しているのが見て取れる。
「ジークくん、あれどうするの?」
と、言ってくるのはユウナだ。
彼女は不安そうな様子で、ジークへと言葉を続けてくる。
「なんだか、戦争でも始めそうな装備だけど……」
「あぁ、そうだな。たしかにあの装備なら、これから戦争に行くって言っても不自然じゃない」
しかし、ジークにとってはあれでもまだ不足だ。
そもそも、人数が決定的に足りていない。
と、ジークはそんなことを考える。
その後、彼はアイリスへと言う。
「ブランが警戒してくれてるから、大丈夫だとは思うが――」
「ユウナの護衛ですね!? も~、仕方ないですね! 魔王様のためなら、なんでもやってあげますとも! ……で、行くんですね?」
「あぁ。俺がやるのが一番早い――要塞の方は、エミールがビビッて引きこもらない程度に相手しといてくれ」
「え、ジークくん!?」
と、聞こえてくるのは、やや慌てた様子のユウナ。。
けれど、きっとアイリスが説明してくれるに違いない。
ジークはそんな事を考えた後――。
ブランの背からメインストリートめがけ、飛び降りるのだった。
さて……これは毎回、言ってることなのですが
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