第六章 罠3
そうして、老人の案内のまま歩くことしばらく。
ジーク達は件の村へと到着していた。
「なに、これ……酷い」
と、言ってくるのはユウナだ。
彼女は村を見渡しながら、言葉を続けてくる。
「家もボロボロだし、人が誰もいない。それに道も荒れて、草も伸び放題……これじゃあ、まるで今は人が住んでいない廃村みたい」
「爺さんの話だと、村人は奴隷扱いされている。だから、きっとどこかに収容されているんだろうな――強力な魔法使いが居るみたいだし、絶対に逃げられないように、普段は魔法も使って拘束されてるんだろう」
「え、でもそれって……」
と、ジークの言葉に違和感を覚えたに違いないユウナ。
彼女はチラリと、ジークに背負われている老人を見ている。
(そうだよ、ユウナ。そんな状況で、こんな老人が逃げ出せるなんてありえないんだ)
とまぁ、そんな老人はこの村に着く少し前から眠ってしまっている。
まるで、精神操作魔法の反動がきたかのように。
「さてと……俺は少し運動してくるから、爺さんはアイリスとユウナに任せる」
言って。
ジークは老人を二人へと渡す。
「それじゃあ魔王様、この人の洗脳は言われた通り解いておきますね! 魔王様は存分にその力を振るって楽しんでください!」
「え、えっと……ジークくん、どういうこと?」
と、それぞれ言ってくるアイリスとユウナ。
ジークはそんな彼女達から離れ、村の中央まで歩いていく。
すると。
「てめぇがジークとかいう魔王野郎か」
「まんまとお引き寄せられやがって……仲間が世話になったな」
聞こえてくる男達の声。
見れば廃屋から、続々と盗賊達が姿を現してくる。
そんな奴らは、続けてジークへと言ってくる。
「どうしたよ、ビビッて声もでねぇか?」
「残念だったな、あの爺さんは俺達の仕込みだったんだよ」
「精神操作魔法で洗脳してな、ちょっと一芝居うってもらったわけだ」
「まぁ、この村が俺達に支配されてんのは本当だけどな」
「ぎゃははははははははははははっ! ったく、ちげぇねぇ!」
もっとも、ジークはそんなことなど、とうの昔に見抜いていた。
故にジークはそんな盗賊達へと言う。
「残念だが、おびき寄せられたのはそっちだ」
「あぁ!?」
「お前たちが白竜傭兵盗賊団の本体なんだよな? 邪魔な奴は元から断ちたかったらな……わざと罠にかかってみたんだ」
それにあの老人は洗脳されてはいたが、言っていることは真実味があった。
なおかつ彼の身なりはアレだ。
(白竜傭兵盗賊団は置いておいたとしても、村になにか起きている確信はあった……そういうのを気にするユウナのためにも、放っておけるわけがない)
ジークは「さて」と一息、右手で剣を鞘から引き抜く。
そして、彼は盗賊達へ言うのだった。
「つべこべ言ってないで、かかってきたらどうだ――もしも本当に、俺をおびきよせられたと思ってるのならな」
さて……これは毎回、言ってることなのですが
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