表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

198/207

アハトの災難2

 そうして場所は変わって宿屋前。

 現在――。


「あは♪ 狐っくさい!」


 と、第一声でそんな事を大声で言うのはアイリスだ。

 当然、周囲から凄まじい視線が刺さってくる。

 よって、アハトはすぐさまアイリスへと言う。


「どうしておまえは、そういう事を言うのですか!」


「え、だって狐っくさいんですもん!」


「そんな匂いはしません! というか仮にしたとしても、失礼だとは思わないのですか?」


「思う訳ないじゃないですか! だって相手は裏切り狐ですもん!」


 べ~っと周囲の狐娘族へ舌を出すアイリス。

 彼女の狐娘族嫌いは相当なものに違いない。


(アイリスの人間嫌いは知っていますが、狐娘族嫌いはそれ以上みたいですね)


 たしかその原因は、狐娘族の裏切り行為だという。

 なんでも五百年前、狐娘族は魔物なのにジークから離反した。

 そして、勇者ミアの側についたそうなのだ。


「…………」


 よくよく考えてみると、アイリスが嫌う要素しかない気がしてきた。

 短い付き合いだが、アハトにはすでにわかる――アイリスのジークに対する好意と尊敬が。


 だがしかし。

 その裏切りはあくまで、五百年前の話だ。

 しかも、当のジークは全く気にしていない様子。


(というより、ジークなら『面白い』とでも思っていそうですが……)


 などなど。

 アハトが考えている間にも。


「こらちょっと! そこの駄狐! な~に見てるんですか!? 私はこの街を救ってあげた魔王様パーティーの副リーダー――プリティサキュバスのアイリス様ですよ!?」


 と、狐娘族にがんを飛ばしているアイリス。

 なんにせよ、このままにしておけないのは確かだ。

 故にアハトはアイリスへと言う。


「ジークが見たら悲しみますよ」


「え、なんでですか?」


 と、言ってくるアイリス。

 アハトはそんな彼女へとさらに言葉を続ける。


「というより落胆するかもしれませんね」


「だからどうしてですか! 私がやっている行為が正しくないわけあるだろうか……いやない!」


「ジークは狐娘族を恨んでいないように見えます。なのに、ジークが信頼しているアイリス――おまえが狐娘族に敵意を向けていれば、ジークはいったいどう思うでしょうか?」


「そりゃあ『俺の代わりによくやった!』って――」


「思うと思っていますか? 本当に?」


「うぐっ」


 と、黙り込むアイリス。

 どうやら彼女も、心の底では『自らの行いが間違っている』とわかっているに違いない。

 ならば、アハトがする事は決まった。


「アイリス、この手を取りなさい」


「?」


 と、アハトの言葉に首をかしげるアイリス。

 アハトはそんな彼女に対し、さらに言葉を続けるのだった。


「わたしが、おまえと狐娘族のわだかまりを解決しましょう――わたしが憧れるミアならばきっと、そうするでしょうから」


『常勝魔王のやりなおし』書籍版3巻


絶賛発売中です!


エ○シーンが見れるのは、書籍版のみです!!

それはもうかなり加筆しているので、よろしければ読んでみてください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ