ジークとユウナと狐娘族
時はジークがウルフェルトを倒してから数日後。
場所は変わらずイノセンティア。
現在は早朝。
ジークは宿屋の自室にて、読書をして――。
「ジークくん、入っていい?」
と、ノックの音と同時に聞こえてくるのはユウナの声だ。
ジークはそんな彼女へと言う。
「あぁ、入ってきていいぞ。というか、お前なら別に勝手に入ってきても構わない」
「でも、親しき中にも礼儀ありだよ?」
言って、室内へと入ってくるユウナ。
彼女は扉を閉めた後、そのままジークの方へと近づいて来る。
ジークはそんな彼女へと言う。
「それで何か用か?」
「うん! ちょっとイノセンティアを見て回りたいんだけど。ほら……あたしたち、荒れている時のイノセンティアしか見てないでしょ?」
「色々ごたごたしていたからな」
ウルフェルト関連で、観光などしている場合ではなかった。
なんせ、イノセンティアについた瞬間から、ウルフェルト討伐にかけまわり出したのだから。
そして、ウルフェルトを倒してからも大変だった。
捕まえられている狐娘族を解放して回ったり。
ウルフェルトが生贄にした冒険者達の墓を作ったり。
なお、冒険者の墓を作ろうと言いだしたのはユウナだ。
ジークとしては『燃やしてしまえばよかろう』派だった。
(ユウナは真の勇者として覚醒してからも、相変わらず優しいな)
などなど。
ジークがそんな事を考えていると。
「ほら、イノセンティアってここ数日で、すっごい復興が進んでるでしょ?」
と、聞こえてくるユウナの声。
実は彼女の言う通り。
現在、イノセンティアはすごい事になっている。
もう怪しげな店や、壊れた店。
犯罪感満載な裏路地なんて存在しない。
その理由は簡単だ。
「狐娘族さんってすごいよね! あたし達が来た時とは、まるで別の街みたい!」
と、そんなユウナの言う通り。
狐娘族たちが、その身体能力を活かして一瞬で復興させたのだ。
今朝など。
窓から外を見たら――狐娘族の一人が、デカい丸太を十本抱えて歩いて居た。
どこかの家を建て直している最中なのだろうが。
(まぁ、一人一人があのペースで材料を持ち運んだり、あの身体能力で建築をしたら……)
そりゃあ一瞬で復興など終わるに違いない。
人間ではありえないペースだ。
「それでさ、ジークくん!」
と、ジークの思考を断ち切る様に聞こえてくるユウナの声。
彼女は楽しそうな様子で、ジークへとさらに言葉を続けてくるのだった。
「一緒にイノセンティアを見て回ろうよ!」
『常勝魔王のやりなおし』の3巻の発売が決定しました!
発売日は11/1なので、皆様に読んでいただけると嬉しいです!
なお書籍版ではいつもの通り、エ○シーンを大量追加しております――具体的にいうと一万文字近くは加筆しているかと……。
なんとまた!!
現在、秋田書店様の『どこでもヤングチャンピオン』にて、コミカライズが連載されております!!
戦闘シーンはもちろん、エ○シーンも素晴らしいできです!
なので、どうかこちらもあわせてよろしくお願いいたします!!




