表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/207

第三章 淫魔のご褒美3

「真面目な話っていうのは、今後の方針についてと《隷属の剣》についてだ」


「今後の方針って、現代の勇者達を倒すで決まってるんじゃないですか?」


 と、そんな事を言ってくるアイリス。

 ジークはそんな彼女へと言う。


「あぁ、それは変わらない。だけど、本質的なところが少し変わった……というより、変えざるをえなかった」


「どういうことです?」


 と、ひょこりと首をかしげてくるアイリス。

 簡単にわからせるため、まず話すべきことは決まっている。


「五百年前の勇者――ミアのことは覚えているか? あいつがどれだけ凄かったか」


「ミアだぁ~あ? ひょっとして、魔王様を倒してくれちゃったクソ勇者のことですか?」


 と、ものすごく嫌そうな顔のアイリス。

 彼女はそのままジークへと言葉を続けてくる。


「あいつを忘れるわけがないじゃないですか! まぁ……凄い奴なんじゃないですか? 魔王様を倒すくらい強いですし、嫌いですけど。おまけに可愛いですし、嫌いですけど」


 想像以上にミアが嫌いに違いない。

 ジークは一度咳払いし、再びアイリスへと言う。


「それでそのミアなんだが、お前の言う通りあいつはすごかった」


「前から聞きたかったんですけど、魔王様はあいつのどこをそんなに評価して――」


「高潔さももちろん、特筆するべきは強さだ! ミアは人間のくせに、この俺を完封した! さらに、あいつがホワイト・ルナフェルトを倒した戦いを覚えているか!?」


「あぁ……人間共の城に攻め込んで、一網打尽にしようとした」


 本来ならば勝てる戦いだった――それほどの優位があったのだ。

 しかし、ミアは単身人々の盾となり、ホワイト・ルナフェルトを逆に打ち取った。


(今思い返してみると、あの戦いがターニングポイントだったように思う)


 以降。

 ミアは軍神のように崇められ、多くの兵士とともに魔王城まで一気に攻めてきた。


「その末に俺は負けた」


「毎度毎度、人間の癖にすごい戦いぶりでしたよね。魔王様との最後の戦いなんて特に」


 と、言ってくるアイリス。

 ジークはそんな彼女に頷きながら、言葉を続ける。


「まさか三日三晩戦い通しになるとは、俺も思わなかった……というか、何度も言うがたかが人間とは思えない体力と、戦闘能力だった」


 だからこそジークは認めたのだ。

 あいつこそが真の勇者――あいつにならば、倒されても文句がないと。

 しかし。


「だからこそ、現代の勇者は許せない!」


「ユウナから聞きましたけど、現代勇者って堕落してたり弱かったり、やばいんですよね?」


 アイリスの言う通り、一言で表すとまさに堕落だ。

 ミアが持っていた強さ、そして高潔さは完全に失われている。

 魔王が考えるべきではないが、現代勇者からは優しさも消えている。


 感じるのは私利私欲のみ。 

 故にジークはアイリスへと言う。


「現代の勇者――奴らの一番の問題は、ミアの名を汚しているところだ」


「たしかに聞いた限り、現代では『勇者にはかかわらない方がいい』流れっぽいですしね」


「あぁ。現代の勇者がそんなだと、この時代の人間、そして後世の人間達も確実にこう思う――『きっと、現在過去未来通して、勇者ってやつは全員ろくでもない』」


 ありえない。

 考えただけで、吐き気がしてくるレベルだ。

 ジークはイライラを押し殺しつつ、アイリスへと言う。


「いいか、アイリス! 俺を倒したミアをバカにすることは、この俺が絶対に許さない!」


「え、マジですか!? 私、結構バカにしてますよね!? っていうか、別によくないですか? あんな奴、バカにされて当然――」


「いいのか? お前は俺がそんなくだらない奴に倒されたと、世間からそう思われても」


「…………」


 完全にフリーズするアイリス。

 それから数十秒後――彼女は身体をピクンと揺らした後、ジークへと言ってくる。


「現代の勇者の存在は悪ですよ! 偉大なるミアちゃんを汚すとか、とんでもないギルティじゃないですか!」


「ようやくわかったか」


 言うなら、現代勇者は病巣だ。

 その存在のせいで、ミアの歴史がどんどん犯されている。

 対処法はただ一つ。


「今後の方針は現代の勇者の絶滅だ――血筋だからというだけで、権力を振りかざす愚かな連中には、早々にこの世から消えてもらう」


さて……これは毎回、言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス星5までの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ