表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

178/207

第七章 ユウナ覚醒へ向けて2

「ウルフェルトを倒す前に、奴の呪いを解けばいい」


 そうすれば、ウルフェルトを倒しても、奴に『奪われた命』は消費されない。

 無事にそれらは持ち主の所へ戻るというわけだ。


 それになにより、解呪すればウルフェルトは大幅に弱体化するに違いない。

 まず何度も倒す必要がなくなる。

 加えて、戦闘技術も大幅に劣化するのだから。


(かなり面倒じゃなくなるから、どう考えてもスマートな手段だろ)


 などなど。

ジークがそんな事を考えていると。


「ん……でも、どうやって解呪するの?」


「同意です。おまえでも解呪できないから、先ほどの話になったのではないですか?」


 と、順に言ってくるのはブランとアハトだ。

 ジークはそんな彼女達へと、説明をしようと――。


「あたしがウルフェルトさんの呪いを解くよ」


 と、言ってくるのはユウナだ。

 実はここに来る道中、ジークは彼女に『解呪の方法』を話していた。


 結論から言って、ジークではウルフェルトの解呪は不可能だ。

 その点は、あの森で出た結論と変わらない……しかし。


「あたしが《勇者の試練》を受けて、ミアさんの力を手に入れる。そして、あたしがその力を使って解呪をする」


 と、堂々とした様子で言ってくるユウナ。

 これこそがジークの考えた唯一無二の手段――真の勇者として覚醒したユウナ。そんな彼女の回復魔法ならば、ウルフェルトの呪いなど瞬時に解けるに違いない。


 なおかつ、これにはメリットがある。

 ジークはそう考えた後、そのメリットを言う。


「ユウナが《勇者の試練》を突破して、無事に力を継承する事ができれば。ウルフェルトは『ミアの力』を確実に振るえなくなるっていうオマケもあるしな」


「え、なんでそうなるんです?」


 と、ジークの言葉に対し悪魔尻尾で?マークを作ってくるアイリス。

 ジークはそんな彼女へと言う。


「言っただろ。あいつは《勇者の試練》からミアの力を盗んでいるってな。例えばそうだな――盗みに入った家の中に、盗む物が何もなかったらどうだ?」


「そんなの決まって……あぁ、なるほど! そういう事ですね♪」


「わかったようだな、アイリス」


「このアイリス、わかりましたとも! ユウナがミアの力を引き継いじゃえば、《勇者の試練》の中にある『ミアの力』は空になる!」


 そういう事だ。

 元が空になれば、ウルフェルトへの『ミアの力』の供給はなくなるに違いない。

 さて、説明も終わったところで本題に入ろう。


「たった今から、俺達はウルフェルトが居座っている城へと攻め込む」


 アハトの事もあり、戦いはもはや時間との勝負。

 正直、こうしている時間すらも惜しいのだ。

 故にジークはみんなへと、要点だけを言う。


「まず俺が一人で城に突っ込んで、ウルフェルト含む冒険者達の注意を引くように立ちまわる――お前達はその隙に《勇者の試練》へ向かえ」


「わたし達はユウナの護衛ということですね?」


 と、言ってくるのはアハトだ。

 ジークはそんな彼女へと言う。


「そういう事だ。俺が陽動役をしたとしても、乗り込む場所は敵だらけの城だ――偶発的な戦闘は避けられない可能性が高い」


「そうなったときに、ユウナを確実に守り切れる振り分け――なるほど、納得しました」


「あぁ。アハト、それにアイリス、ブラン……おまえ達三人がついて居れば問題はないだろう?」


「無論です」


 と、返してくるアハト。

 そして――。


「あは♪ 私一人でも楽勝ですけどね!」


「ん……余裕」


「あ、あたしもいざとなったら戦うよ!」


 と、アハトに続いて言ってくるのはアイリス、ブラン、そしてユウナだ。

 ジークは最後者――ユウナへと念の為に言う。


「ユウナはなるべく戦うな。というか、本当に身の危険が迫った時以外は、戦ったりするな」


「ど、どうして!? みんなが戦っているのに、見ているだけなんてっ」


 と、納得いかない様子のユウナ。

 ジークはそんな彼女へと言う。


「《勇者の試練》がどういうものかわからない。お前にはなるべく力を温存してもらう必要がある」


 勇者が作った試練だ。命の危険があるのとは思えないが、難易度は相当高いに違いない。

 故にユウナにはベストコンディションで挑んで欲しいのだ。


(本当なら俺も行きたいところだが、俺には俺の役目があるからな)


 それになにより、継承者以外が《勇者の試練》に付き添えるとは思えない。

 魔王ともなれば当然だ。

 などなど、ジークがそんな事を考えていると。


「そういうことなら代わりに――絶対に《勇者の試練》を突破してみせるよ!」


 と、元気よく言ってくるユウナ。

 ユウナはこの作戦の要だ――彼女が失敗すれば、全てが終る。

 しかし、不思議と確信があるのだ。


「あぁ。お前なら間違いなく《勇者の試練》を突破できるよ、ユウナ」


 言って、ジークはユウナの頭を撫でる。

 その後、彼は改めてみんなへと言うのだった。


「それじゃあ作戦開始と行こう」


『常勝魔王のやりなおし』の3巻の発売が決定しました!


発売日は11/1なので、皆様に読んでいただけると嬉しいです!

なお書籍版ではいつもの通り、エ○シーンを大量追加しております――具体的にいうと一万文字近くは加筆しているかと……。


これからも気合いいれて書かせていただきますので。

書籍版3巻、コミカライズ版合わせてよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ