表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

161/207

第一章 犯罪都市イノセンティア4

 さて、そうこうしている間にも巨大な城壁を越え。

 見えて来たのはイノセンティア内部。

 かつての聖都――聖獣が住まう光の都の現在は。


「なんだ、これは……っ」


 最悪の魔境と化していた。

 真っ先に目に入ったのは、道を行き交う冒険者らしき男達。

 彼等の手にはリードが握られており、その先に繋がれているのは――。


 首輪を付けられ、四つん這いで歩かされている狐娘族の少女達。


 少女達は一様に沈んだ顔をしており、泣いている者から瞳を曇らせている者まで居る。

 そして、冒険者立ちは少女の足が止まれば蹴りを入れ、無理矢理歩かせている。

そんな冒険者は一人二人ではない――何人もいるのだ。


 どう考えても異常な光景。

 少なくとも、ミア縁の地であるイノセンティアにあっていい景色ではない。


 ジークは目の前の光景を否定したい一心で、視線を周囲に向ける。

 すると見えてくるのは。


 狐娘族の少女を、男の欲望のはけ口にするための店の数々。

 狐娘族を奴隷として格安で売買している店の数々。


(嘘だ……ありえない、さすがに……これはっ)


 見れば見るほど出てくるイノセンティアの変わりよう。

 平然と転がる死体。

 夢遊病の様に歩く人間。

 平然と行われる暴力。

 犯罪、犯罪、また犯罪。


「何を……した」


 ミアの平和の象徴に。

 ミアを慕い、ミアが慕った聖獣――狐娘族たちに。


「ふざけるな」


 許せない。

 ミアをここまで穢した、この街の勇者だけは絶対に。


(そうだ。たまには暴れればいい。昔の様に、我慢などせずに――)


「ジークくん! アハトさんの様子が!」


 と、ジークの思考を裂くように聞こえてくるのはユウナの声。

 見れば、アハトが道に倒れ込んでいたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ