ブランは興味を持ってみる7
「あは♪ なんか面白そうな電波を、ブランとアハトから受信したので、全速力できちゃいました!」
と、言ってくるのはアイリスだ。
彼女は悪魔尻尾をふりふり、ブランとアハトへと言葉を続けてくる。
「で、どうします? 『課題を出す役』、私に任せちゃいます?」
「ん……遠慮する」
「少し時間がかかりますが、ユウナを呼んできましょう」
「ちょっと! 何言ってるんですか!? モチベーションが低すぎるんですよ!」
わーわー。
と、腕を振り回すアイリス。
彼女は偉そうに腕を組むと、そのままブランとアイリスへ、更に言葉を続けてくる。
「ブランとアハトはまだまだですね。魔王様が今の発言を聞いたら、きっと二人に失望する事間違いなしですよ」
「聞き捨てならない……ブランに失望される要素は皆無。ん……ブランはまおう様の自慢のブラン」
「わたしはまだ胸を張って『ジークの自慢のアハト』と言えませんが、それでも失望されるような生き方はしていないはずです」
「ほほぉ……それはどうですかね?」
「反論があるなら聞く」
「ブランに同じく」
言って、むっとした様子のアハト。
ブランには彼女の気持ちが、手に取るようにわかる。
ジークに失望なんてされたくない。
そもそも。
ジークは仲間と認めた相手に、失望したりはしない。
失望するくらいなら、再び正道に戻そうとしてくれるのがジークだ。
だから、これはいつものやつ――アイリスの安い挑発だ。
それは分かっているのだが。
(ん……でも、負けた気になるから、嫌!)
「仕方ないですね~。このアイリスが! 魔王様の右腕たるアイリスが! 魔王様の御心を教えてあげますとも♪」
と、ブランの思考に重ねるように言ってくるアイリス。
彼女は悪魔尻尾を猛烈な勢いでふりふり、独自理論を展開してくる。
「魔王様ならどんな状況であっても、そこにある素材を利用して最高の戦いを繰り広げます」
たしかに、それはそうだ。
ジークならば、剣士と戦う際に棒しかなくても。
その棒を使いこなして、剣士を圧倒するに違いない。
「ブランとアハトは、そんな魔王様に憧れているんですよね?」
と、そんな事を言ってくるアイリス。
それはそうだ――隣では、アハトも無言で頷いている。
「だったら、魔王様を見習わないでどうするんですか!?」
ズビシ!
と、ブランとアハトを指さしてくるアイリス。
彼女はそのまま、さらにブランとアハトへと続けてくる。
「ここに居るのは私! なのに私を放置して、自分達に都合がいいユウナを探しにいくんですか!?」
「っ!」
「そ、それは――」
「か~~~~~っ、しょうもない! 都合のために呼び出されるユウナが可哀想ですよ!」
「あ、ぅ」
「た、たしかに……」
「そして、何よりも安全な道に逃れようとする二人の思考回路! しょうもなさ過ぎて、目も当てられませんよ!」
ズビシ!
と、再度ブランとアハトを指さしてくるアイリス。
彼女は悪魔尻尾をピンっとたて、さらに言葉を続けてくるのだった。
「魔王様の配下ならば! 魔王様に憧れる者ならば! この場にあるもので、最高の戦いをするのが、あたりまえでしょうが!」
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