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ブランは興味を持ってみる5

「どうでしょうか。わたしと手合せしていただけませんか?」


 と、そんな事を言ってくるアハト。

 答えは決まっている。


「ん……嫌」


「なっ、どうしてですか!?」


 と、予想外と言った様子のアハト。

 どうしてもこうしてもない。


 ブランは魔法使い。

 アハトは剣士。


 一対一で正面から戦った場合、どうしても剣士であるアハトが有利だ。


 無論、『歴史に名を残す剣士』程度が相手ならば、ブランだって負けはしない。 

 むしろ、ジークのためにボコボコにする自信がある。


(でも、アハトはそんな次元じゃない……)


 アハトの剣技は、ミアに匹敵している。

 ジークが彼女の剣技を、そのように評価したということは。


(ブランじゃ絶対に勝てない……)


 とはいえ、アハトはミアと違って魔法や錬金術を使ってこない……それに、少しポンだ。

 そう考えると、真正面から戦わなければ、いくらでも勝機はある。

 けれど、それはアハトの言う『手合せ』ではないに違いない。


(ん……正々堂々、正面から一対一だとやっぱり、アハトに勝つのは無理そう)


 ブランは面倒くさがりなのだ。

 さすがに、敗色濃厚な手合せをするのは気が引ける。


 などなど。

 ブランがそんな事を考えていると。


「無視をしないでください!」


 と、聞こえてくるアハトの声。

 ブランはそんな彼女へと言う。


「ごめん……ぼ~ってしてた。でも答えは変わらない……手合せは嫌」


「むぅ、どうしてもダメなのですか?」


「ん……どうしても」


「そう、ですか。無理強いするわけにもいかないですしね……」


 と、なにやら残念そうなアハト。

 ブランはそれを見て思う。


 なんだか、少し可哀想かもしれない。


 とはいえ、手合せは嫌だ。

 他に何かアハトを満足させる手段があるといいが。


 …………。

 ………………。

 ……………………。


「っ!」


 ブラン、唐突に閃く。

 その内容とは――。


「じゃあ、お互いの力を見せっこするのはどう?」


「見せっこ、とはどういうことですか?」


 ひょこりと、首をかしげてくるアハト。

 簡単だ。


 そもそも、アハトがブランと手合せしたい理由。

 それは『ブランの力量を通して、ミアの力を見てみたい』からに違いない。

 そうであるならば、必ずしも手合せする必要はない。


 なんせ、ブランの力量をアハトに示せればいいのだから。

 要するに。


「誰かに課題を出してもらって……ん、それをどっちが上手にこなせるか勝負する」


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