ブランは興味を持ってみる4
(っ……ブランばっかり喋ってる! アハトの事を知りたいのにっ)
だがしかし。
それには大きな問題がある。
「ぁ……ぅ」
話題が見つからない問題。
理由は簡単――ブランには『アハトと盛り上がりそうな会話』がわからないのだ。
天気の話。
これはなんだかマズい気がする。
気温の話。
これもたいして変わらない気がする。
(っ……ブランはまおう様のブラン!)
そのブランが、こんな事でつまづいてはダメだ。
そんなことでは、ジークの名に傷がついてしまう。
故にブランはこれまで生き、得てきた全ての経験を総動員。
現状を分析する。
(思いだして……さっき、ブランはアハトと普通に会話してた)
始まりはアハトだ。
彼女がブランに質問してくれたから、会話が繋がった。
「ブラン、急に黙ってどうしたのですか?」
と、聞こえてくるアハトの声。
ブランはそんな彼女へ手を翳し、少し静かにしてもらう。
そして、脳をさらに回転――先ほどの会話をより深く分析していく。
(ブランが考えていた、天気や気温の話。あれと、さっきのアハトとの会話――二つの違う点を考えれば、答えはでる)
それこそが、アハトと楽しくお話しでき。
アハトの事を楽しく知れ――。
「っ!」
待て。
大切な事を忘れていた。
ブランはそもそも、アハトの事を知ろうとしていたのだ。
そして、連鎖的に気がつく。
(アハトはさっき、ブランが興味のありそうな事を質問してくれた)
だがら、ブランは楽しく話せたのだ。
故にブランもそうすればいい。
人と楽しく会話しながら、相手を知るコツ。
それは――相手が好きそうな事について、質問する事と見つけたり!
「ん……アハトは剣が好き?」
「もちろんです。剣は共に戦ってくれる友ですから、大切だと思っています」
と、言ってくるアハト。
彼女は楽しそうな様子で、ブランへと言葉を続けてくる。
「無論、自分の剣だけではありません。様々な名剣を見るのも好きですね、歴史を感じて胸が高鳴ります!」
「アハトの剣は名剣?」
「いえ、わたしの剣はたいしたものではありません。ですが、わたしが最初に手にしたとても大切な剣です」
「ん……愛着を持つのは大事」
なんだかいい感じだ。
普段、あまり会話しないブランにもそれはわかる。
これは普通に、ハイセンスな会話をしている気がする。
むふぅ。
と、ブランが満足していると。
「愛着を持っている剣。そんな友と自分を鍛えるのも、また剣の楽しみです」
と、聞こえてくるアハトの声。
ブランはそんな彼女へと言う。
「アハトは強くなるのが好き?」
「はい! どこまでも強くなって、脅かされている者達を救ってあげたい――それはわたしの生きる理由とも言えます!」
「ん、ミアもそんな事を言ってた――まおう様の邪魔してるくせに、胸をはるなって思ったのを覚えてる。でも、アハトが言うとムっとしない……不思議」
「あはは……それはわたしとおまえが、仲間だからではないですか? そもそも、わたしはジークと敵対していませんしね」
「ブランとアハトはもう仲良しになれた?」
「寂しい事を言わないでください。わたしはもうブランと、ずっと仲良しだと思っていましたよ――一緒に戦った仲ではないですか」
「っ」
なんだか、ものすごくポってする。
ブランの胸が、急に温かい何かで満たされた気がする。
不思議な感じだ。
しかし、悪い気分ではない。
と、ブランがそんな事を考えていると。
「ところでブラン、おまえはミアと戦ったことがあるのでしたね?」
と、言ってくるアハト。
彼女はそのまま、ブランへと言葉を続けてくるのだった。
「どうでしょうか。わたしと手合せしていただけませんか?」
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