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ブランは興味を持ってみる2

 時はあれから数分後。

 場所はアルスの街――噴水広場前。


「ジー……」


 現在、ブランはジークにもらったアドバイスを実行中だ。

 それすなわち。


「ジー……」


「あ、あの……ブランさん。どうして先ほどから、わたしを無言で見てくるのですか?」


 と、言ってくるのはアハトだ。

 彼女はブランへと、さらに言葉を続けてくる。


「何か用事でもあるのですか?」


「ジー……」


「…………」


「ジー……」


「あ、あの……」


 と、なにやら困った様子のアハト。

 ブランはそんな彼女をみて思う。


(やっぱりミアとは違う……ん、見ていてると不思議な感じになる)


 もっと、アハトと仲良くなってみたい。

 故に。


「ジー……」


 ブランはひたすら、アハトをウォッチしているのだ。

 ブランは今ここで、アハトの全てを見極める。

 どうすればアハトともっと仲良く――。


「ひょっとしてブラン、おまえはこれが食べたいのですか?」


 と、ブランの思考を断ち切るように言ってくるのはアハトだ。

 彼女はブランへと、クレープを渡しながら言葉を続けてくる。


「ジークから聞きました。おまえは冷やっこいものが好きだと。このクレープにはアイスが入って――」


「食べる」


「はい、どうぞ」


「ん……(ぱくり)」


「…………」


「もくもく……もくもく」


「どうですか、ブラン?」


「ん……おいしい」


 確信した。

 やはりアハトはミアとは違う。


 アハトはミアなんかより、とっても優しい。

 

 無論、食べ物につられているわけではない。

 もくもく。


 ブランはルナフェルト族の長たる竜。

 決して食べ物なんかで、人柄を判断したりは――ぱくぱく。

 しないのだ。


「……はっ!」


 ここに来てブラン、とんでもない事に気がついてしまった。

 色々考えていたら、うっかりアハトのクレープを全部食べてしまったのだ。


(ど、どうしよう……)


 ブランはアハトと仲良くなりたい。

 故に当然、ブランはアハトに嫌われたくないのだ。


 などなど。

 ブランがそんな事を考えていると。


「瞳をキラキラさせてクレープを食べていたかと思えば、そんなに口を三角にしてぷるぷる震えて。いったいどうしたのですか?」


 と、そんな事を言ってくるアハト。

 そこで、ブランはアハトへと説明する。


 アハトと仲良くなりたい旨。 

 クレープをうっかり、全部食べて後悔していること。


 すると。

 アハトはブランへと言ってくる。


「そんな、クレープで怒ったりはしませんよ」


「ん……でも、なにかお返しがしたい」


「お返し……ですか。わたしは、クレープを食べるおまえの可愛い姿が見られただけで、十分に満足なのですが」


「なにかない?」


「強いて言うなら……剣を手入れしに行きたいので、付き合ってはもらえませんか? 一人でも問題ない事なのですが、話し相手がいると暇をしないので」


「ん……ブランもアハトと話したい。だから、付き合う」


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