表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

129/207

ジークは巻き込まれてみる2

「仮面をつけた女悪魔に、ユウナが――っ!」


 と、慌てた様子で言ってくるアハト。

 確かにユウナが攫われたという事のみならば、一大事だ。

 しかし、慌てる必要はない。


(仮面をつけた悪魔って、確実にアイリスだよな)


 ジークがそう判断した理由はいくつかある。

 その中でももっとも大きいのは――。


 ユウナの傍には、アイリスとブラン、そしてアハトが居た事だ。


 あの三人を掻い潜り。

 なおかつ、ジークに気取られる事無くユウナを攫う事など不可能だ。

 現代勇者はもちろん、ミアであっても――。


(いや、ミアならやれるかもな……)


 まぁそれはいい。

 とにかく、現代人には不可能だ。


(となると、アハトを離席させている間に、アイリスがユウナとブランを唆した……っていうのが現実的だよな)


 などなど。

 ジークがそんな事を考えていると。


「み、見てくださいジーク! これは仮面の悪魔が残していったものです!」


 と、一枚の紙きれを渡してくるアハト。

 ジークはその紙を手に取り、それへと目を通す。

 すると、そこに書かれていたのは。


『ユウナは預かりましたよ♪ ユウナをエッ! な目に合わされたくなければ、一人で指定の場所までくることですね!』


 なるほど。

 文面からアイリスから溢れだしている。

 さらに。


(指定の場所が書いてないんだが……)


 アイリスは真面目モードの時はミスらないが、こういう時にはすぐミスる。

 まぁそこが、アイリスの可愛いところでもあるのだが。


「でだ、よく俺に伝えてくれたな。『一人で』って書いてあるから、お前の性格からして突っ込みそうなものだが」


「おまえ、わたしをバカにしているのですか?」


 と、ジトっとジークを睨んで来るアハト。

 彼女はそのままの様子で、ジークへと言葉を続けてくる。


「もし言われた通りに一人で行って、わたしが失敗してしまったら……ユウナは攫われたままです。それならば、おまえに伝えてから一人で言った方が、確実性があります」


「さすがアハトだな。いい判断だ……ところで、ブランはどうした?」


「ブランは――っ! ブランも部屋に居ません! まさか、ブランも仮面の悪魔に!」


「い――」


「ジーク、早く助けに行きましょう!」


「ちょ――」


「どういう作戦で行きますか? わたしが一人で来ていると見せかけ、おまえが相手の隙を突いて二人を救出……などが無難だと思いますが」


「あ――」


「ジーク! さぁ、早く立ち上がってください! 悪を討つときです!」


「お、おう!」


 しまった。

 乗せられて勢いよく、アハトの手を握ってしまった。

 なんだか、アハトがここまでやる気を出していると、真相を教えるのが申し訳なくなってくる。


 というか。

 そもそも、今回の件――その原因はジークがアイリスを止めきれなかった事にある。


(仕方ない、上手い事アハトをフォローしつつ、アイリスの筋書きにそって、ユウナを助けにいくとするか)


 アイリスへの文句とお仕置きはその後だ。

 ジークはそんな事を――。


「ジーク! 何をのんびりしているのですが! 早くしないと、ユウナとブランが危険です!」


 と、ジークの思考を断ち切るように聞こえてくるアハトの声。

 ジークはそんな彼女に手を引かれ、部屋から出て行くのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ