ユウナとブランと冒険者5
冒険者達が奉仕活動をすれば、住民達もきっとわかってくれる。
冒険者達が改心したのだと。
と、少し前まで。
ユウナは本気で考えていた。
だがしかし。
「ちょっとまちやがれ! なにしてんだてめぇ!!」
「ひっ……な、なんです、か?」
と、聞こえてくるのは冒険者と住民の会話だ。
前者――冒険者は住民へと近づいていくと、さらに言葉を続ける。
「その荷物、随分と中身が詰まってそうだなぁ」
「こ、これは……その、とても大切な物、で」
「よこせ」
「え」
「いいから、そいつを俺によこせって言ってんだよ!」
「ひ、ひぃ!」
と、怯えた様子でうずくまってしまう住民。
これはもう完全にあれだ。
「それじゃあ強盗だよ!」
言って、ユウナはブランをともない、これまで隠れていた物陰を出る。
そして、彼女は冒険者と住民のもとへと近づいていく。
「あ、ユウナちゃん!」
「た、助けてください! 冒険者に襲われていて!」
と、聞こえてくる冒険者と住民の声。
前者はニコニコ笑顔、後者は怯える子犬の様な表情だ。
さて、ユウナがこれまで隠れていた理由は簡単。
冒険者がしっかりと、住民に奉仕活動を出来るか見守っていたのだ。
というか、そもそもユウナに見守る気はなかった。
(だって、あたしが見守らなくても、きっと冒険者さんならしっかりやってくれると思ってたんだもん)
しかし。
ブランがユウナへと言ってきたのだ。
『ん……ユウナは甘い。絶対に見守った方がいい……じゃないと、とんでもない事になる』
最初、ユウナはブランが言ってきたことの意味がわからなかった。
だが、今ならばわかる。
故にユウナはとりあえず、住民のケアをブランへと任せる。
そして、彼女は冒険者へと言う。
「さっきも言ったけど、もう少し優しい口調で言わないと、強盗だと思われちゃうよ!」
「え、マジ?」
「マジだよ! きっと住民さん、すごい勘違いしてるよ? 一応聞くけど、冒険者さんは何をしようとしてたの?」
「重そうな荷物を持ってたからよぉ、目的地まで運んでやろうとしたんだよ。おい、見ろよユウナちゃん――ほら、結構筋肉あんだろ俺!」
ぱんぱん。
と、自らの腕の筋肉を叩く冒険者。
(やっぱり、ちゃんといい事をしようとしてくれてた。でも今のままだとちょっと危ないかも……住民の信用を取り戻す以前に、言葉遣いと態度で勘違いされちゃう)
などなど。
ユウナがそんな事を考えていると。
くいくい。
くいくいくい。
と、引っ張られるユウナの袖。
見ればそこに居たのは。
「ん……この人に事情を話して落ち着かせた」
住民を連れたブランだ。
当の住人はというと――。
「ひ、ひぅ」
と、未だ少し怯えた様子。
ユウナはそれを見た瞬間、想った。
(もうこれ、少し荒療治になっちゃうけど――口調とか態度はどうあれ、冒険者達が改心しているって事を見せた方がイイかも。本当に大事なのは中身なわけだし)
考えた後。
ユウナは冒険者へと言う。
「もう一度、住民さんに伝えてあげて? 言葉遣いはさっきのままでもいいから、『何がしたいのか』を、ちゃんとわかるように言ってあげて」
「あぁ、端折らないでってことだよな? 了解だぜ、ユウナちゃん!」
ガハハハハハッ!
と、笑いながら住民へと近づいていく冒険者。
そして、彼は住民へと言うのだった。
「おいてめぇ、その重そうな荷物。どこに持っていく気だ?」
「い、家に――」
「タダで家まで運んでやるよ。俺に任せろ――新冒険者ギルドをよろしくな!」
『常勝魔王のやりなおし』2巻・・・発売日です!
実感ない読者様もいると思いますので、ハッキリ言います。
書籍化できたのは、日頃読んでいただいている読者様。評価入れてくれている読者様。
皆様のおかげでもあります。
本当にありがとうございます。
恩返し、と言っていいかは不明ですが。
書籍版には引くくらいエ〇いエ〇シーンを大量投入してあります――その数二章分くらい!!
編集者様から「とてもよかったです」と太鼓判を押してもらっているので、どうか読者様も楽しんでくれると嬉しいです。
さて
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冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。
すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。




