ユウナとブランと冒険者4
「え、グランドギルドマスターってなに!?」
「あぁ、ユウナちゃんには言ってなかったな」
と、言ってくるのは冒険者達の一人。
彼はユウナへと、さらに言葉を続けてくる。
「少し前に噂で聞いたんだけどよ、エミールが支配していたルコッテの街あるだろ? あそこの冒険者ギルドも改心したみたいでよ」
「あ、そうなんだ! よかった……そういうの聞けると、とっても嬉し――」
「それで、そこの新ギルドマスターが言ってたみたいなんだ。新冒険者ギルドに支部が増えていったら、全新冒険者ギルドをまとめる存在――グランドギルドマスターにはユウナちゃんを任命しようって」
「え、えっと……」
「俺達もこうして新冒険者ギルドを作ったからな! これで世界にはすでに、二つの新冒険者ギルドがある! となれば、もうグランドギルドマスターをユウナちゃんが名乗ってもいい頃合いだろ?」
「よ、よくないよ! だってあたし、冒険者としても勇者としても駆け出しだし……訓練もしてないから、すっごく弱いし! ジークくんみたない人の方が、きっと相応しいよ!」
「そんな事ねぇ! たしかにあの魔王野郎は強いが、俺達を改心させたのはユウナちゃんだ! ユウナちゃんが居なかったら、俺達はまだクソみてぇな事をしてたんだ!」
「あ、うぅ」
そこまで言われると、正直かなり嬉しい。
それにかなり恥ずかしい。
だから、ユウナは言い返す事が出来なかった。
結果。
「それじゃあ、異存ないってことで! それじゃあ、グランドギルドマスター! 依頼料についてはどうするんだ?」
と、もはや決定事項の様に言ってくる冒険者。
まぁ、グランドギルドマスターについては、後でなんとかすればいい。
(今はとりあえず、依頼料について何とかしないと)
そうしなければ、また言い争いが起きてしまいかねない。
考えた後、ユウナは冒険者達へと言う。
「依頼料についてだけど、最初の週だけ無料……とかはどうかな?」
「最初の週だけ? それに何か意味があるんすか?」
「ん……簡単」
と、割って入ってくるのはブランだ。
彼女はユウナの後を継ぐように先の冒険者へと言う。
「最初の週だけ無料にすれば『無料のうちに試しに依頼してみよう』っていう人が増える……その隙に汚名返上して、リピーターを増やすしかない。と、ユウナは言ってる……むふぅ」
「お、おぉおおお!」
「ブランもユウナの意見には賛成だけど……問題もある」
「問題って、それは?」
「ん……あなた達は汚名が凄すぎて、無料でも依頼が来ないかもしれない」
「っ!」
と、衝撃を受けた様子の冒険者達。
ユウナは冒険者達への精神的ダメージを考え、言う事を避けたが。
(ブランさんの言う通りなんだよね)
きっと、この街の人々には本能的に、冒険者への恐怖が刷り込まれている。
となれば。
(住民さん達にとって、冒険者達ギルドは悪の巣窟――依頼料が無料だとしても、わざわざ足を踏み入れたいなんて、きっと考えてくれない)
だがしかし。
ユウナにだって考えはある。
「奉仕活動をしてみたらどうかな?」
「ん……名案」
と、同意してくれるブラン。
ユウナはそんな彼女に頷いた後、冒険者達へと言う。
「初週依頼料無料キャンペーンと同時に、自分達から街の掃除をしてみたり、困ってそうな人を助けてみるんだよ!」
「住民達から、信頼を勝ち取るってことっすね?」
「うん。冒険者さん達が本当に改心したんだって、住民さん達がわかってくれれば、きっと依頼してくれる人も増えるよ!」
「す、すげぇ……完璧な作戦だ。さすがグランドギルドマスター」
「あぅ」
やはり、グランドギルドマスターの呼び方は恥ずかしい。
などなど、ユウナがそんな事を考えていると。
くいくい。
くいくいくい。
と、引っ張られる服の袖。
見れば――。
「ユウナ……奉仕活動は早めの方がいい。ん……それに今日なら、ブラン達も手伝える」
と、ブランがそんな事を言ってくるのだった。
早い所だと、そろそろ『常勝魔王のやりなおし』2巻が置いてあるころだと思います。
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エ〇シーンは約2章分くらい追加しております!
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アハトのあんなシーンがあるかも・・・
さて
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