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ユウナとブランと冒険者2

 時はあれから数分後。

 場所はアルス――冒険者ギルド。


 現在。

 ユウナの前では、想像以上の光景が広がっていた。


「はぁああああああああああああああああああああああああっ!」


「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


 聞こえてくるのは、そんな冒険者達の声。

 同時、響いて来るのは剣と剣がぶつかる音。

 そして、飛び交う魔法。


 要するに。

 冒険者ギルド内は、内戦状態になっていた。


(と、とにかく早く皆を止めないと!)


 何があったのか。

 どうしてこうなったのかを聞くのは、とりあえずその後だ。


 などなど。

 ユウナはそんな事を考えた後、冒険者達へと言う。


「みんな! お、落ち着いて! このまま続けたら、怪我人が出ちゃう――それに、住民さん達にも被害が出ちゃうよ!」


 しかし、冒険者達は止まらない。

 きっと、ユウナの声が聞こえていないに違いない。


(ど、どうしよう……どうにかして、みんなに声を聞いてもらわないと)


 と、ユウナが考えた。

 まさにその瞬間。


 コツンッ。


 と、背後から聞こえてくる音。

 ブランが杖で、床を軽く叩いたのだ。

 直後。


 冒険者ギルドに巨大な氷塊が現れた。


 同時、冒険者ギルドに訪れる静寂。

 さっきまで騒いでいた冒険者の声どころか、呼吸音すら聞こえてこない。

 その理由は簡単だ。


「ぶ、ブランさん!? な、何してるの!?」


「ユウナが静かにしてほしそうだったから……ん、冒険者を氷漬けにした」


 むふぅと、ドヤ顔なブラン。

 ユウナはそんな彼女へと言う。


「ブランさんの気持ちは嬉しいけど、物理的に静かにしたらダメだよ!」


「物理じゃない……魔法」


「魔法でもなんでも、早く解放してあげて! このままだと、冒険者さん達が死んじゃうよ!」


「ん……ユウナが言うならそうする」


 言って、再び杖で床を叩くブラン。

 すると――。


 パリンッ。


 と、粉々に砕け散る氷塊。

 さらに氷塊から解放された冒険者達が、バタバタと床へと倒れ始める。

 きっと、ブランの氷塊によって、一瞬にして体力を奪われたに違いない。


(ブランさんの魔法、相変わらずすごい威力……)


「ブイ……!」


 と、ユウナの心を読んだかのように、ドヤ顔ピースしてくるブランさん。

 冒険者達は倒れてはいるが、見た限りその全員が軽傷だ。


(ま、まぁ戦いは止められたから、ある意味結果オーライ……なの、かな?)


 ユウナはそんな事を考えた後、ブランの頭をなでなで。

 そして、彼女はそのままブランへと言う。


「あたしのために、すぐに行動してくれて本当にありがとう……だけど、強力な魔法を使うときは、事前にあたしに相談してね?」


「ユウナは氷漬けが嫌い?」


「ん~、何て言うか……今回はもうちょっと手加減してあげたら、完璧だったかも」


「ブラン……ちゃんと手加減して氷漬けにした」


「それはわかってるけど。氷漬けにするんじゃなくて、そもそも手足だけを凍らせればよかったかなって」


「?」


「そうすれば、冒険者さん達のダメージは最小限に出来たし――ま、まぁ力のないあたしが、いちいち口出しできる権利ないかもだけど」


「っ……そんなことない! 盲点だった……ん、その方が魔力の消費も抑えられる! ユウナはすごい!」


「あ、あはは……ありが、とう?」


 さてさて。

 とりあえず、ユウナにはしなければならない事がある。

 それは簡単だ。


「ぅ……あっ」


「うぅ……」


 と、聞こえてくるのは、氷塊によってダウンしている冒険者達のうめき声。

 ユウナは彼等の方へと近付くと、そんな彼等へと手を翳して言うのだった。


「上位回復魔法 《エクス・オールヒール》!」 


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