ユウナとブランと冒険者
時はミハエルを倒した翌日。
場所はアルスの街――ジーク達と泊まっている宿屋、その玄関先。
「え、えっと……どういうことかな?」
現在、ユウナはとっても困惑していた。
その理由は簡単だ。
「だから、冒険者の奴等が大変なんです! 暴れて手が付けられないんですよ!」
と、言ってくるのはアルスの住民の一人だ。
けれどそれはおかしい。
なんせ、ユウナは冒険者達と約束したのだ。
冒険者達には、心を入れ替えて欲しいと。
(それなのにどうして……やっぱり、何かおかしいよ!)
きっと、理由があるに違いない。
と、ユウナはここでとある事が気になる。
故に彼女は住民の一人へと言う。
「冒険者さん達が暴れてるって事だけど、住民達に被害は?」
「それはまだです! あいつら、冒険者ギルドの中で暴れてるだけなので――でも、どんどんエスカレートしてて、このままだといつ被害がでるか」
「つまり、冒険者さん達に傷つけられた人はまだ居ないんだよね?」
「そうですけど……それが何か?」
なるほど。
要するに、冒険者はユウナとの約束を破ったわけではない。
やはり、彼等は本当はいい人達なのだ。
となれば、冒険者が暴れている理由は何か。
きっと、差し迫った事情があるに違いない。
(ここの冒険者さん達に『心を入れ替えて』って頼んだのはあたしだし、あたしが何とかしないと)
などなど。
ユウナがそんな事を考えていると。
くいくい。
くいくいくい。
引っ張られるユウナの袖。
ユウナがそちらへと視線を向けると、そこに居たのは――。
「ん……まおう様を呼んでくる?」
ブランだ。
彼女はジトっといつもの様子で、ユウナへと言葉を続けてくる。
「それかブランがやってもいい……氷塊を冒険者ギルドに落せば、冒険者達は全滅する」
「そ、そんな事したらダメだよ!」
「?」
ひょこりと首をかしげているブラン。
きっと、彼女は『冒険者達がまた悪い事をしている』と思っているに違いない。
故にユウナはブランへと、説明をしようとするが――。
ドォオオオオオオオオオンッ!
と、ユウナの思考を断ち切るように、聞こえてくるのは爆発音。
さらに、同時に空高くあがる黒煙。
「ひ、ひぃ! あいつら、ついに魔法を使いやがったんだ!」
と、騒ぎ始める住民の一人。
どうやら、先の爆発は冒険者ギルドで起こった物に違いない。
となれば、もはや一刻の猶予もない。
冒険者達が暴れている理由はどうあれ、これでは意図せず住民に被害が出てしまいかねない。
(そんなことになったら、せっかく改心しようとしてくれてる冒険者さん達の信用が、すっごく下がっちゃう!)
ユウナがするべき事は一つ。
冒険者ギルドへと向かい、彼等が暴れている理由を聞くことだ。
それが改心を促したものの、せめてもの責任なのだから。
(それに正直、責任感なんか考えなかったとしても、冒険者さん達を放っておけない。暴れている理由を聞いて、なんとかそれを解決する力になってあげたい……助けてあげたいもん)
などなど。
ユウナはそんな事を考えた後、冒険者ギルドへと走ろうと――。
「待って」
と、ユウナの思考を絶つように聞こえてくるブランの声。
彼女はなおもジトっとした様子で、ユウナへと言葉を続けてくるのだった。
「ブランも行く……ん、竜化したブランに乗っていった方が早い」
えー
タイトルフライングになっておりますが...
コミカライズ決定しました!!
秋田書店様のどこでもヤングチャンピオンより、コミカライズです!!
イラストはひよひよ先生が担当してくれます!!
作画見せてもらったのですが、アジシオ先生のイラストをすごく上手く漫画にしてくれており、作者とても満足です!!
なので
読者様たちも、きっと満足できるかと!!
楽しみに待ってくれると嬉しいです!!




