表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/207

第四章 魔王は助けてみる7

 空間を裂くように、聞こえてくるのはユウナさんの声。

 わかる――絶対にアイリスへの対抗心も混じっているユウナさんボイスだ!


「まずジークくんさ。最初に下位闇魔法 《シャドーフレア》を使ったよね?」


「あ、あぁ……使ったな。地下実験施設に侵入するため、地面を爆発した時だろ?」


「そう! あの時さ――ジークくん、アイリスさんに言ってちゃんと人払いしてくれたよね? あれって、周りの人を傷つけないようにしてくれたんでしょ?」


「う、ぐっ」


「あと、まだまだあるよ!」


 と、瞳をきらきらユウナさん。

 彼女はお祈りポーズで、ジークへとさらに言葉を続けてくる。


「地下実験施設での最後――爆発が起こったときに、住民だけでなく冒険者達も助けてくれたよね?」


「いや、それはユウナの勘違いだ」


「でも、あたしが『冒険者達も助けて』って言ったら、ジークくんはしっかり、冒険者達も助けてくれたよね?」


「そこが違う。あれは結果的に『冒険者を助けるような、選択肢を取った様に見えただけ』で、実際は微塵も助けようとしてなんて――」


「ん……嘘」


 と、ジークの言葉を断ち切り聞こえてくるのは、ブランの声。

 そんな彼女はジトットした様子で、ユウナへと言う。


「ブランはまおう様の配下……でも、ユウナを守る守護竜でもある」


「え、えっと、ブランさん?」


「ん……ユウナは今、まおう様に騙されようとしている」


「それって、どういうこと!?」


「ブランは魔法使いだから、魔力の流れくらいはわかる」


 ま、まさかブラン――あれを言う気ではなかろうな。

 と、ジークがドキドキしていると。


「まおう様はユウナに『冒険者も助けて』って言われた瞬間……ん、使おうとしてた魔法を止めた」


 そんな事を言ってくれるブランさん。

 要するにこれはアレだ――終わった。


「それって、本当!? つまり、ジークくんは冒険者を助ける為に、しっかりと行動してくれたってことだよね!?」


 と、はしゃいだ様子のユウナ。

 ブランはジトっとした様子で、そんな彼女へと淡々と言う。


「ん……本当。まおう様、最初は冒険者ごと魔法で地下実験施設の錬成陣を吹っ飛ばそうとしてた……でも、ユウナに言われたからやめてた」


「やっぱり、ジークくんはとっても優しくて、立派な人なんだね!」


「まおう様は立派……ブランもまおう様みたいに、優しくなりたい」


「じゃあ、一緒にジークくんを目標に頑張っちゃおうか?」


「ん……ブラン、ユウナと一緒に頑張る!」


 えいえい、おー!。

 と、何やら騒いでいるユウナとブラン。

 ブランはともかく、真の勇者であるユウナ。


(あいつに目標にするとか言われるのは、なんだか複雑というか)


 すごく照れくさいし、恥ずかしい!

 けれど、不思議と悪い気はしない。


(むしろ、どうしてか心地の良さを感じるな)


 などなど。

ジークは一人、そんな事を考えるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ