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第二章 底辺冒険者は最強の魔王になる2

「っ!」


 気が付くと、アルはまたしても不思議な空間に居た。

 そこはどこを見ても真っ暗闇の場所。


「なんだ、これ……いったい僕はどうな――」


「お前は本当の自分に目覚めようとしているんだ」


 と、聞こえてくる男の声。

 アルは声がした方へ、視線をむける。


 するとそこには、先ほどまではいなかった男が存在していた。

 筋肉に覆われた褐色の巨躯、攻撃的かつ威圧的な二本角――明らかに人間ではない。

 アルはそんな男へと言う。


「あなたは、誰?」


「あぁ、自己紹介がまだだったな。俺の名前はジーク――五百年前、勇者に倒された魔王だ」


「なっ!?」


 どうして魔王がこんなところに居るのか。

 もし本当の魔王なら、アルが一人で倒せるわけがない。


 このままでは殺される。一刻も早く逃げなければ。

 などなど、アルの本能は全力で疑問と危険を訴えてくる。

 故にアルはそれに従って逃げようとしたのだが。


「それでアル! 聞きたいことがあるんだ!」


 と、聞こえてくるのは、いつの間にか近づいてきたジークの声。

 彼はアルの肩をバンバン叩きながら、子供の様に言葉を続けてくる。


「この世界は今どうなっているんだ? 勇者はどうなっている? 俺を倒したミアの子孫は、この世界をどんな風にしているんだ? さぞ立派な世界なんだろうな……いや、そうじゃなきゃ困る! なんせ、この俺を倒した奴が思い描いた世界の延長線上の世界なんだからな! どうなんだ、アル! 聞いているのか?」


「…………」


 思っていた魔王と違う。

 そう思ってしまうレベルの質問連打だ。


「アル? おい、無視をするな。俺はこの時を五百年前から楽しみにしていたんだ」


 と、言ってくるジーク。

 彼はやや落ち着いたのか、声を整えアルへと続けてくる。


「少し取り乱したが、改めて要点だけ聞こう。勇者ミア・シルヴァリアの子孫は――現代の勇者達は、どんなに素晴らしい奴らなんだ? この世界はどこまで平和で美しくなっている?」


「…………」


 その瞬間。

 アルはふいにエミールのことを思い出す。


 それだけではない――世界各地で悪逆非道を働く冒険者ギルド。

 そのトップに居るエミール以外の勇者達のことを思い出す。

 そして、そんな彼等が支配するこの世界は。


「最悪だ」


「何? いったい何が最悪なんだ?」


 と、言ってくるジーク。

 ジークは現代の勇者と世界に、並々ならぬ期待をしているに違いない。

 別にそれを壊したいと思ったわけではない。

 アルが思ったことは一つだけ。


(この世界に期待できることなんてない。今だって、僕はその勇者に貶められたばっかりなんだから……教えてあげよう、ジークが実際に見て絶望する前に)


 その方が、幾分ショックが薄れるに違いないのだから。


さて……これは毎回、言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス星5までの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます。

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