表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/229

幕間14 あれから1年…①

どうも、皆さんお久しぶり。陸軍秩父地方特別駐屯地では駐屯地司令の副官を務めてました竹内優子中尉よ。もっとも、3ヶ月前に起きた魔物の襲撃事件で駐屯地司令部はみんな異動させられちゃってるけどね。


え?私ですか?今は朝霞の広報施設で良い子のみんなのお世話してるの。まあ、出世コースからは微妙に外れちゃったけど、のんびり楽しく仕事させて貰ってるわ。


新村司令?あ〜、新村少将は駐屯地司令から市ヶ谷の参謀本部付に異動されまして、今頃偉い人達から国会とかでチクチクやられてるんじゃないかしら。全く、あの状況にあの戦力であれ以上何が出来るってのよ。碌な援軍寄越さないで!文句あるんだったらアンタ達がやってみなさいよ、って現場にいた人間としてそう思っちゃうわね。決して口には出さないけど。


もっとも、新村少将はそんな事くらいでへこたれるようなタマじゃないから、どうやってリベンジしようか考えているんじゃないかしらね。


そんな私事と上層部批判はこれくらいにして、広報課勤務となった私が、みんな疑問に思っているだろうモンスターアタックから一年後の世界情勢について解説するわね。それでは、国防省プリゼンツ、日曜ドキュメンタリー「知られざるモンスターアタック一年後の世界」、開始します。


もう皆さんご存知のように、一年前のあの日に魔物が全世界に出現した。世界中の国々は大きな被害を受けて、魔物に襲われて大きな犠牲と被害を受けながらも国力でどうにか乗り越えた国、魔物によって滅びた国、魔物は現れなかったけど間接的に大きな被害を受けた国に分かれたわ。


我が国の場合、魔物はどういう訳か埼玉県の秩父地方と山梨県と長野県にまたがった地方に限定して現れたから、魔物に襲われて大勢の犠牲者が出るも、どうにか国中に魔物を拡散させる事無く封じ込めに成功する事が出来たの。


その後は魔物の被害を受けなかった台湾と協力して、後述する大陸からの脅威を防いでいる状況ね。


ユーラシア大陸は西も大変だけど、東、特に極東はもう魔物の出現によってまともに国が残っていない有様になっているわ。世界中に様々な魔物が出現したけど、最悪な事に中国の都市部に現れたのは吸血鬼やゾンビなどのアンデット系の魔物だったのね。


人口が密集した中国の都市部に現れたアンデットは次々と人民を襲い出して、さながらゾンビ映画のように人々はあっという間に吸血鬼やゾンビになっていったの。なんと言っても北京がいち早くゾンビに襲われて国家の中枢が失われてしまったから、生き残った人民解放軍や武装警察、地方警察も連携が取れなくて、内陸部にそれぞれ孤立した安全地帯を確保するのが精一杯。そうして中国は内陸部に軍閥化した人民解放軍が守る安全地帯が点在する吸血鬼が支配するゾンビだらけの世界となってしまったわけ。まあ、中国だからキョンシーかしらね。


当時、とりわけ我が国や米国にとって喫緊の問題となったのは、中国の戦略ロケット軍や海軍が保有する核兵器。我が国は米国と台湾と協力して知り得る限りのミサイル基地を巡航ミサイルと航空機による空爆で破壊。海軍の原子力潜水艦も降伏勧告に従わなかった艦は全て撃沈したの。中国にも少しは責任感のある人がいたみたいで、幸いにも各地の原子力発電所は停止させたみたいだけど。


そして中国のゾンビの群はなんと北は長城を越え、東は鴨緑江を渡って各地に拡散。特に鴨緑江を渡って朝鮮半島に侵入したゾンビ群は、瞬く間に住民達を襲ってはゾンビにして増殖していったの。


この時の朝鮮半島はかつての北朝鮮主導で南北統一なされて朝鮮連邦共和国(United Nations of Korea=UNKO)となっていたのだけど、日米露中によって非核化と軍縮がなされていてね。しかも南も北も周辺諸国に喧嘩売りまくりだったからどこからも統一費用の援助もなくて、国として相当弱体化していたから、北から南下し、南下する毎に数を増やすゾンビの群にはと対処出来ず、あっという間に国家崩壊して滅びてしまったわ。


それで、中にしろ朝にしろ、どこかに亡命政権なんて作られちゃうと正直面倒事が増えるだけだからと、日米台で協力して済州島、巨済島、海南島を予防占領。特に海南島は中国海軍の潜水艦基地があったからね。


その後、我が国は大陸の現状を把握するにつれ、大陸沿岸にある全ての港湾施設を空爆で破壊して、機雷封鎖するに至ったの。残留邦人(生き残っていたらだけど)には悪いけど、ゾンビや吸血鬼が海越えて来たら大変でしょ?



インドに出現した魔物は我が国と同じでゴブリンやオーク、オーガなど人型の魔物に加えて、魔物を送り込む側も国柄を考えているのか、ナーガなど蛇系の魔物が多かったみたい。こちらも国内で多くの犠牲者が出て、被害も甚大となったみたいだけど、インド軍は魔物が出現した都市をそのまま包囲して封じ込めに成功。


だけど、このインド軍の動きにパキスタン軍が反応して印パ国境地帯に兵力を移動させちゃったものだから、もう大変。そのパキスタン軍の動きに対してインド政府が核兵器の使用を示唆して一気に南アジア情勢は緊張が高まってしまったの。あわや、限定核戦争か!とまでなった訳だけど、パキスタンは後ろ盾の中国が消滅しているし、自国内にも魔物が出現して足元が危うくなってきたから、どうにか両国とも国境から軍を引いて最悪の事態は回避出来たわ。


こうした事態にチャンスとばかりに動きだしたのがイスラム原理主義者のテロ組織。後で触れるけど、西ヨーロッパにも魔物が現れて大混乱となっていて、米国も自国対応で手一杯だったから怖い物無しだったのね。だけど、魔物はイランにもイスラエルにも平等に?出現していたから、こちらも魔物と各国軍とテロ組織の三つ巴の争いとなって、そのうち誰も自分が何を目的として、誰と戦っているのかわからなくなっちゃったんじゃないかしら。


ユーラシア情勢の最後はヨーロッパね。では、まずはロシアから。


ロシアにはヨーロッパの都市部に中国と同じくアンデッド系の魔物が出現したのだけど、彼の国とは違って幸運だったのはコンドラチェンコ大統領が避暑のため黒海沿岸のソチに滞在していた事ね。なんとコンドラチェンコ大統領は現地で事態を知るや、全軍を掌握して戦術核ミサイルでゾンビとゾンビ化した自国民を都市ごと消滅させの。実にロシアらしい問題解決法と言えるけど、これが実に効果的。その後もゾンビや魔物が現れる度に周囲の街と言わず住民と言わず空爆や包囲しての火炎放射で汚物は消毒、じゃなくて消滅させて強引に解決してしまったわね、恐ロシヤ!


その後、コンドラチェンコ大統領は首都をヨーロッパからアジアのノヴォスビルスク市に遷都したのだけど、更にこの大統領が凄いのは、その勢いで旧ソ連諸国などをまとめ上げて相互防衛条約を締結、「ユーラシア大陸同盟」を作り上げてしまったの。


機構名に「ユーラシア」と付けたのは米国を意識してそれ以上の事はしませんよと、あまり警戒されないようにしたのかもしれないけど、転んでもただでは起きないというか、火事場泥棒的というか、実にロシアらしいわね。



ヨーロッパでも各国の大都市圏に魔物は出現。とっくにEUから離脱していた英国は独自の行動により、魔物をロンドンの市街戦で殲滅して鎮圧に成功。英国はその後、アイルランドや魔物が現れずピレネー山脈でフランスからの魔物を防いで国家機能を維持していたスペイン、ポルトガルと連携して大陸からの惨禍を抑え込む事が出来たの。


それに対してそれ以外のヨーロッパ各国、特にEU加盟各国はEUの基準で軍事力等が削減されていたし、更に各国政府とEU上層が連携を上手くとれなかったため、魔物の襲撃とそれに伴う難民大量発生やイスラム原理主義者などによるテロ行為にも対応出来ず、大陸のヨーロッパ各国はドミノを倒すように崩壊してしまったの。もしEUという枷が無かったらヨーロッパにも世界にも別の未来があったかも知れないわね。


そうした訳で、大陸のヨーロッパは北はフィンランド、南はピレネーの向こう側のスペイン、ポルトガル、中央のスイス、オーストリアを除いて国家は消滅、生き残った人々は魔物や武装難民からの自衛のため武装したコミュニティを形成し、時に魔物の脅威に対し連携し、時に食糧等の物資を巡って相争う中世のような世界になってしまったわ。


ユーラシア大陸についてはこんなところかしらね。あまり長くなっても何だから、この続きはまた来週にでも、ね。それじゃあ、see you!







お読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ