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第70話 お帰りなさい、リュータさん

俺達を乗せた陸軍の大型ヘリコプターCHー47Jは、満峰山のヘリポートに垂直に降下して着陸した。そして、便乗者である俺達を降ろすや、余計な仕事はお終いとばかりに直ちに飛び立ち、瞬く間に上空高く消えて行った。


着陸するヘリの音で気付いたものか、ヘリポートの周りには転移者達が集まっており、遠巻きに俺達を見ている。その中には見知った人の姿もチラホラと散見出来た。


と、唐突に俺は避ける間も無くタックルをかまされ抱きつかれてしまった。この俺に何の気配を感じさせない手練が誰かと思えば、


「リュータさん、お帰りなさい。」


狼獣人の女の子で、今や俺の恋人の一人であるサキだった。サキは俺の背中に両手を回し、全身を押し付けるように抱き付いている。


「ただいま、サキ。出迎え有難うな。」

「ご無事で良かったです。」


俺は胸に顔を埋めるサキの髪を優しく撫でる。エーリカと真琴は、そんなサキに優しい眼差しを向けているが、舞からはむーっという不満げな声が聞こえて来ている。まあ、サキは俺達と離れて三日間もここで留守を守っていたのだから、これくらいはおおめに見てあげて欲しい。


「もう、サキずるいよ、一人で先に行っちゃて。」


舞とは別な不満げな声が聞こえて来た。これは妹の雪枝だ。すると、サキは埋めていた俺の胸から顔を上げると、俺にテヘッと悪戯成功ですというような笑顔を見せ、雪枝と交代とばかりに離れて行った。


「雪枝、ただいま。」

「お帰りなさい、お兄ちゃん。」


雪枝は照れてはにかんだ笑顔を見せながら、自然と俺の胸に寄り添って来た。ここ満峰神社で雪枝と再開し、そして和解して少しは兄妹らしくなったものの、今まではこうしたスキンシップをとった事は無かったから少しばかり驚いた。だが、そんな妹がとても愛しくて、そのまま俺も自然と雪枝を抱きしめていた。


「出迎えてくれて、有難うな。」

「うん。」

「心配かけてごめんな。」

「ううん、お兄ちゃん、ちゃんと帰って来るって知ってたから。」


元々うちは能力者の家系なのだそうだ。俺もだけど、雪枝の魔法修得が異様に早かったのも、それが関係しているのだろう。そして、最近の雪枝のトレンドは占いによる予知だったりする。


ヘリが離陸して行ったヘリポートでは、こうして俺だけではなく、家族や友人、恋人からの出迎えを受けたみんなが再会を喜んでいた。黒沢さんと巫女の渋谷綾音さん、ラミッドとミア。ガーライルも家族に囲まれている。アーニャとアラン兄さんは、既に何処かへ行ったのか姿は無かった。


再会はそれだけでは無く、この世界に転移して来た者同士の再会もあった。


「エーリカ!ユーリカ!」


30歳前後のように見える美男美女がエーリカとユーリカの名を呼び、駆け寄って来る。


「「お父さん!お母さん!」」


よく見ると、二人ともどことなくエーリカとユーリカに似た顔立ちだ。


そしてエーリカとユーリカを出迎えたのは美男美女の両親だけではなかったようだった。


「エーリカ姉様!ユーリカ姉様!」


「「ビクトル!」」


小学4年生くらいのエルフの男の子(これまた美形だ)が、駆け寄るエーリカ達の両親の横を走り抜け、そしてしゃがんで待ち構えるエーリカとユーリカに抱きついた。


「良かった。もうエーリカ姉様とユーリカ姉様に会えないと思ってた。まさか別の世界に行っちゃっていたなんて。」


「ビクトル、また会えて良かった。」

「もう何処にも行かないからね。」


そして、彼女達の両親も加わり、世界線を超えた家族の再会が成ったのだった。


「良かったね、お兄ちゃん。」

「そうだな。」


その光景を見て。俺の右腕に抱き付いている雪枝がしみじみと言った。



「そう言えば。私も両親とは随分会ってないなぁ。」


舞は昨年の9月に満峰神社でモンスターアタックにあって以来、異世界や魔法と関わってしまい、自宅に戻ると身の安全か脅かされるため家族とは会えずにいる。不可抗力とはいえ、俺は舞に安全のために家に戻らない方が良いと言った手前、責任の一端を感じている。


「ごめん、舞。家族に会えない寂しい思いをさせてしまって。」


「そんな、別に先輩のせいじゃないんですから。それにしょっちゅう携帯で話しているから大丈夫ですよ。」


「そうか、有難うな、舞。俺が寂しくないようにずっと側にいるからな。」


俺がそう言うと、舞は驚いたように両眼を見開き、次の瞬間には感極まったように抱き付いて来た。


「先輩!」


俺も舞を抱きしめたのだが、生憎と右腕には雪枝が抱き付いているので、左腕で舞を抱きしめる。


「リュータさん、私は?」

「竜太、私は?」


すると、俺の背中にサキと真琴がしがみ付いて揺さぶり出した。


「もちろん、サキと真琴もだよ。」


そんな俺の状況を見て、斉藤は呆れたように呟いたものだ。


「大変だな、ハーレムキングも。」



お読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。

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