第65話 氷結☆マジカルゼロ
ラミッドとアミッドは大振りのサバイバルナイフをそれぞれ右手に持って構えた。ゴブリンウォーリアは二人を随分とナメてかかっているようで、薄ら笑いを浮かべ、威嚇しているのか右肩を回したり、首を捻ってゴキゴキと音を鳴らしながら近付いて来た。
ラミッドはその油断で生じた隙を見逃さず、すかさず身体強化した脚力でゴブリンウォーリアとの間合いを詰め、更に魔力を込めた左足で、左中段回し蹴りをゴブリンウォーリアの右側腹部に食らわせた。
ゴブリンウォーリアは最初、自分の右側腹部にめり込むラミッドの左足を不思議そうに見ていたが、一瞬遅れて「ゴガアアア」と苦痛の叫び声を上げ、右手で持っていた棍棒をラミッドの頭に叩き込もうとした。しかし、ラミッドは蹴りを入れてすぐに距離をとっていたので見事に空振りに。そしてガラ空きになった右の腹部をアミッドがナイフで切り裂き、傷口からはみ出る結腸を右手で抑え屈んで膝を突いたゴブリンウォーリアの頸部をラミッドが風刃を放って切断するに至ってゴブリンウォーリアは絶命した。
この勝因は二人の抜群のコンビネーションと敵を良く見極めて適切な技で迅速に攻撃した事に由来する。勿論、ゴブリンウォーリアが二人を全くナメてかかった部分が大きいが、勝ちは勝ちだ。
二人は褒め言葉を期待して、「どうですか?」とばかりに俺を見る。こんな時でも周りに注意を払うべきなのだが、そんな野暮な事は言わない。
「二人とも良くやったぞ。強くなったな。」
ラミッドとアミッドは一瞬にへらと笑み崩れると、嬉しくてたまらないといった表情で親指を立てた。これで二人とも戦場の空気に呑み込まれる事無く、自信を持ってこれからは戦えるだろう。お返しとばかりに俺も二人に親指を立てる。
俺は二人に周囲の警戒を任せ、魔法の準備に取り掛かる。先程、天候を操り落雷による攻撃が成功してから心の縛りが一つ解けたようだ。今まで出来なかった魔法も出来る気がする。想像出来る事はきっと出来る。
精神を統一し、周囲の気を集める。もう呼吸法は必ずしも必要ではなく、気が集まるイメージを持つ事により膨大な気を集める事が出来、そして、俺の周りに集まった気をそのまま魔力に変換。
「熱吸収、絶対零度!」
熱を放出する火魔法の逆、物体が持つ熱量を奪う魔法だ。目の前に犇めく魔物の群、その全てに対しは流石に効果が弱くなりそうなので、その一一角にこの魔法を及ぼす。
魔法が及んだ範囲の地面は白く霜立ち、空気は忽ち張り詰めて凍てつく。魔物どもは動きを止めたかと思うと、一言も発する間も無く全身が白く凍りついてゆく。そうして立ったままの氷像となるもの、凍りつきバランスを崩して倒れるもの、その姿は様々だが、この魔法の効果が及んだ範囲の魔物は全て凍死していった。
駐屯地の混成部隊を包囲する魔物の群れ、その一角が崩れた。
お読みいただきまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ、評価、感想など宜しくお願いします。




