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第63話 ウチへ帰ろう

心の中に語りかけてくる誰かさんと炎龍の加護のお蔭で、俺は天候を操る魔法を使う事が出来た。それは蟲型魔物の大群が一撃で全滅する程の雷撃。凄まじいものだった。エネルギー量にしたらどれくらいのものだろう。


以前に師匠の洋画コレクションで見た昔のアメリカ映画で、タイムマシンを再起動させるために落雷からエネルギーを得るシーンがあった。そのシーンで確かタイムマシンを製作した博士が「1.2ジゴワット?」と言っていたと記憶している。とすると、それは原子力発電所一基分、若しくは、威力にもよるが核爆弾1発分というところだろうか?


兎に角、凄いエネルギー量だが、今の俺に疲労感も虚脱感も無い。もう一合戦余裕でいけそうだ。


上空のワイバーンの群はバーンとゾフィーが駆逐し、二頭の火竜の夫婦は役目果たしましたとばかりに既に現場上空を離れ、二頭の愛の巣に帰ってしまっているようだった。


残るはこの駐屯地を最初に襲った第一波の群。こいつらを片付ければ、この戦いは終わり。俺達も漸く満峰神社に帰る事が叶う訳だ。神社に帰る、というのも変なおかしなものだが、満峰神社と満峰山が自分の家、故郷のように思ってしまっている。早く帰って雪枝やサキにも会いたい。


駐屯地の外、防御壁の向こうでは、駐屯地に配されていた戦力の残存部隊が魔物と激しい戦闘を続けている。機動強化歩兵、戦車・戦闘車、歩兵部隊。援軍が到着するまで魔物の群を押し留めるために。ワイバーンの空襲で火砲群は全滅し、その装備・兵員共に国防軍は大打撃を受けた。魔物には恐怖という感情が無いのか、犠牲も問はず襲いかかってくる。


今回の魔物の襲撃は、明らかに魔王国軍よって立案された軍事作戦であり、その姿は見せないが、現場で指揮を執っている者がいるはずだ。今も魔物の群は左右に展開して残存部隊を包囲しつつあり、皮肉にも自らを守る為の防御壁が魔王国軍による包囲の一翼を担う結果となってしまっている。


「タケ、」

「ああ。」


俺が声をかけると、わかっているとばかりに頷く斉藤。流石は親友、理解が早くて助かる。


「蟲の群もワイバーンの群も片付いた。だがまだ第一波の魔物の群は健在どころか、国防軍の部隊を包囲しつつある。このままでは援軍が来るまで保たないだろう。未だ危機は去っていない。だから悪いがもう一合戦付き合ってくれ。そして、土産を持ってみんなが待つ満峰山へ帰ろう!」


おーう!


皆良い返事を聞かせてくれた。黒沢さんは地下の避難シェルターに戻っているから大丈夫。ガーライルとアーニャは心配だが、アラン兄さんに付いていて貰おう。


俺達は戦意も高く、魔物と戦う残存部隊の窮地を救うべく戦場へと向かった。




ここからは今西大尉視点ー


棍棒を振り上げた豚頭の化け物が、16式戦闘車の機銃により全身蜂の巣にされて倒れる。その隙を突いてゴブリンウォーリアが剣を構えて俺に襲いかかってきた。


「風刃!」


俺はすかさず風魔法で真空の刃を作り、ゴブリンウォーリアの腹部を一文字に切り裂いた。ゴブリンウォーリアは裂け目から臓物をはみ出させながらうつ伏せに倒れるも絶命には至らず、更なる一刃でその首を刎ねた。


周囲では俺の部下達と、臨時に俺の指揮下に入った歩兵部隊が魔法で、或いは銃火器で魔物と戦っている。多種類からなる魔物の群は、倒せど倒せど何処から湧いてくるのか一向に減らず、携行していた自動小銃はとっくに弾切れとなり、俺と部下達は魔法で戦っている。


火力を誇った自走砲や野砲、重迫撃砲などはワイバーンの空襲で全滅し、駐屯地自体も大打撃を受けた。機動強化歩兵は健在であり、戦車・戦闘車は損害を受けながらも稼働している。しかし、それも弾丸、燃料、バッテリーが尽きればお終いだ。歩兵の戦傷死も多い。新村司令は援軍を要請したが、今のところ実際に来援したのは航宙軍のガンシップが一機のみ。そいつもワイバーンに追い払われてしまった。援軍の部隊編成に時間がかかるのは理解するが、そろそろこちらも限界が来そうだ。


「ぐはっ」


部下の一人が一際大きなオーガに槍で薙ぎ払われた。だが助けに行く訳にはいかず、俺は部下の仇とばかりにオーガの顔面に渾身の火球を叩き込んだが、オーガはそれを手で払い除けた。更にそのオーガには部下達や歩兵達から火球、風刃、銃弾が放たれるもダメージは与えられず、俺の前に聳え立つオーガは勝ち誇ったように吼えると、俺を一突きで貫かんと槍を構えた。


俺は先程放った火球で体内の魔力をほぼ使い果たし、もう一歩も動く事も叶わない。


(もはや、これまでか)


しかし、身体は動かないが、腕と手なら動かせる。俺はせめてこのオーガと差し違えんと、腰のベルトに吊った最後の手榴弾に左手をかけた。槍が俺の身体を貫く時、奴は動きを止め、奴と俺は最も近い距離となる。その時を狙って手榴弾を起爆させる。


(オーガよ、お前は鬼かもしれんが、俺も死しては護国の鬼となってやる。この国を易々と破れると思うなよ)


俺は間も無く死ぬ事など忘れ、奴を確実に仕留めるため、ただその瞬間を待った。


お読みくださいまして、有難う御座います。宜しければブクマ、評価、感想など宜しくお願いします。

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