第57話 ここは俺に任せてさ、げふん
地上から群れ成して迫る魔物に対し、2機の駐屯地の攻撃ヘリは機銃掃射を繰り返していた。そこへ現れた新手の魔物。モスマンもガーゴイルも攻撃ヘリを落とせる程の攻撃力はなさそうだが、放置していい訳ではなく、攻撃ヘリは地上への機銃掃射から魔物との空中戦が始まった。
攻撃ヘリにとって脅威だったワイバーンは3頭ともアラン兄さんが屠っているため、攻撃ヘリは機首の30mm短砲身機関砲で次々とモスマンもガーゴイルも撃ち落としていく。このまま上空の魔物は排除されていくかと思いきや、現実はそう甘くはなかった。兎に角魔物の数が多く、対して攻撃ヘリは2機。そして、遂に弾切れとなったのか、かなり減少はしたものの、上空にまだ魔物を残したまま攻撃ヘリは何処かへ退避して行った。
そして、更に甘くない事に、攻撃ヘリが撃ち漏らした魔物が地上の俺達目掛けて上空から襲い掛かって来たのだ。
「扉が開いたから、みんな早く!」
竹内中尉が大声で叫ぶ。このタイミングで地下の戦闘指揮所へ続く扉が開いたのだ。そして、そこへ一体のモスマンが地上スレスレに滑空しながら迫って来る。奴に地下へ侵入されて毒鱗粉を撒かれて戦闘指揮所や避難シェルターを汚染させる訳にはいかない。モスマンの毒がどれくらいの代物なのか知らないけど。
俺は雷丸を抜刀すると、下段に構えてモスマンを擦れ違いざまに胴を切り上げて両断。そして更に次々とモスマンとガーゴイルが降下して来た為、念動力で加速し、5体の魔物を切り捨てた。それでも魔物の降下が続く。
(一体何体いるのか、キリがないな)
「エレクトリックファイヤー!」
俺はすかさず雷魔法で雷を走らせ10体の魔物を高電圧で感電死させた。しかし、それも焼け石に水のようだった。
「みんな、急げ!」
それでも全員が地下へ避難出来るだけの時間稼ぎにはなったようだが、戦闘指揮所で新村司令に会って話が出来るような時間の余裕はなさそうだった。
「先輩も急いでください!」
「竜太も早く!」
「…」
舞と真琴が行き、エーリカは一瞬チラっと俺を見てから彼女等に続いた。
よし、これでみんな戦闘指揮所か避難シェルターへ入れるだろう。扉の近くには尚誰かの気配があったが、扉の閉鎖と施錠を感知した。
あの魔物の大群を俺一人でどうこうする事は勿論出来る訳がない。俺もそこまで自分を過大評価していないしね。しかし、竹内中尉と真琴が新村司令に荒川沿いに迫る蟲型魔物の群れの危険性について報告して、新村司令は何らかの対抗措置を取るはずだ。この要塞は敵中に孤立している訳ではなく、逆に敵がこの国の中で孤立しているのだ。もし、魔物の襲撃がこの要塞の手に余るのであれば、新村司令は市ヶ谷に援軍を要請出来るのだから。それ迄ならば俺一人でこの扉を守り続ける事は出来るだろう。
俺は迫り来る魔物を前にして大量の魔力を蓄えるべく、一人深く息を吸い込んだ。
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