第45話 会議は始まる①
庁舎内に入ると、今西大尉から引き継いだ若い女性下士官の案内で交渉の場となる会議室に通される。事前に俺達が来るという情報が流れていたのか、庁舎1階エントランスホールには多くの将兵が集まって遠巻きに俺達を見ては何かヒソヒソと話している。
「彼奴だろ、オークキングを◯イダーキックで倒した」
「可愛い子ばっかり引き連れてハーレム気取りかよ!」
「なんか腹立つよな。」
「おい、リアルエルフの美少女だ!」
「クソォ、彼奴エルフたんと腕なんか組みやがって。」
「あの猫耳の女の子超可愛いな。」
「ちょっと気が強そう。だがそれがいい。」
「ねぇ、あの虎の男の子達、カッコ良くない?」
「本当、狼耳の男の子と三人でアイドルユニット組ませたい。」
「ド、ドラゴニュート兄貴、ハアハア」
あのなぁ、こっちは聴覚が強化されてんだから全部聞こえてるんだよ。お前等がじろじろ見るからエーリカが怯えて俺にしがみついて来たんだろうが!
少々ウザくなってきたが、俺が少しだけ威圧を込めて軽く睨むと、みんなすぐに静かになってくれた。
「リュータ、ダメだよ。」
「先輩、いけません。」
「竜太君、我慢して。」
「…はい。済みませんでした。」
「プッ、ダッセェ。叱られてやんの。」
誰だ、今言った奴!
会議室には窓側、廊下側のそれぞれに折りたたみの長机が設置されていた。俺達は窓側の机に着くよう案内され、上座側から俺、真琴、黒沢さん、舞、エーリカという順で座り、その後ろに置かれた折りたたみ椅子にアーニャ、ガーライル、アランの順で席に着いた。ラミッドとアミッドの二人は警護なので俺達の両端で配置に着く。
その後、先程俺達を案内してくれた女性下士官(伍長だった)が出してくれたアイスティーを飲みつつ待つ事暫し、果たして会議室に援助要請の相手となるお歴々が入室して来た。人数は意外と多くて10人。その内の三人が制服で七人がスーツ姿で、女性も三人いる。
さて、勿論俺はこうした遣り取りなどは未経験なので勝手が全くわからない。黒沢さんもどうだろうか。なので、ここは下手に自分が出しゃばらないでおいた方が良いだろう。
交渉は陸軍の制服を着た若い女性将校の進行で始まった。
まずは自己紹介から。俺の交渉相手となるのは、ここ陸軍秩父地方特別駐屯地の駐屯地司令である新村文隆少将。年齢は50歳くらいだろうか、よく陽に焼けた精悍な四角い顔は最前線の司令官に相応しい頼もしさを感じさせる。進行役を務めるのは新村司令の副官である竹内優子中尉。いかにも仕事出来そうな雰囲気を醸し出している気が強そうなクールビューティだ。もう一人の制服組はこの特別駐屯地の幕僚で神田裕司中佐。幕僚になるだけあって真面目で冷徹な秀才という感じ。
この三人の制服組軍人に対し、スーツ着用の七人は国防省、国防装備庁、厚生労働省から派遣された官僚の皆さんと、もう一人はというと、
「日本保守党の衆議院議員・夏八木勇雄の第二秘書を勤めております三戸と申します。本日はオブザーバーとして参加させて頂きました。皆さん、宜しくお願いします。」
"竜太君、彼のボスは与党の国防族議員だよ。"
真琴が念話で三戸という議員秘書について教えてくれた。魔法、異世界からの転移者などに利益があると踏んで首を突っ込んで来たのだろうか?そこら辺はわからない。自分からオブザーバーと言う以上、余計な真似はしないだろう、多分。
国側出席者の紹介が終わり、竹内中尉に促されてこちらも自己紹介を始める。まあ、俺と舞と黒沢さんについての情報などとっくに把握しているだろうけどな。
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