第41話 私を要塞に連れてって①
さて、問題は誰をイーザローン要塞に連れて行くか、だが。俺としては斉藤に一緒に来て欲しい(っていうか奴が行けばいい)のだが、奴を連れて行くと満峰神社の守りがあまりに手薄になってしまう。では誰が行くのかというと、
エーリカ「私は当然、リュータと一緒にい行くわ。いいわよね?」
俺「もちろん。」
舞「先輩、私も一緒に行きます。いいですか?」
俺「わかった。真琴のバックアップを頼むよ。」
舞「はい。(ニヤリ、計算通り)」
真琴「まあ、私が行かなきゃ始まらないからね。」
俺「それはそうだ。よろしく頼む。」
雪枝「お兄ちゃん、私は?」
サキ「リュータさん、私も一緒に行きたいです。」
俺「君達二人はお留守番。」
雪枝・サキ「「え〜、そんなぁ。」」
この後二人に随分とごねられたが、危険を伴うので大事な二人を連れて行けないと説得し、この埋め合わせを必ずする事!と約束させられた。何だかんだで、この二人は仲良くなっているな。
ラミッド「兄貴、俺達は?」
アミッド「兄貴、俺達も頼むよ。」
俺「護衛が必要だから、二人とも頼むな。」
ラミッド・アミッド「「やりぃ、任せてくれ。」」
実際、現地で何か非常事態が発生した場合、俺一人では対処出来ない可能性もある。まあ、エーリカは魔法を使い、且つ剣も弓も格闘技も一流の使い手で、しかも狼の女神様から加護も授かっている。真琴はそもそも軍人だし、魔法も使える。舞も今やオリジナルの魔法も開発するの程の魔法使いだ。だから、皆に何かあったとしても自分で対処出来る、とは思うものの、世の中に絶対は無い。敵地という訳ではないものの、彼女達の安全の為戦力は多いに越したことはない。
ラミッドとアミッドは、今では魔法もそこそこ使え、元々秀でている虎獣人の身体能力に身体強化の魔法を使う事により、実に驚異的な力と技を発揮出来るようになっている。更に俺が教えた剣術、徒手格闘術の腕もあり、性格も真面目で兄弟なので息もピッタリ。護衛として申し分ないだろう。アミッドはまだ子供っぽいところはあるが。
このメンバーに加え、神社側から随行員として1名、転移者から同行者を3名、それぞれ出すように頼んだ。
援助とは諸刃の剣である。それにより一時の困窮から脱する事が出来る反面、それを当然と慣れてしまえば忽ち精神が堕落してしまう。だから、今回転移者達の代表が俺達と共に交渉に臨み、やがて自ら血と汗を流し国防軍と肩を並べて魔物と戦う事により、彼等に援助は与えられた物ではなく自らの手で掴み取った物、勝ち取った物と思って欲しいのだ。
また、交渉に臨んだ代表達に、俺達は転移者達の為にこんなにも頑張ってるんだよ、という事を理解して貰い、且つ他の転移者達に伝えて貰って協力関係を円滑にしたいという下心もあったりする。
神社側に随行を頼んだ理由は、そもそもが俺達にしろ、転移者達にしろ、満峰神社に厄介になっている身である。援助を受けるに際し、神社、更に言えばそのバックにいる齋党の意向も当然考慮しなければならない。
また、俺は斉藤が言ったように世間的には大学生に過ぎないので、国防軍や政府側から「え?学生?他に誰が居ないの?」となりかねない。だから交渉相手を安心させるためにも"ちゃんとした社会人"が一緒にいる事が必要だ。
そして、神社側の随行員から常識に基づく客観的意見や助言を期待出来る。
転移者達の代表は三名。その選出について俺は皆と話し合い、結論として彼等自身に任せる事にした。
俺達の誰もがまだ彼等と遭遇して間も無く、人となりも殆ど知らない。かろうじて狼村の村長一族と言葉を交わしたくらいだ。なのでよく知りもしない相手をこちらから指名は出来ない。
また、転移者達も狼村と有志連合軍と大きく二派に分かれている。お互い知り合いも無く、知らない者同士といえる。だからこの機会にお互いの代表同士で話し合いの場を持ってもらい相互理解を深めもらおう、という意図もある。
そして、自薦、他薦、一体どんな方法で決まったのかわからないが、一人は狼獣人のガーライルに決まった。
ガーライルが言うには、本人が強く希望し、狼村の村長であり父親であるガーグリーさんも彼を押したのだそうだ。
「俺が最も長く大将と接しているし、実力だってあるつもりです。大将が俺達のために骨折ってくれているんです。だから俺も大将のために何かしたいんです!」
「えっと、大将って俺の事?」
「だって、ここで一番強いのは大将でしょ?だから大将です。」
「そうか、まあ、いいんだけどさ。」
この時、ガーライルが俺の事を「大将」と呼び始めたため、これ以降、俺は転移者達から「大将」と呼ばれるようになったのだった。
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