第183話 大暴れ!紅蓮の大蛇
雪枝「はい、はい、もう原稿上がってます。すぐに投稿出来ますから。ほんとすみません。はい、また宜しくお願いします。(ブチッ) あぁ、もう!何で私が作者の尻拭いしなきゃいけないのよ、全く。それじゃあ『魔法修行者の救国戦記』スタートで〜す」
ケンタウロスの騎兵隊は俺達という自分達にとっての面倒事をさっさと鬼族の歩兵部隊に押し付けると、喜々としてこの場を去って行った。そして現れた歩兵部隊の構成は、ぱっと見た感じでは全て鬼族の兵士で揃えられているようだった。
この鬼族、元の世界で何度も討伐したオーガではない。オーガはあまり知能の高くな魔物であるのに対し、この世界の鬼族は人と同じく知的生命体だ。魔族と総称される魔王国を構成する多くの種族の中でも主要な種族で、且つ歴代の魔王を輩出する最有力種族でもある。
その特徴はと言えば、何と言ってもその両前額部から頭頂部にかけて生えている角だ。生えている位置は個体差があるものの、左右対称にそれぞれ2本生えている者が多い。が、頭頂部に1本どーんっという者や、前額部左右対称に2本生え頭頂部にも1本生やす3本角の欲張りプランのような者もいるという。
以前に秩父で顔を合わせた魔王の第1王子というカイネルやその四天王みたいな部下達、サラクーダ市でアルメウス公爵の軍監をしていたザビーナなどは皆このタイプだった。そして俺が見た平安時代の夢で、自分の前世と思われる武士が戦った鬼も正にこのタイプだった。
そう考えると、鬼族は以前から世界線を越える術を知っていて、ずっとその実験をしていたのかもしれないな。
また、鬼族には体格がいい者もいれば、細身の者いて、その辺の事情は人と変わらない。皮膚の色も肌色(黄色)が多くいるが、赤、青、黒、白と5色あり、それぞれの皮膚の色で赤鬼族とか青鬼族などと名乗ったりもすると言う。
鬼族には他にも牛鬼族や羊鬼族という種族もいるそうだ。鬼族の角は大きさや長さに大小長短がありつつも基本的な形状が円錐であるのに対し、両側頭部から牛の角が生えているのが牛鬼族で、羊の角が生えているのが羊鬼族なのだそうだ。
そして、角は魔力の増幅器官であると言われ、鬼族は角がある事により、ヒト族や獣人族よりも少ない魔力でより強力な魔法も使う事が出来るのだと言う。
鬼族はエルフやドワーフといった妖精族には及ばないまでも、ヒト族や獣人族よりも魔力が強く、妖精族と違って繁殖力はヒト族や獣人族と同じでそれなりの人口を有している。そんな連中が主となり構成された軍隊、それが魔王国軍。そりゃあ強い筈で、そんな魔王国軍に電撃的に襲いかかられたらヒト族や獣人族の国々の軍隊は敗走するしかないし、人々は蹂躙されるがままだろう。
〜・〜・〜
ケンタウロスのラーガオーとの一騎打ちで見事釣り出せた鬼族の歩兵部隊。その装備はアーニャと出会った時に遭遇した鬼族の歩兵と同じく当世具足と似た甲冑を身に付けてはいるものの、左手には大楯を、右手には長槍を持っている。その密集した陣形は古代ギリシャのファランクスのようだ。
こちらとの戦力は単純に数だけで倍以上。更に鬼族歩兵は全員が一定レベル以上の攻撃魔法を使え、特に魔力で身体強化がなされている事を考慮すると、両者がまともにぶつかればこちらが瞬殺される程だ。
さて、この戦力差に鬼族の歩兵部隊は俺達に対してどう出てくるか?と、その前に一応こちらの要求を伝えておくとしよう。
「俺達は北の精霊樹に呼ばれてここへ来た。お前達と戦う事が目的ではない。お前達がこちらの邪魔をしなければ何もしない。速やかなる精霊樹までの通行を要求する」
返事は無い。
風魔法を応用して拡声したのだから聞こえないという事は無いだろう。
返事は無かったが、動きはあった。鬼族の歩兵部隊は俺達を包囲するように左右に広がり出したのだ。
「これが奴等の答えみたいだな」
傍に来ていた斉藤が呟く。
「そのようだな」
「あれを試してみるか?」
「ああ。あれで一気に方をつけるか」
鬼族の歩兵部隊はやる気だ。左右に展開した歩兵は右手に持つ長槍を上向きから正面に向きを変えると、ザッザッと歩調を合わせて迫りつつある。
俺達を包囲殲滅せんと敵が迫り来る中、斉藤がこちらの攻撃態勢を整え、俺に「いつでも行けるぞ」と合図を送る。
「行くぞみんな、火炎!」
「「旋風!」」
斉藤が風魔法で竜巻を起こすと、斉藤の弟子である狐獣人アックスが大気中から濃縮抽出した高濃度酸素を竜巻に送り込む。そこへ俺が火魔法で作り出した炎を合わせると一瞬にして極めて高温な巨大な炎の竜巻となった。
そのため周囲には熱波が襲いかかる。それに対して真琴が俺達を覆うように濃霧を発生させ、更に雪枝と舞がその濃霧を冷気で氷粒の壁に変えて皆を守る。
「サキ、やるよ?」
「うん!」
アーニャとサキが風魔法を応用して火炎旋風から火炎の奔流を分派させた。これは以前にサキが俺の大規模強威力攻撃魔法をより使い易く補完する方法を考案し、アーニャと舞の3人で編み出した技だ。(舞が)名付けて「紅蓮の大蛇」、だって…
火炎旋風は轟音を響かせ、一気に鬼族の歩兵部隊へと迫ると、最前列の歩兵達は後方の味方歩兵達がいて逃げる事叶わず、忽ち火炎に焼き殺されていった。彼等は武器や装備ごと燃え上がり、旋風により上空へと巻き上げられる。
鬼族の歩兵部隊はこの事態に隊列を乱し、そして我先にと逃げ出して陣形は崩壊。しかし、火炎旋風から別れた幾筋もの紅蓮の大蛇が地表を焼き尽くすように嘗め、四方へ逃げ出した歩兵達を次々と呑み込んでいった。
〜・〜・〜
フレデリカの千里眼と雪枝の式神による偵察によれば、鬼族の歩兵の後方には歩兵を攻撃魔法で援護するための鬼族弓兵やガミラーゼ族(青い肌の魔力操作に長けた種族)魔法部隊が配置されていた。彼等は陣形が崩壊して敗走して来た歩兵達に巻き込まれ、その場から離れられないまま火炎旋風に、紅蓮の大蛇によって焼き尽くされたようだ。
この、時間にして30分に満たない間で、北の精霊樹の元から釣り出した魔王国軍守備隊の主力は火炎旋風と紅蓮の大蛇によって全滅した。残るのは上空のワイバーン竜騎兵と、とっくに戦場から離脱していたケンタウロスの騎兵隊、それに鬼族の歩兵部隊にはいなかったミノタウロス重装歩兵部隊。
火炎により上昇気流が生じ、巻き上げられた大量の煤や塵を核にして雨雲が湧き上がりつつあった。きっとこれから雨が降り出す事だろう。
俺は率いる戦力に魔王国軍の残敵掃討を命じると、自らも焼かれて熱気を上げる大地へ踏込み、北の精霊樹へ向けて歩みを進めた。
いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。
それでは次話もお楽しみに!




