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第173話 人化したら美少年だった件

俺と斉藤は翌朝まで探知魔法で索敵を続け、合わせて式神による警戒も行って休日を無事に終わらせる事が出来た。


エーリカ達は休日なのに、結局昼からそのまま北の屯所に居続けワイワイと女子会を満喫していた。俺と斉藤の食事なんかも用意してくれたので随分と助かったが、せっかくの休日なのだからもっと自分の楽しみを追求しても良かったのにな。と、俺がエーリカに言うと、


「こういう状況だから楽しみといってもあまり無いし。それに、楽しみって言うんだったらリュータと過ごす事が楽しみだから」


と、面と向かって言われてしまったものだ。



流石に俺もこれには照れてしまい、「…そっか。ありがとう」としか言えなかった。


そして照れて下を向いた俺とエーリカを周りが冷やかすというお約束の流れになった。


〜・〜・〜


朝食をすませると、俺達は屯所を出てキャストン市内に入った。既に有志連合軍も戦兎族も出発の準備を終えていた。俺は兵達に休日はどうだったか訊いて回りたい衝動に駆られたがそんな暇も無く、皆心なしか笑顔が増し、動きも前よりも良くなった気がした。そのうち機会があったら休日の感想を訊いてみよう。


「神使様、有志連合軍は出発準備出来てます」


早速、有志連合軍隊長アンドリューの副官リドリーから有志連合軍の出発準備状況について報告があると、次いで戦兎族グレンダ女王の側近ラキィさんからも報告が入る。


「戦兎族もいつでも出発出来ます」


リドリーとラキィさんさ互いに視線をチラチラと交わし、相手の出方を窺うように牽制し合う。この2人は有志連合軍、戦兎族と所属は違えど片や副官、片や側近という同じような立場だ。やはり対抗意識が働くのだろうか。


因みに、戦兎族のラキィさんはケリィの母親なのだそうだ。ラキィさんは赤い長髪をサイドテールに纏めていて、どちらかと言うとしっとりとした年増の美人。対してケリィは赤毛を短くした元気一杯体育会系な男勝りの美人な娘っこだ。どちらも綺麗な赤毛で、良く見れば顔立ちも背格好も似ているのがわかる。今のケリィが大人の女性となると、ラキィさんのような綺麗な大人の女になるのだろうか?ちょっとまだ想像つかないが。


俺は2人からそれぞれの報告を受けると、黒狼族や満峰集団の準備状況を確認して北の精霊樹への出発を命じた。


〜・〜・〜


キャストン市を出ると、向かって左側にはレマレード湖、そして半島に聳えるキャストン城。城を通り過ぎると、アーニャは名残惜しそうに振り返った。


「アーニャ、大丈夫か?」


俺は一瞬泣き出しそうな表情を見せたアーニャが心配になって声を掛けると、アーニャは気丈にも「大丈夫」と微笑んだ。


「時計の針は決して元には戻らない。前に進むのが生き残った者の務めよ。それに、」


「それに?」


「今の私にはリュータがいるし」


そう言うとアーニャは恥ずかしそうに俯いてそそくさと先に行ってしまった。ツンなアーニャも可愛いが、デレた時のアーニャも実に愛らしい。って、痛い。


右の尻っぺたに鋭い痛みを覚えたので振り向いてみると、サキが抓っていた。


「もう!リュータはデレデレして!」


最近少しヤンデレ気味なサキ。だがそれがいい、とも思う俺であった。


〜・〜・〜


そのような事がありつつも、キャストン城を過ぎて墓地のある高台を見上げる湖畔に至った。


「おーい、レマール。迎えに来たぞ」


湖の沖に向かって呼びかけると、果たして湖面が大きく渦を巻き始めた。そしてその渦の中心からこのレマレード湖の主、水竜レマールがその姿を現した。


"リュータ、やっと来た。もう待ちかねちゃったよ"


レマールは渦から身体を半分だけ出し、背中の翼を大きく広げて羽ばたかせて喜び(多分)を表現する。だが、その分大量の飛沫が飛ばされて来る訳で、俺の周りの皆は悲鳴を上げで逃げてしまった。


"待たせて悪かった。じゃあ一緒に行こうか"


"うん"


元気の良い返事(念話だけど)をしたレマールは湖面から空中に飛び上がると、俺の真上を旋回する。勿論、雨のように水滴が滴ったのは言うまでもないだろう。


自分達の上空を旋回するレマールに有志連合軍の兵士達や戦兎族の戦士達からどよめきが起きる。半ば伝説の湖の主が姿を現して頭上を飛び回り、あまつさえ一緒に着いて来るというのだ。


レマールとの遭遇とレマールが希望して俺達に同行する旨は有志連合軍の隊長アンドリューにも戦兎族のグレンダ女王にも事前に知らせて了承を得ているのでレマールの同行には問題は無い。あるとすれば、


"レマール、もしかしてその姿のままで行く気か?"


竜種はブレスを吐いたり飛翔したりと魔法が使える。種のレベルが上がれば上がるほど高等な魔法を使えるようになるという。向こうの世界に転移してそのまま棲み着いてしまった火竜のバーンとゾフィは竜種の中でもかなりハイレベルな種であるため人化の術が使える程だ。もっとも2人とも人化した姿は全く見せてくれないが。


なので、湖の主となるくらいだからレマールも人化の術とか身体を小さくする魔法なんかが使えると俺は見ているのだ。


"そうだね。じゃあ僕、人の姿になるから。でも恥ずかしいな"


そう念話を送るとレマールの全身は眩い光に包まれる。やがて光は収縮して長く大きなレマールの身体は人の形を取り、レマールは上空から俺の前に降り立った。


人型のレマールを包む光が消えると、そこに現れた水竜のレマールと同じくエメラルド色の肩まである髪と瞳を持つ色白の美少年だった。


パッと見、歳の頃は小学6年生くらいだろうか?美少女と見間違える程なのだが、どうして"美少年"と判断したかと言えば、全裸で雪のような白くスレンダーな身体を晒すレマールの股間には、これまた愛らしいものが控えめな自己主張をしていたからだった。


キャーとか言いながら両手で顔を覆う女の子達。おや、皆さん指の間からしっかりちゃっかり見ているようですが?


「?」


当のレマールは「どうしたの?」という感じで小首を傾げていた。


とはいえ、レマールを全裸のままにしておく訳にもいかない。俺は有志連合軍の主計部隊に頼んでサラクーダ市やキャストン市で接収した被服の中から子供サイズの服を見繕ってもらいレマールに着せた。茶色いブーツな黒いズボン、白いシャツに茶色の前開きベスト。良く見るとレマールの頚部辺りにはエメラルド色の鱗が所々に見られたのでグレーのスカーフを巻き、その姿に女の子達は可愛い可愛いを連発して愛で始める。


服を着た最初は「どう?リュータ、似合う?」とご満悦だったレマールだったが、女の子達に囲まれて抱きつかれたり、撫で回されたりするうちに"助けてよリュータ"と俺に救助を求めてきたりした。


思わぬ仲間が増え、これで俺達も後顧の憂い無く北の精霊樹へ向かう事が出来る。北の精霊樹には魔王国軍の正規軍が駐屯している事がわかっている訳だが、そこで何が待つのか、何がどうなるのかは全くの未知数。斉藤の予知によれば元の世界に戻れるようだし、導かれている以上、兎に角行ってみるしかない。




いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみに!


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