第171話 キャストンの休日①
竜太「やあみんな、土方竜太だ。今回は読者のペンネーム・ゲテモノフレンズさんからのお便りを紹介する」
「初めまして竜太さん。僕は将来作詞家になりたいと思ってます。僕が作詞した詞を送りますので感想をお願いします。
♪
エマージェンシー エマージェンシー
これは演習ではない
この世界に暗黒大陸の魔の手が伸び
殺戮と暴虐の嵐が吹き荒れる
友よ手を取り立ち上がれ
僕らの世界を守るため
覚醒せよ僕らのグレートアライアンス
破邪の剣
進め僕らのグレートアライアンス
魔を斬り裂く
ダイヤモンドの結束は
悪を滅ぼす希望の光だ ♪
竜太「う〜ん、「UNION」と「戦士よ立ち上がれ」を足して2で割った感があって、非常に厨二的だけど、俺はいいと思うな」
皆さん「えぇ⁉︎」
舞「感性は人それぞれって事ですね。それでは『魔法修行者の救国戦記』始まりです」
翌日は"休日"という事にした。
魔王国軍がキャストン市から比較的近くに駐屯している事はわかっている。だが、有志連合軍にしろ、戦兎族にしろ、そして黒狼族、また、サラクーダ大学で捕らえられていた者達にしろ、魔王国軍が侵略戦争を始めてから戦い続け、或いは監禁され恐怖の中にあった。
ここに至って漸くサラクーダ市攻略が片付いた。こうして北の精霊樹へ向かいながら、俺達は通過点であれキャストン市というほぼ無傷の都市に至ったのだ。だから、彼等にはせめて一日だけでもここでのんびり過ごして欲しいと思った。
俺のそうした提案を聞いた元の世界出身者達の地球組は大賛成。日本の文化・習慣にどっぷり浸かってるエーリカ達異世界組も同じく大賛成した。だが、"休日"という文化・習慣があまり浸透していないこの世界の人々は"休日"と言われてもピンと来ないようだった。
そもそも、この世界にはまだまだ"休日"という概念すら希薄なようだ。文化・宗教的には多神教であり、そのため神の教えも経典も信奉する神の教団によりまちまち。なので例えその教団や宗派に"休日"があったとしても社会通念的にそれが認知される事は無いのだろう。
だからこの世界の人々にとって"休日"とは、例えば冬至や夏至の祭や収穫祭、或いは信奉する神に由来する特別の日などであり、病気や怪我でもないのに一日休むなんてそうそう無い事だそうだ。
俺の提案に黒狼族は訳わからなそうにしつつも承諾し、休日と休日の過ごし方についてサキに説明して貰った。だが、有志連合軍と戦兎族の上層部は俺の提案に反対した。曰く、魔王国軍への警戒を怠る事は出来ないと。正論と言えた。むしろそれが軍事上の常識と言えた。
俺は斉藤を巻き込み、兵達にはせめてキャストン市内にいてくれれば良く、2人で探知魔法を使って警戒に当たるからと彼等を説得した。
それでも軍の上層部が渋っていると、戦兎族のブレンダ女王が口を挟んだ。
「休日、良いではないですか?私、キャストン市には即位前に何度かこっそり遊びに来てましたの。何年ぶりかしら。私、湖を見てゆっくりしたいわ」
女王がこう言えば戦兎族の上層部はもう反対意見など言えず。そして戦兎族が賛成に回ればアンドリュー達有志連合軍の上層部も結局反対しきれないまま、翌日は全員がキャストンの休日を取る事に決まったのだった。
〜・〜・〜
俺達が今滞在しているキャストン市はレマレード湖に突き出した半島(というか、鼻?)によって形成された入江に広がる湖の港町だ。半島は小山でキャストン市の北側にあり、小山にはキャストン侯爵家の城であるキャストン城が築かれている。北側の城からは街を囲むように高い土塁と、湖の水が引き込まれた堀が巡らされていた。
土塁は土を高く盛って突き固めた版築法を用いて築かれている。それは魔物や盗賊、敵対関係となった他の自治都市や部族から街を守るには有効であっても、本格的な攻城兵器を装備した一国の正規軍との戦争ともなればいささか心許ない印象だ。キャストン侯爵であったアルベルトさんが魔王国軍の侵攻に際し、街と城を捨て領民達をサラクーダ市に避難させたのはその辺の事情もあったのだろう。だが、その結果として街は残り、領民達の多くがサラクーダ市で命を奪われる結果となったのは残念としか言いようがない。
キャストン市を囲む土塁と水堀には湖に面する西側を除いて東南北のそれぞれに門があり、門に付属して侯爵家騎士団の屯所が併設されていた。要は異世界転移もののラノベで、主人公が衛兵や番兵に不審がられ「ちょっと詰所に行こうか?」とやられるアレだ。
北の屯所は北方に展開する外敵に眼を光らせ、北方に索敵と警戒を向けるには最適と言える場所で、俺と斉藤は暫くこの屯所を間借りする事にした。
〜・〜・〜
北の騎士団屯所、その1階ロビーで俺と斉藤は持参した朝餉を喫すると、探知魔法を放つ以外はやる事が無いので長椅子に寝転んで駄弁っていた。
この建物の中身も随分と魔王国軍に荒らされていたが、俺達はどうにか原型を保っていた長椅子を探し出すと、一階のロビーに運び込んでそれぞれ横になった。行儀悪い事は百も承知だが、男2人しかいないんだし、長丁場になるのだから楽にしていてもいいだろう。
「なんか悪かったな、巻き込んじまって」
俺がそう斉藤に話しかけると、斉藤は長椅子に寝転んだまま口を開いた。
「まあ、たまには男同士でこういうのもいいだろう。最近のリュウは女とばかりいるからな」
「う〜ん、否定出来ないのが辛いところだが、っていうか、何だ、ヤキモチか?」
「気持ちの悪い事を言うなよ」
と、こんな感じ会話が続いていた。
「なぁ、タケ」
「ん、何だ?」
俺達は依然として長椅子に寝転んでダラダラと駄弁りを続けていた。勿論、定期的に2人で交互に探知魔法で索敵をしつつ。
「北の精霊樹に行ったら元の世界に戻れると思うか?」
「どのような形で、かはわからないが戻れそうだな」
斉藤はさらっと凄い事を言った。
いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。
それでは次話もお楽しみに!
乾巧
「おい知ってるか。
夢ってのはな、時々スッゲー熱くなって、時々スッゲー切なくなるらしいぜ。
俺には夢がない。でもな、夢を守ることは出来る。変身」
『仮面ライダー555』より




