表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/229

第152話 死闘の果てに未来は開く②

竜太「やあみんな、久しぶり。土方竜太だ。コロナ禍の世の中だけど、みんな健康に留意してくれよな」

真琴「医療従事者の皆さん、お疲れ様です」

雪枝「でもさぁ、ニュースとかで取材する大抵医者や看護師ばっかり」

舞「本当、それ。保健所もそうだけど、救急隊なんかもっと大変なのにね」

竜太「まぁ、病院は取材し易いってのもあるよ。保健所も救急隊も役所の許可とか必要だしな」

フレデリカ「皆さん、大変だけど頑張って乗り越えましょう、って事で『魔法修行者の救国戦記』始まりです!」


斉藤「アーレハイネセンはこう言った、闇が濃くなるのは、夜が明ける直前であればこそ 、と」

ユーリカ「それって誰?」


始まったアルメウス公爵との決戦は徒手格闘戦。アルメウス公爵は魔法や剣術ではなく、徒手格闘が得意なのだという。


俺は短時間の一撃で勝負を決めようと思っていたのだが得意とするだけにアルメウス公爵の格闘術は侮り難く、また、傷を負わせてダメージを与えても吸血鬼の回復力により創傷も骨折も内臓破裂も寛解して回復してしまい、なかなか決着を着けられずにいた。 



俺はアルメウス公爵の右フックを上体を半身を切って避けてると、重心を落として右腕に魔力込め体重を乗せてアルメウスの鳩尾に強力なアッパーを放った。


「ぐっ」


その衝撃にアルメウス公爵は呻き、体をくの字に折る。


もう何度こうして打撃を加えた事か。しかし、アルメウス公爵は決して倒れず、膝を屈しない。



俺はアルメウス公爵を一撃で倒す考えから、何度回復しようと更にダメージを与えて確実に仕止める戦い方に方針を変えていた。


吸血鬼の回復力といっても、それは決して無限にある訳ではない。その回復力は魔力を源としており、魔力が尽きれば回復力も無くなる。時間はかかるがこれが確実な高位吸血鬼の倒し方といっていいだろう。


こんな状態でもアルメウス公爵は俺からの2撃目を警戒して俺から距離を取る。俺はすかさず彼との間合いを詰めて右上段回し蹴りを放つ。アルメウス公爵は咄嗟に左腕で頭部を庇うが、俺の回し蹴りをまともに受け、遂に床に叩きつけられて倒れた。


アルメウス公爵は左腕を魔力で強化していたのか、腕に変形は見られず頭部を守り切ったが、倒れて直ぐには起き上がれずにいた。どうやら俺の地道な攻撃が効いて、随分と魔力を削り取られているようだ。


容赦無く俺は加速して間合いを詰め、アルメウス公爵の頚部を踏み潰さんと右足に魔力を込めて踏みつけた。アルメウス公爵は俺の踏みつけを床上を回転して避ける。



「ま、待て!」


これはアルメウス公爵ではない。魔王国軍側から上げられた声だ。


俺はアルメウス公爵から目を離さず、意識だけをその声を上げた者へと向ける。


その者は俺の攻撃が止まると、すかさず俺の前にアルメウス公爵を守るように両腕を開いて立ちはだかった。黒い甲冑を纏ったその者は魔王国軍の女鬼武者の軍監。確か名前は、


「ザビーナ殿。駄目だ、退がれ」


そう、ザビーナ・ルクレース。


ザビーナの介入にアルメウス公爵は漸く立ち上がる。アルメウス公爵には一見するとその体には傷一つ無いように見えるが、本来なら俺との戦いで満身創痍なのだ。


「いいえ、閣下。私は退きません!」


ザビーナはそう言って俺をキッと睨んだ。


「貴様、卑怯者め!閣下をいたぶって楽しいのか!貴様のような奴が勇者なものか、恥を知れ!」


いや、俺が勇者とか言った訳じゃないんだけど…


ザビーナがそういった行動に出れば、当然エーリカ達も黙っていない。


「リュータ!」


離れて観戦していた俺の恋人達も此方へ駆け寄って来た。もう、アルメウス公爵も魔力で周囲を圧倒する事は出来ないようだ。


しかし、これは俺とアルメウス公爵、男と男の互いの生死を賭けた戦いだ。特にアルメウス公爵は魔王国の領地に残して来ている一族や部民の生死がかかっている。そして、アルメウス公爵は既に30人もの家臣達をこの戦いで失っている。誰であってもこの戦いに水を差す事は許されない。


「ザビーナ殿、この戦いを止めてはならない。そういう約束なのだ」


「しかし、この男は閣下を、」


「それは違う。君の、誤解だ。ヒジカタ君は、私を強敵と、認めているが故の、確実に勝つために、私の魔力を削ろうとあのような戦い方を、したのだ」


アルメウス公爵は諭すようにザビーナへそう言うと、ゆっくりと立ち上がった。随分と苦しそうに喋る。


「それに、こうして戦う事が軍監たる君を見逃す条件だ。その君が戦いに水を差してどうするのだ」


アルメウス公爵に強い口調で嗜められたザビーナは、悔しそうに下を向く。


「これは私の、そして死んでいった家臣達の名誉を守るための戦いであり、一族と部民の未来を守るための戦いだ。私ではヒジカタ君に勝つ事は難しい。しかし、男たる、そして吸血鬼の王たる私は、例え死ぬとわかっている戦いであっても、決して退く事は許されないのだ。ザビーナ殿、この愚かな男の戦いを最期まで見届けてくれ」


アルメウス公爵がそう言ってザビーナの肩を

抱くと、ザビーナはそのまま振り向いてアルメウス公爵に抱きついた。あっ(察し…)


二人の抱擁はほんの数秒。俺達の誰もが、この俄かに出現したこの場に不似合いな雰囲気に絶句していた。


"みんな、この隙に戻ってくれ"

"りょ、了解"



「大変失礼しました」


ザビーナはそう言って深々と一礼すると、再び下がって行った。


この間、俺は一言も発せられないでいた。俺も当事者の一人ではあったが、まぁ、空気を読んだね。


「見苦しいところを見せたね」


「いや、まあ、生きていれば色々あるさ」


こんな時に何かしら気の利いた事が言えたら良かったのだが、生憎と俺には何百年も生きている異世界の吸血鬼の王にかけられる言葉は見つけられなかった。ましてや、その吸血鬼の王と鬼族(美女)の軍監、本来なら監視される者とする者との情を交わす場面を見させられた後ともなれば尚更だ。


ただ、まあ、俺もエルフのエーリカ、獣人のサキやアーニャという異種族の恋人達がいる身であるから、アルメウス公爵とザビーナに幾らかの親近感を抱いたのは事実だったりする。


「では、仕切り直しといこうか」


「そうだな」


そうして再び対峙する俺とアルメウス公爵。


ザビーナの突撃で態勢を持ち直したとはいえ、アルメウス公爵はもう長くは戦えないだろう。


(せめて一撃で決めよう)


俺とアルメウス公爵は互いを一撃で倒すべく一瞬で間合いを詰める。


アルメウス公爵は俺の胸部を狙って手刀の突きを放つ。アルメウス公爵の手刀には彼の残った魔力、その殆ど全てが込められて白く発光していた。これをまともに食らったら流石の俺もダメージがデカい。


俺は左向きに半身を切り、魔力を込めた左腕でアルメウス公爵の手刀突きを内受けして掴む。そしてアルメウス公爵の空いた胸骨、その奧の心臓目掛けて右の掌底突きを叩き込んだ。


俺の掌底から発せられた衝撃波は一瞬にして胸骨を突き抜けてアルメウス公爵の心臓を破壊してその動きを止めた。


「ぐはっ」


そしてアルメウス公爵は呻き声と共に喀血して崩れる。


俺は何故か崩れ落ちるアルメウス公爵を抱きとめてしまう。自分で止めを刺しておいて何だけど、何となくこの誇り高き吸血鬼の王、その最期が地に倒れ伏す姿になってしまうのが嫌だった。


「…見事だ。やはり私が敵う相手ではなかったか」


アルメウス公爵は苦しそうに呟いた。


「サウザール!」


ザビーナが駆け寄り、その双眸から涙を流してアルメウス公爵の手を取り、その胸に押し抱いた。


「ザビーナ、辛い役目を押し付けて済まない」


「いいえ、いいえ、サウザール。これは二人で決めた事よ」


二人は名で呼び合う。


「ザビーナ、有難う。愛しているよ」


「サウザール、私も、私もあなたを愛しています」


折り膝の姿勢の俺はアルメウス公爵を抱いて横たえ、そしてザビーナは跪いてアルメウス公爵の手を押し抱いて最期を看取る。


「ヒジカタ君、君の腕の中で死ぬというのも妙なものだ。後の事は頼んだよ、勇者よ」


そう言い終えると静かに目を閉じ、アルメウス公爵の体からは青い炎が吹き上がる。その炎は瞬く間に全身を包むとやがてアルメウス公爵は灰となり、俺は彼の灰を風魔法で家臣達の灰と共に窓から空へと吹き飛ばした。


いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみ!


霊幻新隆「よく聞け、俺たちは人とはちがう特別な力を生まれもったわけだが決して自分を特別な存在だと勘違いしてはいけない。足が速い人 歌が上手い人 勉強ができる人 話が面白い人 超能力を使える人 これらに優劣などつけられるか?」


「モブサイコ100」より




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ