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第146話 異世界ハーレム野郎はバニーガール蛇使いを夢に見ない

竜太「やあみんな、土方竜太だ。今回は久しぶりに読者の方のお悩み相談だ」


「初めまして竜太さん。大学1年の男子です。先日、飲み会でいいなぁと思っている女の子と話が盛り上がって、その際に肩をバシバシ叩かれました。これって僕に気があると思いますか?」


竜太「これは女子に訊いてみよう」


エーリカ 「特に意味は無いわよ?」

真琴「うん、無いわね」

舞「え?あるとか思ってるんですか?」


竜太「… という事で『魔法修行者の救国戦記』スタート!」


サキ「でも、本当に嫌な人には触れるのも嫌だから、希望を持ってくださいね」


☆ ユリィ視点ー


それからアドランゲの戦いっぷりは全く一方的だった。


アドランゲはするすると竜牙兵どもの間に入って行くと、竜牙兵の振るう剣などものともせず、一度に数体の竜牙兵をその胴で巻き取る。


ゴキュ、ボキボキボキ、バキバキッ


そして一気に締め付けられた竜牙兵どもは悲鳴など上げられず、耳障りな音を立てて粉々に砕れた。


更にアドランゲは鎌首を高くもたげて大きく口を開くと、その口から霧状の強酸を別の竜牙兵どもに吹きかけたのだ。


その霧状の強酸を浴びせかけられた竜牙兵どもは白い煙と共にシュウシュウと音を立てて融解し始めるや、たちどころに崩れ去る。


この一方的な戦果にアドランゲは私の方を向くと、「どう?やったよ?」という感じの視線を向け舌をチロチロ出し入れ。


「「「……」」」


私とケリィ以外の3人はアドランゲの戦いを見て絶句していた。まぁ、無理もない。


「アドランゲ、良くやったわ!」


ここで誉めておかないと拗ねてしまうので、私はすかさず誉める事にしている。


「いや、凄いなこの黒蛇」


少し間を置いてオスカーの絞り出したような声が聞こえた。


「ほら、あたし達も行くよ!」


しかし、ケリィは絶句している男達の尻を叩くように残敵掃討へと駆り立て、私達はその後の戦闘で残りの竜牙兵を全滅させると、屋上のリュータ達に合流すべく上階へと向かった。


「ユリィ、やるじゃん。リュータへのいいアピールになったんじゃない?」


階段を駆け上がりながらケリィが茶化すように言った。


「そうね、そうなるといいけど」


私はそう言って熱を帯びた顔をケリィに見せないように駆け上がるスピードを早めた。



リュータ。私が好きになった(ひと)だ。


初めは異世界から来た神々の加護を授かった神使と聞いて、一体どんな人なんだろうかと思った。女性が多くて女性優位な戦兎族に女性として生まれた私は、幼い頃から戦士として育てられた。私にはその才能があったようで、ケリィと共に今では腕利きの戦士になったと自負している。


そんな私も年頃の女の子だ。(つがい)となるかもしれない男の人は気になるところ。でも、私はその相手は私よりも強い人が良かった。ケリィには「そんなだとお一人大姉様だよ?」なんて言われてるけど、こればっかりはどうしても譲れない思いだ。


因みに「お一人大姉様」っていうのは、誰とも番わなくてお年を召された女性を指す隠語なんだけど、その理由が自分以上の強さを男性に求めたから、というのが多いそうだ。


そして、魔王国との戦争になって前線で戦っていた私とケリィに王府から異世界から来る神使様方と戦兎族の先触れとして接触するよう勅命が下された。


私はまだ見ぬ異世界からの神使様がどんなにか強い男なのだろうかと興味半分、憧れ半分で謹んで拝命し、神使様に会える時を楽しみにしていた。


だけど、期待していた分だけ実際に会った時の神使様、いや、リュータの印象は最悪だった。だって、私の前に現れたリュータは、まだ15〜16歳くらいの狼獣人の女の子と明らかにイチャついた後だったし、他にも獣人だけじゃなくてヒト族やエルフの女の子を恋人にしているような奴だったのだから。


そりゃあ、エルム大森林じゃ異種族との結婚や重婚だってよくある事だし、私やケリィだって父親が戦兎族じゃない(多分)。それに私達獣人は強い者に憧れたり惹かれたりするし、従ったりもする。でも、7人って多すぎじゃない?まぁ、後から一人は妹だって知ったけど。


正直な話、私はがっかりした。がっかりのあまり狼獣人の女の子と口論になってしまい、今にして思えばサキちゃんに八つ当たりしちゃって申し訳なかった。


でも、がっかりしたし、第一印象は最悪だったけど、リュータは紛れもなく誰よりも強い男だ。そして、認めたくないけど、外見も私の好みだったりする。


長身で逞しい身体。黒髪にちょっとキツめだけど涼しげな二重の両眼、黒い瞳。スッと伸びた鼻梁に少し薄めで意思の強さを感じさせる引き締まった唇。


がっかりしたけど、それでも私はリュータの事が気になって気になってしょうがなくなっていて、気づけばリュータの事を目で追うようになってしまっていた。


とはいえ、私は最初にリュータの恋人である狼獣人のサキちゃんと揉めてるし、その後もリュータにはやたら突っかかるような態度もとってしまっているから、この気持ちをどのようにしたらいいのかわからない。ケリィにはすっかりバレていたみたいだけど。


それでも私は勅命による戦兎族とリュータ達との連絡役(監視も含めて)としてリュータの側にいなくてはならなかった。そうした中でリュータと共に話したり、ちょっと揶揄ったり、そんな時間が私にはとても楽しくって充実した大切な時間に思えるようになっていった。


好きになっていたんだ、リュータの事が。でも、こんな時どうしていいのか私にはわからなかった。だって、私は戦兎族の戦士として女ばかりの郷社や戦士団の中で育ち、暮らしてきたのだから。男の人を好きになるなんて事は今まで無かったから。


しかも、リュータには6人も恋人がいて、そこからリュータを奪うなんて絶対無理。ならばその中に、恋人の一人として食い込むのか?それってどうやって?


それに私はリュータの事が好きだけど、リュータは?リュータは私の事をどう思っているの?うるさい奴?それとも少しは好意を持ってくれている?


こんな答えの出ない自問自答を繰り返していたけれど、そんな懊悩がひょんな切欠で吹っ切れる事となった。それはサラクーダ大学でリュータが吸血鬼のアルメウス公爵と対面した時だった。私は例の連絡役としてリュータに付き添ったのだけど、アルメウス公爵を見たリュータが、何故か少し焦ったように後ろにいた私に振り返り、私の顔をまじまじと見るや、ホッとした表情になったのだ。


初めはリュータがどうしてそんな事をしたのか分からなくて「ん?」と小首を傾げてしまったのだけど、その後でビビッと雷に撃たれたように直感した。


アルメウス公爵は美中年の吸血鬼の王。吸血鬼といえば魅了がその能力の一つだ。


(え?リュータ、私の事を心配してる?)


そう、リュータは私がアルメウス公爵に魅了されていないか心配になって振り返って確認し、私が魅了にかかっていなかった事に安堵してホッとした表情になったのだった。


その時、私は自分が決して勝ち目の無い絶望的な戦さをしている訳では無い事を悟った。その事実は希望となり、私に進むべき道を指し示した。



それから、竜牙兵との戦いによって足止めされたリュータを助ける為、私は魔獣アドランゲという切札を切る事にした。でも、これは一種の賭け。アドランゲは頭も良くて、優しい人懐っこい性格だけど、その見た目は黒々とした大蛇だ。私には愛嬌があって可愛く見えるけど、人によっては恐ろしげに見える事だろう。しかも、アドランゲの戦い方は締め殺したり、強酸や猛毒を吐いたりと割とエゲツなかったりもするし。


だけど、この場面でアドランゲを出せば、今の戦局を見事にひっくり返す事が出来、足止めを食らっていたリュータの作戦も、その時間の遅れを取り戻す事が出来るんだ。


えーい、ままよ、女は度胸!きっと大丈夫。


「我、戦兎族の戦士ユリィ。古き盟約に従いて影より出でよ、黒蛇アドランゲ!」


果たしてアドランゲを見たリュータは、最初こそ驚いていたけど、なんと、アドランゲに挨拶したんだ。


「あ、どうも。俺、竜太っていいます。ユリィさんにはいつもお世話になってます」


私は自らの賭けに勝ち、内心喝采を叫んだ。


そしてリュータ達が屋上へと移動すると、この場に残ってくれたケリィやタケダらと共に竜牙兵を殲滅してその後に続いた。


リュータ、私が初めて好きになった(ひと)。私、あなたの役に立ったよ?あなたはどんな言葉を私にかけてくれるかな。


リュータのいる屋上まで、もうちょっと。


いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「異世界の屋上で愛を寄せる獣人」をお楽しみ!


カロッゾロナ 「しかも脳波コントロールできる!しかも手足を使わずにコントロールできるこのマシーンを使う私をナディアと同じように見下すとは!つくづく女というものは、御し難いな!」


『機動戦士ガンダムF91』より



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