第145話 黒蛇魔獣アドランゲ現る!
竜太「やあみんな、久しぶり。土方竜太だ」
エーリカ「やあみんな、エーリカ・バル・サバールよ」
竜太「そういえば、エーリカには好きなアイドルとかいるの?」
エーリカ「目の前に最高のヒーローがいるから興味ないわ。竜太はどうなの?」
竜太「俺だって目の前に最高のアイドルがいるんだから興味ないよ」
エーリカ「…"リュータ♡"」
竜太「…"エーリカ♡"」
畠山「おおっ、それは80年代に一世を風靡した少年ジャンプのラブコメ『キックオフ』の「由美ちゃん、永井くん」って奴じゃな?興味ある人はググれば良かろう。とっても懐かしいって事で『魔法修行者の救国戦記』スタートじゃ!」
エーリカ「えっ?」
リュータ「あっ!」
「出よ、黒蛇アドランゲ!」
ユリィが叫ぶと、彼女の足元の影がうねうねと拡縮を繰返したかと思えば、一際大きく広がった瞬間、その影からズルズルと黒く長い影の塊が這い出て来た。
それは人間の胴程もある太さの黒い大蛇で、鎌首をもたげてユリィの体に頭を擦り付けると、ユリィも愛おしそうによしよしといった感じでその頭を撫でた。
(ポ、ポケモ○?カプセル怪獣か?)
アドランゲと呼ばれた黒い大蛇は、ユリィに頭を撫でられると心地良さげに瞼を閉じ、再び開眼すると俺をジロリと見上げたので目が合う。睨んでいる、訳ではなさそうだったので思わず
「どうも、竜太っていいます。ユリィさんにはお世話になってます」
と頭を下げて挨拶してしまった。するとアドランゲもペコリといった感じで頭を下げた。
(結構、いい奴?)
そうして俺とアドランゲが互いにペコペコと頭を下げていると、ユリィの怒声が響いた。
「もう!そんな事してる場合じゃないでしょ!ここは私達に任せてリュータは上に行けって言ってるの!」
だが、そう言われてじゃあよろしくね、とは出来ない。ユリィの戦闘力を今まで見てきた俺としてはその実力を疑うものではない。しかし、この黒い大蛇がただ者ではない事は見ればわかるものの、実際にはどんな能力があるのか、俺には未知数なのだ。
「リュータ、ユリィとアドランゲの実力はあたしが保証するよ。それにあたし達も一緒に残るから大丈夫。ここはユリィの顔を立ててさ、さっさとみんなを連れて上へ行ってよ」
「土方中尉、大丈夫です。行って下さい」
見ればTチームの面々が竜牙兵と切り結びながら側まで来ていた。そう言えばまだ彼等の任務は解除してなかったな。
「リュータ、上へ行きましょう。時間がありません」
逡巡する俺をサキが促す。タイムスケジュールを考ればここでマゴマゴはしていられない。
「わかった。武田少尉、ここは任せた。現場にて竜牙兵を抑え、然るのち合流しろ」
「武田少尉了解です。任されました」
武田少尉にここの指揮を任せると、俺は早速乱戦状態の皆に念話で指示を出す。
"制圧隊は射撃隊の護衛して上階へ移動しろ"
そして俺はこの別棟の1階をTチームとユリィに任せると、皆を率いて上階へと駆け上がった。
☆ユリィ視点ー
サラクーダ大学の第1キャンパス?別棟の1階にはやっぱり竜牙兵が詰めていた。早速そいつらを排除すべく戦闘が始まったのだけど、遭遇戦といった感じで乱戦状態になっちゃった。
「ケリィ、やたら多くない?」
私は斬りかかってくる動きの遅い竜牙兵の剣を捌きながら、すぐ近くで竜牙兵と斬り結んでいるケリィにそう話しかけた。ケリィはちょうど返事どころじゃない状況で、前蹴りで竜牙兵を蹴り飛ばして距離を取ると、デュラールを槍状に変形させて一気に竜牙兵の胸部を突いて砕いた。
「全く、キリないっての」
ケリィはそう言うと、今度はデュラールを鞭状にして振るい、別の竜牙兵の両脚を薙ぎ払った。
別棟の1階は室内にしては広いけど、こうした戦闘をするにはやはり十分な広さじゃない。この乱戦で屋上へ向かう私達はすっかり足止めを食らってしまっていた。
ふと、目でリュータを追うと、彼は乱戦状態で刀を抜けず徒手格闘術で竜牙兵を倒していた。その一切の無駄が無く洗練された動きは見ていて惚れ惚れする程だけど、リュータはここでこんな事をしている場合ではないでしょ。
こうしている間にも別棟の外では戦兎族も有志連合も大量の竜牙兵と戦い、数の圧力に押されているはずなのだ。リュータにこれ以上ここで時間を費やさせる訳にはいかない。
よし!ここは私が奥の手を出す。あの子ならこんな状況にピッタリだし、時間を稼いで私がリュータを助ける!
「ケリィ、アドランゲを出すわ。私達でここを抑えましょう」
「わかった。久々ね、アドランゲを出すの」
流石は相棒、すぐわかってくれる。それにケリィがいれば、今なら漏れなくタケダも着いて来るからね。私にアドランゲ、それにケリィとタケダのチームがいればここは大丈夫でしょう。
ケリィとタケダは昨日の任務から付き合う事になったのだそう。ケリィの相棒としてはちょっと寂しい気もするけど、親友にして相棒たる私は祝福しなきゃね。
そして、私は乱戦の中、リュータに近づいて言った。
「リュータ、時間が無いんでしょ?」
「そうなんだけど?」
私は今こそとばかりにアピールする。
「私には奥の手があるの。ここは私が何とかするから射撃隊を連れて上へ行って」
私が一気にそう捲し立てると、リュータは目を見張って驚いた表情となった。私はそれには構わず、精神を集中させて魔力を高めると、私の影の中に潜む蛇の魔獣アドランゲを呼び出す。
「出よ、黒蛇アドランゲ!」
すると、大きく広がった私の影からズズズと黒い蛇の魔獣アドランゲが姿を表した。
魔獣アドランゲ。ケリィがデュラールという魔法武器の操者となったように、私はこの黒い蛇の魔獣の使い手、魔獣使いとなった。
この魔獣は大人の胴回り程もある太さで、その全長は約7リョーメ、更にある程度自在に伸ばす事も出来る。全身黒い鱗で覆われていて、この鱗は硬いばかりか抗魔力作用もあって魔法攻撃も跳ね返してしまう。
尻尾の力はオーガの両大腿も軽く薙ぎ払って砕いてしまう程だ。締め付ける力も凄まじく、アドランゲに巻きつかれたらオークも忽ち全身の骨を砕かれてしまうだろう。
そして、その牙には猛毒があるばかりか、毒や強酸を液状や霧状にして吹きかける事も出来る恐ろしい魔獣なのだ。
ただ、この魔獣は知能が高くて穏和な性格だ。いつの頃からかは定かではないけど、戦兎族と接触を持ち、いつの間にか一緒に暮らすようになって守ってくれるようになったんだとか。そして、またいつの頃からか気に入った戦兎族の戦士と仲間になりたがるようになり、普段は影の中に潜んで一緒に戦ってくれるようになったのだそう。
私とケリィはサラクーダ市での情報収集任務を命じられた際、王府で魔獣・魔法武器選定の儀を受けさせられた。その時に私はアドランゲに気に入られたみたいで、以来私はアドランゲと、ケリィはデュラールと、第2の相棒として行動する事となった。
因みに、デュラールにも自我があるみたいで、ケリィが話しかけたり、戦闘時に命令したりすると淡く光ったり、強く輝いたりして意思を伝えてたりするよ。
リュータが制圧隊を率いて上階へ向かうと、別棟の1階には私とアドランゲとTチームだけが残り、未だ数多い竜牙兵と対峙。ここは流れで私が戦闘の再開を告げる。
「アドランゲ、竜牙兵どもを叩き潰して!」
アドランゲは私がなかなか影から出さなかったからか、鎌首をもたげると低く「ウゥー」と唸ってやる気を見せた。そして最も近い位置にいた3体の竜牙兵に向け尻尾を振るうと、その直撃を受けて竜牙兵は全てバラバラに砕かれた。
「うわぁ、相変わらず凄いね、アドランゲちゃんは」
ケリィがアドランゲの戦いっぷりに絶句している男どもを尻目に調子っ外れな声でアドランゲを讃えると、アドランゲはこっちを向いてどうよとばかりにチロチロと舌を出して見せた。
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それでは次話もお楽しみ!
マックス: どうしたんです、一条くん。きゅうに臆病風吹かせちゃって。
輝: なにぃ!
柿崎: マックス隊長のいうとおり。もしかすると、女ができたせいかな? いっはっはっは…。うわあ!
[ 柿崎機、撃墜 ]
輝:柿崎!
『劇場版超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』より




