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第143話 竜牙兵、中庭にいっぱいいるってよ

竜太「やあみんな、土方竜太だ。今回は男ばかりで戦争映画について語り合おう。俺的には「英霊達の応援歌」「男達の大和」「ハートブレイクリッジ」「遠すぎた橋」だな」

斉藤「俺も「ハートブレイクリッジ」、それから「ワイルドギース」だな」

武田「自分は「戦国自衛隊」と「二百三高地」」

大沢「自分はですねぇ、「メンフィスベル」と「ローレライ」っすね」

オスカー「俺は「デルタフォースもごもご」

(トッドに口を押さえられる)

トッド「あれはやめろ!それ以上何も言うな!という事で『魔法修行者の救国戦記』スタートだ!」


竜太「?どうしたんだ、アメリカ組は」

斉藤「確かに、あの二作目はちょっとな」

竜牙兵って知ってるかい?まぁ、よくファンタジー物の作品に出て来るよね。俺にとって印象的だったのは、やっぱり『ロードス島戦記』かな。魔術師が操る竜牙兵が一体、また一体と蛮族の戦士達に倒されていく場面なんか良く憶えているよ。


と言って、やっぱり竜牙兵について俺が知ってるのはそんな程度だな。調べようにも携帯端末は当然圏外だし。


エーリカだって竜牙兵については通り一遍の知識しか無かった。そして、この世界の人達も誰も好き好んで死霊術なんぞに関わろうという者はごく稀らしく、その知識についても無論、一般には知られていないらしい。


そんな正体不明な一千体にも及ぶ竜牙兵が中庭で待ち構えている。俺達の正面にはサラクーダ大学の通称"第1キャンパス"が立ち塞がり、建物の右から攻めようが、左から攻めようが竜牙兵に妨げられる。今は竜牙兵の投入で数的劣勢に陥った俺達は押し返されてしまうだろう。


「第1キャンパスが無ければ数が多かろうが竜牙兵なんてどうって事ないのだがな」


斉藤が腕を組んで考え込むと、


「だったら発想の転換を図りましょう」


と、舞が提案した。


舞によれば、第1キャンパスはこちらの前進を阻んでいると同時に、数的優勢である竜牙兵がこちらへ雪崩れ込めないようにもしているのだと。


「だから第1キャンパスの左右は抑えの戦力置き、少数の本隊で第1キャンパスの建物の上から魔法や弓矢で中庭の竜牙兵を攻撃して殲滅すればどうですか?」


式神で偵察した雪枝によれば、竜牙兵の装備は片手剣と盾という事だ。弓兵がいないのであれば射かけられる事も無い。


「上空を制する者が戦いを制するんですよ!先輩」


確かに戦術的にも舞の言う通りだ。


すると、それを側で聞いていたグレンダ女王の側近であるラキィさんが発言を求めた。


「神使さま。その場合は弓兵が必要となりますね?それならば、是非とも我等の弓兵をお使い下さい!」


ラキィさんによれば、戦兎族には60人の弓兵が従軍しているが、この度の戦では今のところ殆ど出番が無かったらしく、少々腐ってしまっているのだそうだ。そこでラキィさんが舞の作戦案を聞いて「これだ!」となり、適材適所と弓兵の士気向上のためにも是非にも!となったという事だった。


「弓は何を使っているんですか?」


「大弓です」


ラキィさんから大弓と聞いた瞬間、俺の脳裏にはかつて海岸から怒涛の如く押し寄せる蒙古の敵兵共を弓兵を指揮して射殺して押し返した光景が過った。しかも、手や腕には自らも弓を引き矢を放った感触や筋肉の張りまで残って。


そう、あの時は蒙古が高麗を従え、海を渡って攻めて来たのであったな。壱岐、隠岐、対馬は忽ち蹂躙され、我らは少弐様のお下知に従い太宰府より出陣。赤坂の戦いでは俺が放った大弓による遠矢が蒙古の大将を射止めた。


「リュータ!」


と、不意にエーリカに名を強く呼ばれ、ハッと我に帰る。


「どうしたの?急にボーっとしちゃって。大丈夫?」


見れば、皆が心配そうに俺を見ていた。


「済まない。ちょっと考え込んだだけだよ」


不意に蘇った前世の記憶(多分)。皆には心配かけてしまったが、これで俺の腹も決まった。


「舞の案で行こう。舞は必要な戦力を編成してくれ」

「はい、先輩!」


「ラキィさんは弓兵をスタンバらせてくれ」

「スタンバらせ?」

「済まない、準備させてくれ」

「仰せのままに」


そうと決まればと俺は次々に指示を出し、ラキィには弓兵の抽出と歩兵による第1キャンパス右翼の抑えを頼み、有志連合軍のアンドリューには第1キャンパス左翼の抑えを頼んだ。


「満峰組は皆第1キャンパスか?」


「そうだ。第1キャンパスを攻略して校舎の上から骸骨共に無差別爆撃だ」


こうして竜牙兵の登場で中断したサラクーダ大学攻略作戦は、内容を変更しつつ、再び動き出した。



舞の考案した作戦の流れは以下の通り。

まず第1キャンパスの左右それぞれで竜牙兵と接触して戦闘を開始する。

その戦場となるのは第1キャンパスと南北それぞれの河岸段丘の崖との間となる。そこは約50mの幅がある土地であり、崖への転落を防止する塀がある他は植栽がある。

そこへ竜牙兵が二手に分かれて攻めて来る(多分)のだが、それに対してこちらは有志連合軍と戦兎族がそれぞれ当たる事となる。


だが、サラクーダ市各地に警備のため分散させた戦力を再集結させても、千にも及ぶ竜牙兵に対しこちらの戦力不足は如何ともしがたい。やがて時間の経過と共に戦力差から竜牙兵に押し切られてしまうのは必定だ。


なので、そこで必要となるのが満峰組による早急な第1キャンパス攻略だ。可及的速やかに第1キャンパスを攻略し、その屋上から竜牙兵の主力に攻撃魔法と弓を浴びせかけて撃滅し、第1キャンパス左右の圧迫を排除して一気に大講堂まで迫る。


だから、この作戦の要は如何に早く第1キャンパスを攻略するかにかかっている、と言えよう。


「速力が武器だ」とは子供の頃に師匠の書斎という名の漫画ライブラリーで読んだ古い漫画にあったセリフであり、敵の包囲を突破する際に、その作戦を指揮する王女が部下達にこのセリフを言うのだ。丁度良いので俺もこのセリフをここで使わせて貰う事としよう。


集まった格部隊の幹部達を前に舞が作戦を説明。然るのち、俺は彼らに檄を飛ばした。


「この作戦は魔王国軍だけが相手ではない。時間との勝負でもある。進むも退くも早さが必要だ。速力が武器となる。これを理解して各自最善を尽くせ。では、これより作戦スタートだ!」


おおぅ!と勇ましい(特に戦兎族の弓兵隊長が)鬨の声を上げて気合いを入れ、皆それぞれの持ち場へと散って行く。


第1キャンパスの攻略、占拠が早ければ早いほどこの作戦は俺達に有利な展開となる。なので舞は満峰集団から特にパワーと速力を重視したメンバーを突入組に選抜している。陣頭指揮は俺が執るにしても、そうなると必然的にそのメンバーとなるのは獣人と人狼だ。


「なら獣人にして副官たる私はリュータに同行しなければなりませんね」


「勿論、獣人たる私も。私の剣技をリュータに見せる時が来たわね」


と、張り切っているサキとアーニャに、俺はいささかの不安を覚えるのであった。


いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみ!


ヴォル「ふん、もう勝ったと思ってるな」

ヴィットマン「そうらしい。では教育してやるか」


『彼らは来た』パウル・カレル著(松谷健二翻訳)より


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