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第140話 吸血公アルメウスの悩み

竜太「やあみんな、土方竜太だ」

舞「やあみんな北川舞です。先輩、たまには地元の料理が食べたくなりますね?」

竜太「そうだな。舞は何が食べたい?俺は山田うどんの赤パンチ(もつ煮)定食かな」

舞「私は加藤牧場の高麗鍋肉まんですね」

竜太「あ〜、食べたくなってきたって事で、『魔法修行者の救国戦記』スタートだ!」


舞「先輩、お取り寄せとかありますから、今度みんなで地元料理パーティーしましょう?」

竜太「いいねぇ。あ〜、食べたくなってきた」

アルメウス公爵への取次のためか、一つの気配が正門付近から遠ざかって行った。しかし、サラクーダ大学正門付近にはまだ幾つかの気配、3つの気配が感じられている。


それらの気配は動く様子は無く、ただじっとこちらの動きを窺っている。おそらく、そいつらは吸血鬼、それも元はヒトだった吸血鬼の眷属ではなく、魔力の操作にも慣れた純粋な吸血鬼だ。


彼方からは何か仕掛けて来る様子も無いので、俺はアルメウスという吸血鬼の公爵について考えてみた。


魔王国は魔族の国として世界中から警戒されていて、積極的に交流しようという国は少ない。当然魔王国には最新の情報や技術などはなかなか入って来ない。だから魔王は魔王国では難しい世界中からの情報や技術などを収集するためこのサラクーダ市を作らせた。


サラクーダ市の役割はそればかりではない。収集した情報や技術も活用して魔法や魔術を研究、開発し、侵略戦争に際して市民やエルム大森林の住民達を資源として利用する事も含まれていた。


そして、魔王国の侵略に際し、アルメウス公爵とやらはその人間を資源として活用、いや、具体的に言ってエルム大森林における住民の大虐殺、拉致、監禁、人体実験、人体改造、それらを全てを見事にやってのけた人物(吸血鬼)だ。一体どんな奴なのだろうか?


魔王国のやった悪の秘密結社も真っ青な所業。アルメウス公爵とやらも悪の秘密結社の大幹部然とした、目の下隈バッチリのさぞかし恐ろしげな容貌で、地○大使とか死○博士とか呼ばれているのだろうか?



☆アルメウス公爵視点


「閣下」


瞳を閉じて物思いに耽る私に、家臣の吸血鬼が遠慮がちに声をかけた。この者、ザルツは代々我がアルメウス公爵家に仕える一族出身であり、私にとっては幼き頃より仕えている腹心といってよい家臣だ。


「どうしたのだ?」


「はい、正門に異世界から来たと申す男が来ておりまして、閣下への目通りを望んでいます」


現在交戦中の有志連合軍の中には非常に強い魔法を放つ集団がおり、更にその中に極めて強力な魔法を使う男がいる事もわかっている。私に会いたいという異世界の男は正にその男だろう。


その男、一体何を考えている?



元々私が率いてサラクーダ市に進駐した魔王国軍の戦力は北の精霊樹の方へと抽出され、サラクーダ市に残された戦力は少ないものとなった。


何故なら、サラクーダ市の市民もエルム大森林の住民達もその多くは魔物を生み出すプラントモンスターの餌となり、或いはアンデットへと変えられ、そして"角"を寄生させて分体へと変えられていた。


有志連合軍の残党は北の精霊樹周辺で細々とした抵抗運動を続けているものの、魔王の計画遂行にはさして障害にはなっていない。


つまり、サラクーダ市を奪還出来る勢力はエルム大森林には存在しないと判断されていた。


であるならば、このサラクーダ市が再び戦場になる事態は想定外であり、市の占領維持、防衛は少数の魔王国軍部隊と眷属、アンデット、それに分体で十分であるとされたのだ。


ところが、突然強力な魔法を使う集団が異世界から現れサラクーダ市へとせまったのだ。その集団を率いるのは極めて強力な魔法を使う男で、迎撃に出したゾンビとアンデット戦士共はその集団により軽く蹴散らされてしまった。さらにはその集団を核に有志連合軍の残存部隊と、何と戦兎族が合流し、強力な魔法による攻撃と援護の元でサラクーダ市の攻略を始めたではないか。


市を囲む城壁も水濠も彼等の放つ強力な攻撃魔法の前には無力であり、ミノタウロスの部隊も雷魔法により一瞬で全滅した。そして、分体は強力な個体ではあるが、他勢に無勢、彼等の集団戦法によって次々と討たれていった。


今やこのサラクーダ市で私の支配が及ぶのはサラクーダ大学の構内のみとなってしまっている。


私を始め吸血鬼と残っている分体で一合戦する事は出来よう。しかし、それも一時的なもので、僅かな時間を稼ぐのが精々というところだ。


では降伏するか?それは不可能だ。この額の"角"と本国に残した一族と部民がそれを不可能にしている。


「いかがなさいますか?」


ザルツが控えめに私の決断を促す。


「わかった。会おう」


「席を設けますか?」


「いや、軍監殿がいるからな。散策の最中に偶然出会った体にしよう」


「かしこまりました。ではご案内します」


私は長椅子から立ち上がると愛剣を佩き、正門へと先導するザルツに続いた。




サラクーダ大学の正門前で待つ事暫し。なかなか動きが無いもんで、俺達は雑談に興じていた。


「しかし、魔族というのはどうして自分の魔力を隠そうとしないんだ?あれでは見つけて下さいと言っているようなものなんだがな」


そんな斉藤の疑問に答えたのはギュンターだった。


「それは強い魔力の誇示こそが魔族としての強者の証だからです」


ギュンターによれば、魔王国では強い魔力を誇示する事により自ずと強弱の関係がはっきりして無用な争いが避けられ、秩序も保たれる、という事だった。


う〜ん、突っ込みどこれは多々あるものの、多種多様な種族からなる魔王国では法や道徳よりも"力"こそが正義、"力"があってこその社会秩序という事なのだろう。


「だが、力ある魔族が力に溺れて自侭に振る舞ったらどうするんだ?弱者は虐げられたままなのか?」


「そうした問題が生じた時、それを公平に裁くのが魔王国で最も強き力を持つ者の役割になるのです」


「それが魔王ってことなのね?」


ユリィの問いに頷いたギュンターが更に続ける。


「そして、最強の魔力、力を誇示する事により種族間の対立や争いを未然に防いでもいたのです」


異世界でも一際広大なアースラ大陸、その中でも最大の領土を持つ魔王国。そこに住む多種多様な種族をまとめ上げ、それなりに公平な社会秩序を維持するには、全ての種族を超える力、とても逆らう気にもなれないだけの力が必要となる。つまり、その力こそが魔王であると。


「じゃあ、誰も逆らえない、敵わない魔王が暴走したらどうするんだ?」


「「「「…」」」」


俺の呟きに皆が押し黙る。


「「「「「!!」」」」」


と、その時、強力な魔力を俺達は感知した。どうやら目当ての人物がお出ましになったようだ。


すると、サラクーダ大学正門に強力な魔力を放つ男が現れ、俺の呟きに対する答えを口にした。


「そうなれば、もうこの世界の者には誰も止められない、という事さ。私も含めてね」


そこに現れたのは、見た目は渋く実にハンサムな男だった。スラリと高い身長に、服の上からも引き締まった強靭な肉体。銀色の髪をオールバックにし、吸血鬼らしい紅い瞳に彫り深くスッと高く伸びた鼻梁。これほどナイスミドルという言葉が似合う存在を俺は見た事がなかった。


悪の組織の大幹部というから、目の下は隈がバッチリのとんでもない悪人ヅラな奴が来るものかと思えば、これは反則だろう。







いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話もお楽しみ!


「お…おまえ……ロボットだったのかっ‼ 」

「う……ち……ちがうよ。」

「なーにがちがう? 」


「アンドロイドだよ。 」


「同じだ、バカ者!」


『究極超人あ〜る』1巻より


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