第135話 Tチームの大乱戦①
サキ「やあみんな、リュータの恋人兼副官のサキです」
ミア「やあみんな、ミアです」
サキ「ねぇミアちゃん、リュータの恋人で私だけ姓が無いの。何かあった方がいいかな?」
ミア「じゃあ、アサミヤとかどう?」
サキ「うんうん、いいねぇ。アサミヤ・サキ、何の因果かマッポの手先、テメェら許せねぇ!って、それどこのスケバン?」
ミア「サキちゃん、いい反応w でもサキちゃん、安心して。この国では女性は結婚したら旦那さんの姓になるんだって」
サキ「えっ、という事は私はリュータと結婚するから、私はヒジカタ・サキ!はわわ」
ミア「サキちゃんの精神が彼方に行ってしまったので、この場は私が。『魔法修行者の救国戦記』スタートです!」
サキ「リュータと結婚… ヒジカタ・サキ…うふ、うふふふ」
ミア「おーい、サキちゃーん、そろそろ戻っておいで〜」
☆武田泰信少尉視点
奇襲をかけるに際し、最初に敵の頭を潰すのは定石だ。指揮官が潰されれば部隊はまともに機能しないし、連携もとれずバラバラになって各個撃破も容易になる。
このチームは魔王国軍と積極的に抗戦して敵戦力の壊滅を図るものではなく、飽くまで敵に攻撃を加えて混乱と戦力の分断、弱体を誘って、戦兎族のルート攻略を容易ならしめる事だ。
俺は4名いるチームを2名ずつに分け、俺とケリィ、大沢軍曹とオスカーでそれぞれ指揮官である吸血鬼を狙い、いよいよ戦闘を開始する。
俺は5体いる吸血鬼の最上級指揮官である元ギルマスと、その傍らにいる2体の吸血鬼に狙いを定め風刃を放つと、ケリィと共に距離を詰めた。
俺が放った初太刀の風刃は生憎と元ギルマスには当たらず、その隣にいた吸血鬼の頸を刎ね、胴を分断した。
「ノブ、この元ギルマスは私に任せて。もう一体の方をお願い」
ケリィから指示(?)が飛んだ。元ギルマスは強敵然とし、吸血鬼にもなっているのでどのような実力があるのか俺にはわからない。確かに初見の俺が戦うよりも元ギルマスを多少とも知っているケリィの方が勝率が高いだろう。
「わかった。気を付けろよ!」
「大丈夫よ。ノブもしっかりね!」
ケリィはそう言うと俺に軽くウィンクしてみせた。
ケリィが元ギルマスに臨むと、俺は打ち損じたもう一体の吸血鬼と対峙した。
その吸血鬼は30歳代前半くらいと思しき男で、黒く長い髪を後ろで束ねていた。顔は、まぁ、渋めのイケメンなんじゃねえの?元高ランク冒険者だけあって身長は高く、痩身であっても鍛え上げた強靭な肉体は皮鎧越しからも感じられた。
そいつは俺と対峙しても、特に俺を侮るでもなく、無表情なまま。その間も俺と吸血鬼は互から目を逸らさず出方を窺う。しかし、あまり時間はかけられないのだ。もし、この吸血鬼が手強いようなら撤退も考えなければなるない。
俺は相手を窺いつつも魔素を吸収し、魔力操作で大量の魔力を作り出すと体中に巡らせた。力が漲り、感覚も冴え渡る。よし、行ける!仕掛けてみるか。
「日本国国防陸軍少尉、武田泰信。参る!」
「リーベル・フリッカー。受けて立とう」
俺の名乗りに吸血鬼も応じ、いよいよ戦闘が始まる。青迅に魔力を通すと淡く青く輝き、俺は八相に構えから青迅をリーベルに振り降して斬撃を奴の頚部に放った。
これは土方教官から教わった技だ。リーベルは自らの剣でこの斬撃を防ぎ、俺はリーベルの空いた右胴を斬り払うべく一気に距離を詰め、下段から切り上げた。
リーベルは頭上で斬撃を防いだ構えから剣を下げ、剣の元で俺の打突を防ぐ。俺はそのまま脚力を強化してリーベルに体当たりをかまして距離を開けると、左足に魔力を込めてリーベルの後頚部に回し蹴りを叩き込んだ。
だが、リーベルは俺の必殺の回し蹴りを躱すと俺に向けて横薙ぎに剣を振るい、俺は後ろに跳躍してその斬撃を避ける。
「なかなかやるじゃないか、異世界の戦士よ。漸く力を振うに相応しい相手に出会えたぞ」
「それはどうも」
「では、こちらから参る!」
リーベルはそう言うと、俺を袈裟斬りにせんと上段から大振りな斬撃を放つ。俺が斬撃を躱すと、更に二撃、三撃が迫る。
奴の攻撃は続き、このまま奴の剣を躱すだけではやがて追い詰められるのは必定。俺は押されつつリーベルと斬撃を凌ぎながら攻守逆転の機会を待った。
そして、幾太刀もの打ち合いの後、俺の渾身の胸突きを剣で捌き躱したリーベルが、そのまま俺を頭から両断しようと剣を振り下ろした。
おそらく、リーベルはその一撃でこの戦いに決着を付けようとしていたのだろう。俺はその斬撃を紙一重でどうにか躱すと、俺の足元に振り下ろされたリーベルの剣を左足に魔力を込めて踏みつけた。
俺の想定外の行動にリーベルはそのまま剣を離さなかった。剣を振り下ろし、剣を踏み付けられた勢いで一瞬やや前のめりの姿勢となったリーベルの頸を、俺は上段から一刀の元に刎ねた。
リーベルの頭部はコトリと地面に落ちた。その表情は信じられないといった驚愕を刻んでいた。遅れて体が前のめりに倒れて行く。
俺は中学、高校と剣道部で士官学校でも、部隊でも稽古を続けていて、現在は四段。しかし、この戦い、魔法と青迅を持つ俺と吸血鬼になったリーベルは実力は拮抗していたと思う。俺がその元を失っていてもおかしくはなかった。
首を失ったリーベル・フリッカーの体、その切断面からは吹き出していた血飛沫が青い炎となり、やがて落ちた頭部も身体も青い炎に包まれて燃え尽きていった。
(本当、ギリギリだった)
まぁ、反省は後からでも出来る。俺は呼吸を整えると、青迅を手にしたままケリィの元へと急いだ。
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それでは次話「Tチームの大乱戦②」をお楽しみに。
「影はどんなちっぽけでも光がねーと地面には映らねーよ。」
『銀魂』より




