表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/229

第128話 ルシタニウスの嵐

竜太「やあみんな、土方竜太だ。突然なんだが、作者から手紙を預かっている。開封して読んでくれという事なので、これから読むぞ」


「作者の仁井義文です。いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。この度、思うところ有りまして本作のタイトルを変更させて頂きました。引き続き本作を宜しくお願いします」


エーリカ「で、新しいタイトルって?」


サキ「『魔法修行者の救国戦記』ですって」


アーニャ「なんか、前後が入れ替わって戦記が付いただけって感じ」


舞「私と先輩がハッピーエンドになればタイトルなんて気にしません」


竜太「という事なのでタイトルコールも変わる。それじゃあみんなで行くぞ」


全員で「『魔法修行者の救国戦記』スタート!」


真琴「でも、何で急にタイトル変更したのかしらね?」


雪枝「きっと何かに影響された、とかじゃない?」

吸血鬼(吸血公アルメウスというらしい)の眷属となった市自衛軍司令官アナーベル・マルトニウスは、魔王に関する貴重な情報を言い残し、遂には燃え尽き灰となって消えた。


それによれば、あの"角"は魔王の"分体"であり、角に寄生された宿主はいずれ分体そのものになるのだという。角が魔王の分体なのだから、分体そのものになるという事は魔王そのものになるという事なのだろうか?(小魔王?魔小王?)


また、アナーベルが燃えてしまったので聞けず終いだったが、「エルム大森林の封印を解く」とは、どういう事なのか?


更にアナーベルは分体は「精霊樹にもおよ」まで言って吐血し、話が中断されてしまったが、「およ」は「及ぶ」じゃないかと俺は思う。ならば分体はヒトや獣人はおろか、精霊樹すらも分体にしてしまうという事なのだろうか?


魔王化した精霊樹。エルム大森林の封印を解く。パズルのピースは少しずつ集まっているが、魔王が描く絵の全体像が俯瞰出来るようになるにはまだ足りない。


と、そこまで考えて、今はそれどころじゃない事を思い出した。そう、俺達は上サラクーダへと攻め入り、吸血公アルメウスとその眷属、魔王国やサラクーダ大学の魔術師を皆殺しにし、未だ囚われている者達を救出しなければならないのだった。


「リュウ、倉庫街のプラントモンスターはどうする?」


「焼き尽くし、燃やし尽くして上の連中への見せしめにするのはどうだ?」


「ふむ、それでいいな」


俺と斉藤の意見は一致し、倉庫街ごとプラントモンスターを全て燃やし尽くす事にした。ここでド派手な大威力魔法で破壊の限り尽くし、上サラクーダの吸血鬼どもにその様を見せつけて戦意を喪失させるためだ。


俺は一度全軍を真琴達が待つ下サラクーダの城門前広場へ引き揚げさせ、倉庫街と港を燃やし尽くすため下サラクーダを無人にした。


今やお馴染みになった俺と斉藤の合わせ技「火炎旋風」。炎を巻き込んだ3本の竜巻は耐火煉瓦も熱と風で砕いて燃やし、そして全てを上空高く巻き上げる。旋風の余波で港に繋留された大小の船舶も、或いは転覆し、或いは引火して燃え上がった。


倉庫街も港も燃やし尽くした「火炎旋風」。技を解除すると、ルシタニウス港は石造りの桟橋や岸壁を残して船も建物も全滅し、倉庫街には基礎しか残っておらず、白煙すら上がっていなかった。


「あれが神使様のお力… 凄まじいものです」


後方にあった戦兎族の本陣も下サラクーダの城門前広場へと前進していた。グレンダ女王も俺と斉藤が放った「火炎旋風」を見て、その威力に驚嘆の声を上げた。


「あぁ、そのお力。私が独り身であったならば是非とも婿に来て頂きたいのですが、」


グレンダ女王は独り言のつもりだったのだろうが、その声は意外と大きく、そして周囲に響いた。その声を聞いた戦兎族の、特に側近達はギョッとした表情となり、俺の恋人達はすかさず俺の周囲に集まった。


「陛下、なりません!」


妙齢美女の側近が女王をたしなめる。


「私には王配たる夫がいますから、心配は無用です」


女王も自身の呟きが周りの者達の誤解を招いた自覚があるのか、取って付けたように弁解をした。


(グレンダ女王、結婚してたんだ)


俺は別にそういう目で女王を見た事は無いが、グレンダ女王は20代前半であろう、王族だけに飛び切りの気品が香る、メリハリの効いた魅力的な肢体の美人女王だ。


「ねえ、リュータ。まさか今の本気になんてしてないでしょうね?」


気が付けば、俺は集まった恋人達からジト目で見つめられていた。


「そんな事ある訳無いだろ」


勿論、即座に否定する。エーリカや他のみんなだって本気で俺がグレンダ女王に色目を使っていると思っている訳ではない、はず。


しかし、こうした時のお約束とはいえ、やはり5人もの恋人がいるとあっては説得力に欠けるのか、身は潔白であってもこのような遣り取りがなされる。皆には只々俺の思いを信じて欲しいのだが。



そして、港と倉庫街を焼き払った後の上サラクーダはというと、火炎旋風で巻き上げられた倉庫街の破片や火の粉がかなり降りかかったようで、構造物のあちこちから薄らと幾筋もの白煙が登っていた。


さて、ザックによれば上サラクーダへと至るには大きく2通りのルートがある。一つはルシタニウス港から上サラクーダの中心へと通じるもの。もう一つはオッピス街道から城門通って下サラクーダを貫いて上サラクーダへと至るルートだ。


どちらも港、街道と外部とのアクセスを考慮して作られている。しかし、港ー上サラクーダルートの方が道幅が広く、傾斜も緩やかで、しかも最短距離で一直線に上サラクーダの中心へ行けるような作りとなっている。


一方、街道ー上サラクーダルートは、そもそもまず外部から来た者を阻む城門があり、市内に入れば広場から放射状に5本の道が伸びて、果たしてどの道が上サラクーダに通じているのか一目ではわからない。更に下サラクーダの下町は道幅は次第に狭くなり、不自然な曲がり角が増え、そして河岸段丘の上に行くには階段混じりの傾斜のキツい道を登らなければならないそうだ。


こうして考えると、上サラクーダに住むサラクーダ市の支配者層はが港と街道のどちらを重要視していたのかが良くわかる。港重視はイコール魔王国を特別な存在と彼等が認識していた事の表れであり、魔王国から使者なり賓客なりがサラクーダ市を訪れた場合、港からそのまま上サラクーダへと導く事が出来る訳だった。


なので、上サラクーダへ攻め上るのであれば、道幅広くて傾斜も緩やか、距離も短い港ー上サラクーダルートが第1選択となる。


「まぁ、そうなる事はアチラさんも想定済みでしょうから、十分な戦力を揃えて待ち構えているでしょうね。力攻めは損害が増えるわよ?」


指揮所での作戦会議で、真琴が港ー上サラクーダルートからの攻略にそのように懸念する。


「かといって下サラクーダからの攻略も難しい。下サラクーダが無人だから街路の待ち伏せなどは無いだろが、崖地の道では道幅は狭い上に葛折りになっていて隊列は滞る。頭上からの攻撃も厄介だ」


サラクーダ防衛の任に当たっていたザックが街道と上サラクーダルートについてそう説明した。


実際には二つの攻略ルートがあるのならば、どちらか一方だけからの攻略などという事はあり得ない。二つあるなら両方から攻略するというのが定石だ。問題はどちらのルートに主力を向けるか、だ。


では、敢えて第三のルートからはどうだろうか?上サラクーダが築かれている河岸段丘の北側は切り立った崖、東側は段丘がノービス川による浸食で周りよりも低く窪んでおり、その窪んだ部分は掘り下げられて市を取り巻く水濠の一部になっている。橋も架けられていない。どちらもちょっと無理っぽいよな。


敵の意表を突いて、敢えて難所から攻めるという作戦は戦史に前例が幾つも見出す事が出来る。近い例ではノルマンディ上陸作戦がそうであり、北越戦争では長岡藩軍が沼地を渡った奇襲で官軍を敗走させ、会津戦争でも官軍が会津七口の難所である母成峠を攻めて会津盆地に侵攻している。


「先輩、まさか第三のルートからとか考えてませんよね?」


何故わかるのだろうか。勘のいい恋人は、勿論大好きさ。


「可能性の一つとして脳内シミュレーションしただけだよ」


「それで、先輩の結論は?」


俺と舞の遣り取りが聞こえていたのだろう。指揮所ではいつの間にかそこにいた者達皆が聞き耳を立て、


「ゴクリ」


固唾を飲んで俺の結論を待っていた。

いつも『魔法修行者の救国戦記』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「突入せよ」にご期待ください。


「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!

悪を倒せと、俺を呼ぶ!

聞け! 悪人ども!!

俺は正義の戦士! 仮面ライダーストロンガー!!」


     「仮面ライダーストロンガー」より

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ