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第126話 サラクーダ攻防戦③

竜太「やあみんな、土方竜太だ。今回から期間限定で読者の皆様からの質問大会にします。まずは、ペンネーム「コバトン大好き」さんから」


「私は以前から疑問に思っているのですが、『救国の魔法修行者』って割に竜太さんは修行してないように思えるのですが、そこのところどうなんでしょうか?」


竜太「お答えしましょう。俺の好きな歌に"孤独な笑みを夕陽に晒して背中で泣いてる男の美学♪"という歌詞があります。つまり修行しているところは敢えて見せないようにしてるって事です」


雪枝「え〜、本当かなぁ?」


竜太「…それでは『救国の魔法修行者』スタートだ!」


雪枝「誤魔化してるし」

ミノタウロス部隊は落雷の直撃より全滅した。


障害物が無くなり、全軍に前進を命じようとした俺に斉藤が待ったをかける。


「あのミノタウロス共は言語によるコミュニケーションを取っていなかった。にもかかわらず一糸乱れぬあの隊連携。互いに念話を使った形跡も無い。おかしいと思わないか?」


更に舞もミノタウロスの死体を調査すべきと主張する。


「先輩、ミノタウロス達は全体で一つのような動きをしていました。斉藤さんが言ったように何もコミュニケーションを取らずにそんな事は出来ません。何らかの仕掛けがあるはずです」


二人がミノタウロスの死体調査の必要性を主張したため死体を改める事に。


しかし、実際の所100体からの死体を改めるのは中々骨が折れる。なので歩兵も動員して外見だけざっと目視で改めるに留る事に。


だが、それだけでも特徴的なある"器官"がすぐに見つかった。


「先輩、これってザックさん言っていた例の角型寄生体じゃないですか?」


ミノタウロスの死体には一様に、その額に20cm程の角が生えていた。まぁ、そもそも俺もミノタウロスなんて見るのは初めてだから何とも言い難いのだが。


「ギュンター、ミノタウロスに角ってどうなんだ?」


「ミノタウロスに角なんて生えていません」


斉藤が身を屈めて目の前に横たわる死体の角を握ると、呆気なく角は額から剥がれた。


「見ろ、これは器官ではない。宿主が死ぬと寄生体も死ぬようだ。宿主の内部に伸ばしてた神経繊維も脆くなるようだ」


ザックの話では角に寄生された宿主は吸血鬼に従順になったという。魔王国軍はこの角を寄生させる事により宿主の意思を奪って傀儡化させ、且つ集団行動も取らせる事が出来るようだ。


魔王国軍は自軍の兵にも角を寄生させるとは、とんでもない連中だな。


この事実に最もショックを受けていたのは黒狼族の人狼達だった。自分達の族長が、多くの同族が魔王国軍に囚われている。


「…リュータ様」


ギュンターが縋るような眼差しで俺を見詰める。俺はギュンターに大丈夫だというように黙って頷いた。


「倉庫街に前進だ」


未だ燻り続けるミノタウロスの死体群を超えて、俺は全軍に倉庫街への前進を命じた。



ルシタニウス港に隣接する倉庫街。その面積は意外と広く、その広さを例えるならば小学校の校庭三つ分といったところだろうか?


倉庫は煉瓦造りで、その大きさは大きい物で横浜の赤煉瓦倉庫くらい。そうした大型倉庫が倉庫街の半分程を占めていて、この世界の建築技術の意外な高さを窺わせた。


倉庫の入り口をアンデット戦士が守っていたが、苦も無くこれを排除。そして中に入る前に魔力感知で索敵すると、倉庫全体からそこそこ強い魔力を感知した。それは魔物のレベルではオーガ4体分くらいか。


「リュータ、とても臭いです」

「鼻が曲がりそう」

「何なの、この臭いは」


サキとアーニャが異臭に不快を訴え、エーリカも顔をしかめる。


倉庫に近づけば近づくほど異臭が漂った。それは何とも生臭い、体液と排泄物が混ざったような臭いだ。俺が臭いくらいだから 、獣人達や人狼達にはさぞかし耐え難いものだろう。


罠を警戒しつつ倉庫内に入ると、薄暗い中に何やら大きな物体の存在を感知した。


「光よ!」


エーリカが光魔法で光球を出すと、明るくなった倉庫内に巨大な物体の姿が幾つも浮かび上がった。


それは全体的に赤黒い臓器のようであり、その表面はヌラヌラと滲出液で嫌らしく濡れている。その表面には静脈のような走行が見られた。更には全体的にゆらゆらと揺れていた。


その物体の全てに木材で組まれた足場があり、設けられた階段で容易に上まで行けるようだった。


「お兄ちゃん、これ生きてるよ」


雪枝が気味悪そうに言った。


「リュウ、これがプラントモンスターという奴だろう」


「あぁ、そうだろうな。多分」


斉藤の見解に俺も同意する。こいつらから魔力を感じるが、よく見ればこいつの下の方の側面には女性器の大陰唇のような器官が付いている。まぁ、ヒトの女性のそれとは大きさが桁違いだが。


俺達が入った大型倉庫にはそうした巨大なプラントモンスターが10体も設置されていた。


しかし、プラントモンスターはどれもこれも休眠状態なのか、動き出す気配は無く、その放つ悪臭を除けば取り敢えずの危険は無さそうであった。


すると、別の倉庫を改めていた黒狼族から魔族を発見したと伝令が寄越された。俺達は急ぎ伝令の案内でその倉庫へ向かう。


その倉庫は倉庫街の中央付近にあり、先程俺達が入った倉庫と規模はほぼ同じくらいの大型倉庫だ。だが、中に入るとその内部は違っていた。足場が組まれたプラントモンスターが置かれていたのは同じでもその数は幾らか少なく、その分空いたスペースには何やら不気味な肉塊が…


黒狼族の人狼達は警戒のためその肉塊を遠巻きに取り囲んでいた。


「ギュンター、これか?」


俺が現場で指揮を執るギュンターに尋ねると、ギュンターは駆け寄って来る。


「リュータ様、お呼び立てして申し訳ありません。早速ですが、これを見てください」


ギュンターはそう言ってその肉塊のある面を指し示した。


天井付近の壁体にある明かり取りの窓がある。倉庫内ははそこから差し込む光だけで薄暗いが、既に目は慣れてその薄暗さの中でもすぐにわかった。


その肉塊は赤みがかった灰色をしており、プラントモンスターと同じくその表面はヌラヌラと浸出液で濡れている。全身に大小のシワが刻まれ、太い血管が全身に走っており脈動が見られた。


大きさはワンボックスカーくらいで、敢えて言えば大きな脳という感じか。


それだけでも気持ち悪いのだが、更にその全身のあちこちから触覚のか触手なのかがウネウネとくねらせているのだ。


「なあ、エーリカ」

「な、何?」

「これ、また何て魔物?魔族?」

「知らないわ、こんな気持ち悪いの。聞いた事もないわ」


う〜ん。エーリカが知らないとなると、他のみんなはどうだろうか?


サキ「知りません、気持ち悪い」

アーニャ「私も知らないわ。気持ち悪い」

ケリィ「同じく知りませ〜ん。キモっ」

ユリィ「右に同じよ。キモ過ぎ」


獣人達が知らないとなると、魔族のみんなはどうだろう?


ギュンター「魔族にもいません、こんな気持ち悪いの」


すると今まで沈黙を守っていたそいつに動きを見せる。


脳味噌のような体表の一部がパックリと口を開けるとズルズルとヒトの上半身が這い出てきたのだ。


それは一切体毛の無い壮年の男で額には20cm程の長く細い角が生えていた。そして、カッと両目を見開くとやわら口を開いた。


「さっきから聞いていればキモいキモいと好き放題言いおって。ワシとてなりたくてこのような姿になった訳ではないのだぞ」


「「「しゃ、喋った!」」」


そりゃあ、上半身だけとはいえヒトの姿をしているのだから喋ってもおかしくはない。取り敢えず喋るのならば意志の疎通は問題無さそうだ。


「で、あんたは何者なんだ?」


「ワシか?ワシは「アナーベル・マルトニウス」」


そいつが名乗る声にザックの声が重なった。いつの間にかザックが俺の横に立っている。


「リュータさん、そいつの名はアナーベル・マルトニウス。サラクーダ市自衛軍の代将だった男です」


肉塊から出て来た男はサラクーダ市自衛軍の代将、つまり司令官。結構な大物だった。サラクーダ市の幹部職は元から魔王国に通じていた事が立証された訳か。


「無様だな、アナーベル。守るべき市民を魔王に売り払った代償がその醜い姿か」


ザックは瞳に憎悪の炎をたぎらせ、アナーベルを射殺さんばかりに睨んでいた。






いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「裏切りの代償」をお楽しみに。


ジェド豪士「戦場でおびえたことを、恥じることは決してない、、、恥ずべきは、人間の尊厳を根こそぎ奪い取る、戦争や社会体制なのだ」

        「パイナップルアーミー」より

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